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BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定



当ブログでもこちらの記事()でご紹介したBBC製作の『そして誰もいなくなった』の日本放送が決定しました。
こういうときはやっぱりBBCとNHKのつながりがありがたいです。


NHK BSプレミアム公式ウェブサイト
「アガサ・クリスティー そして誰もいなくなった」

BSプレミアム 11月27日(日)放送スタート 毎週日曜 午後9時

詳しい放送予定などはまだ公式には掲載されていませんが、「NHK海外ドラマスタッフブログ」のページによれば、全3回。
BBCで放送されたとおりの回数で放送されるようです。

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BBC公式ウェブサイト
"AND THEN THERE WERE NONE"
(画像も)

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依然、人気赤丸急上昇中のエイダン・ターナー出演ということもあって、ふだんミステリーに興味のない層も視聴者が広がるドラマではないかと思います。
個人的にはサム・ニール、チャールズ・ダンスという個性派ステキ俳優さんたちがクリスティーのドラマに出てくるというだけでありがとうございますと拝んでいたのですが、ドラマ自体も秀作でしたので、なまじなホラーより格段に怖い『そして誰もいなくなった』、吹き替えで見るのが本当に楽しみです。

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以下、ドラマのネタバレになりますので、真っ白の状態で見たい方はここで回れ右でお願いします。
原作未読の方、未読だししかもトリックも知らない・聞いたこともないという幸せな方も、ここで絶対回れ右推奨。







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# by n_umigame | 2016-09-22 21:18 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『ケルン市警オド』青池保子著(プリンセスコミックス)秋田書店

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活気あふれる中世の大都市・ケルンの治安を守る市警たち。その若きエース・オドは、後輩のフリートも憧れる仕事のデキる男だ。しかしお偉方から厄介払いで命じられた人探しが大事件に発展し…!?
「修道士ファルコ」の人気キャラ「兄弟オド」の治安役人時代の物語。
(出版社HP・画像はAmazon.jpより)



『修道士ファルコ』のスピンオフです。

「ファルコ」が『エルカサル-王城-』のスピンオフなのに、さらにスピンオフ。海外ドラマみたいなことになってきましたが、面白かったです。
青池保子さんの作品は安心して読めますね。
ほかの漫画家の方の絵を見ていると、やっぱり絵を描くって体力なんだよなあと思うこともあり、ファンとしては寂しい気持ちになることもあるのですが、青池さんは安定しているように思います。
と言ってもわたくし全然長年のファンではないので、20年、30年と読んでらっしゃるファンから見たらやっぱりさみしいよ~と感じてらっしゃるのかもしれませんけれど。

主人公は、リリエンタール修道院でのファルコの先輩に当たる、兄弟オド。
俗世では屈強の騎士だったファルコと組んで、腕っ節の強さと、謎があるとついつい推理してしまい、正義感の強いところを見せては「未熟者をおゆるしください」と懺悔しつつ、それを繰り返して読者を楽しませてくれていました。
今回は、そのオドがまだ出家する前にケルン市で警吏をしていたころのお話です。

なのですが、今回の疑惑の舞台は修道院。
なんだかんだ言って平和で、良き秩序が保たれているリリエンタール修道院とは違い、本当にまずい修道院でした。「汝、殺すなかれ」ガン無視です。怖いにもほどがある。閉鎖的で陰謀うずまく修道院と言うと、ちょっと『薔薇の名前』の修道院を連想してしまいます。
オドはリリエンタールでも医療を担当していますが、薬草の勉強をするきっかけになったのがこの事件なんだろうというエピソードもあって、この先、オドが出家するまでどうつながっていくのか、それも楽しみです。
ペトルス修道士はちゃんと罪をつぐなったら、またオドと再会してほしいです。
青池さんのマンガは犬がかわいいのもうれしい。

ところで、最近読んだドイツのミステリー『ミルク殺人と夏の憂鬱』を読んで、この本を青池保子さんがコミカライズしたら何倍も笑えるだろうなあと妄想していました。
いつか叶うといいなあ。




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# by n_umigame | 2016-09-21 00:07 | コミックス | Trackback | Comments(0)

『ささやく真実』ヘレン・マクロイ著/駒月雅子訳(創元推理文庫)東京創元社

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奇抜な言動と悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女が知人の研究室から持ち出した新薬には、強力な自白作用があった。クローディアはその薬を自宅のパーティーで飲みものに混ぜ、宴を悲惨な暴露大会に変容させてしまう。その報いか、深夜、彼女は何者かに殺害された……! 死体の発見者となった精神科医ウィリング博士が、意外な手がかりをもとに指摘する真犯人とは? マクロイ屈指の謎解き純度を誇る、傑作本格ミステリ。
(Amazon.jpより・画像も)


安心安定のヘレン・マクロイでした。

『小鬼の市』があまりピンと来ず、以降コンスタントに翻訳が出て、そのたびにそれなりにおいしくいただいていたのですが、やはりマクロイの翻訳が再度出始めたころの『幽霊の2/3』や『家蠅とカナリヤ』『殺す者と殺される者』辺りの傑作と比べると、クオリティが高いとは言いがたいなあというのが正直な感想でした。
ですが、今回は久しぶりに端正な謎解きをわくわくしながら楽しみました。

マクロイがよく使うような、オカルト的なところはなく、探偵役のウィリング博士が心理学者であるという設定を上手に使って犯人に迫る、非常に端正なミステリでした。
翻訳の文章ももちろんいいのでしょうが、マクロイの文章は読んでいて気持ちがいいです。
「ささやく真実」という邦題もすばらしいですよね。

ウィリング博士のシリーズではギゼラさんが好きで、ギゼラが出てくるとそれだけでうれしくなるのですが、いらいらするほど進展がなくてですね(笑)、で、時系列でうしろの方の作品だともう結婚してるんですよ。
ウィリングとギゼラさんの出会いを描いた作品もあるようなので、邦訳が待たれます。そしてなによりどのお話で結婚することになったのかも楽しみにしています。
今回の作品ではウィリングとギゼラさんとのデートに関する描写が重要な伏線になっていて、さすがだなあとうっとりしました。
ただののろけじゃないから、油断も隙もあったもんじゃありません。

東京創元社から出ているマクロイの本は、デザインも大好きです。



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# by n_umigame | 2016-09-21 00:04 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『ミルク殺人と憂鬱な夏 中年警部クルフティンガー』フォルカー・クルプフル, ミハイル・コブル著/岡本朋子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)早川書房

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ふだんは平和なドイツの田舎町で、殺人事件発生。だが殺された食品開発技術者の周囲からは、動機も容疑者も浮かばない。それでもクルフティンガー警部率いる捜査陣は、懸命に捜査を進めてゆく……不器用にして恐妻家、要領は悪いが愛すべき中年警部の獅子奮迅の活躍を描き、ドイツで圧倒的な支持を受けた話題作
(出版社HP・書影はAmazon.jpより)




さらっと読めて、とても楽しかったです。
ヘレン・マクロイに続いて、久しぶりにミステリを読んで楽しいと感じました。(この感覚を大事にしたい)

カヴァーイラストがかわいらしくて(このイラスト、好きです)、タイトルからもコージーミステリーかと思われそうですが、一応きちんとした謎解き形式のミステリーでした。(“一応”て何という話はあとで)ちょっと真面目にミステリーしすぎていると感じるくらい。偏見覚悟で言うと、ドイツの人らしい生真面目さを感じました。いいなあ。

最近、ゲルマン諸語系と言いますか、鳴り物入りで日本に紹介されるドイツや北欧のミステリーというと、陰惨で気の滅入るような描写がこれでもかと続いて、それが露悪的であまりにも悪趣味にすぎるため、いいかげんげんなりして、最近は書店でもミステリーの棚にあまり近づかなくなっていました。そういうものもたまにはいいのですが、一つ何かがヒットしたらそればっかりになるというのは困りものだと思います。(ゆるゆるプリンが流行ったときの、ふつうのカスタードプリンを渇望するあの気持ちったらもう。)

そんな中でTwitterに流れてくる情報などで、あっ、これは私好きかもと手を出してみましたら正解でした。


さて、本書。
原書は2003年、今から13年も前に刊行されていたものです。すでにドイツでは大人気のシリーズで、ドラマ化もされているそうです。映像化作品もぜひ見たいと思わせる小説でした。
ドイツ語圏のミステリーを読み慣れていないせいか、最初はこの独特の雰囲気とノリになじむのに少し時間がかかりました。
でもそれに慣れてくると本当ににやにや顔が笑ってしまうし、ツッコミマシンにならざるをえないし、それをミステリーとしても大団円にまとめてくる 豪腕 手腕はすばらしいと思います(笑いながら)。いや本当に。「よくまとめたな!」って、こう、元気になると言いますか。真犯人がわかるシーンで顔笑ってましたもんね。(それもどうか)

この警察のゆるゆるな感じは、警察犬レックスがちょうかわいいドラマ『REX』を思い出しました。『REX』(はウイーンを舞台にしたドラマですが)も独特の雰囲気で、ミステリーとか警察ドラマとしてはどうなのかと思うエピソードも多く、それなのに見ていると何がおもしろいのかわからないんだけどとにかくおもしろいという、非常に頭悪そうな感想になってしまうところも似ているかもしれません。(※個人の感想です)


以下、少しネタバレですので、真っ白な状態で読みたい方は読了後にまたおいでください。


それで何が“「一応」謎解きミステリー”なのかと申しますと、本当に謎が解けるのは“一応”なのです。
別に探偵役のクルフティンガー警部や、警察の人たちの捜査や推理がすばらしいから犯人がわかるわけではないのです。(言い切った。)
そもそも推理が行き当たりばったりで、しかも推理は全部はずれます。
てゆうか推理してねえ。

それでどうやって事件を解決するんだと思われると思いますが、実際に読んでみたら、本当によくこれで解決まで持ち込んだなと、著者の 豪腕 手腕に惜しみない一人スタンディングオベーション状態でした。
クルフティンガー警部が主人公で主な探偵役ですが、私生活はダメだけど仕事は有能というタイプでもなくて、めちゃくちゃどんくさく、言ってしまうと公私ともにドジっ子です。(いいかげん太鼓は車から下ろせよと何度思ったことか)しかも部下に引かれるくらいケチ。本人は倹約家だと言い張ってますが、客観的にはケチ。(2回)
こんなどんくさくてケチな上司をもった部下に同情してしまいそうですが、部下もたいがいナチュラルボーン天然なのでバランス取れてます。
こんな警察でこの地域の治安とは。と考えてしまいますが、殺人事件がめったに起きないそうなので、結果オーライです。

中年の警察官が主人公だと家族関係が冷え切っているというのが多いですが、クルフティンガー警部は美人の奥さんともうまくいってるのかどうなのかよくわからないところだけがリアリティがあると言いますか、家族関係は概ね良好なようで、そこはほっとします。(クルフティンガー警部のお母さんは作家のエーリヒ・ケストナーのお母さんを思い出しました。)

以上、悪口しか言ってねえじゃねえかと思われるかもしれませんが、ほめてます。
だってこれでおもしろいって奇跡みたいじゃないですか。
クライマックス(?)の空港のシーンなんて、絵柄を想像して笑いが止まりませんでした。コントかよ。

内容はけっこう真面目に警察小説の形式を取った謎解きミステリーなのに、カヴァーイラストがコージーっぽくて、読者を選別してしまうかもしれないと思いましたが、登場するドイツの食べ物の描写がとても美味しそうで、うっかりコージーだと思って釣られた人もそうつかまされた気持ちにならずに済むんじゃないかと思います。そう考えたら秀逸なカヴァーですね。(ケーゼンシュペッツレというドイツ版チーズマカロニみたいなお料理があるそうで、これがとても美味しそう。)

こちらにレシピが載っています。→★「ケーゼ・シュペッツレ」



フロスト警部が好きな人は好きそうという感想を見かけました。当たらずと言えどもやっぱり少し遠いと言いますか、フロスト警部のキャラの方がよほど読んでいてしみるような人情に富み、私生活は哀愁にあふれ、おふざけはとことん悪趣味にふざけ、小説としてはいしいひさいち先生に「短篇集じゃないの」と言わしめた超絶技巧モジュラー型。あんな華麗なる職人芸では決してないです。あんなに下品でもないですし。
この根本的にゆるい雰囲気、まじめにやれと言いたいけれどどう見てもまじめにやっていることから来るおかしさ、フロスト警部のブリティッシュネスに比して、どこまでもこれがドイツなんだろうなと思う、ちょっぴり垢抜けないところも含めて、そんな楽しい小説でした。
続きが楽しみです。

シリーズのHPがありました。→
著者のお二人、お若いですね~。Twitterもされているようなので、ドイツ語OKな方は覗いてみられても楽しいんじゃないでしょうか。


ドラマの画像をちょこっとググったところ、こんな雰囲気のようです。
うわーちょう見てえええ(笑)。
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画像はこちらのサイトより。




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# by n_umigame | 2016-09-20 22:31 | ミステリ | Trackback | Comments(0)

『世界を食べよう! : 東京外国語大学の世界料理』沼野恭子編(東京外国語大学出版会)

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人はその食べるところのもの。東京外国語大学の世界各地・各ジャンルの研究者たちが腕によりをかけて贈る30の「食」文化エッセイ。
(Amazon.jpより・画像も)


世界各国の料理を東京外国語大学の先生方がレシピ付きで紹介してくださっているエッセイ本。

帯にずらりと並んだ各国のお料理を見ているだけで幸せな気持ちになります。食いしん坊です。

大学の先生の書かれたエッセイなので、情熱メガ盛りの勢いエッセイではなく、受け狙いもなく、文章はやや硬めで客観的で淡々としたものが多いです。
なので、読んでいて退屈だと思う人がけっこういらっしゃるようなのですが、逆にわたくしはこの客観性がツボにきてどうしようかと思いました。

先生方にとっては「世界」は日常生活そのものか、その延長線上に密接に在るもので、ことさらに言い立てるものではないということはわかります。
わかりますが、「淡々と何を言い出すのか」という、その通常営業っぷりが怖い。


例えば、開いた口がふさがらなかったのが、ロシアの「塩漬けきのこ」です。

今ではフランス料理のサービスの方式だと思われている、料理を一品ずつ給仕する方法(前菜から始まって野菜やスープ、パン、魚、肉、チーズにフルーツ、デザートにコーヒー…という順番でサーブする方法)は、ロシアから始まってフランスに伝わったものであるなど、お勉強になるところから始まって、ふむふむつまりロシアの人はよく食べるということですねと読んでいると、あ、これなら家でもできるかも。と目を引いたレシピが「塩漬けきのこ」でした。

でしたのですが。


●作り方
①森へきのこ狩りに行く。

そこからですか。

食用きのこと毒きのこを峻別すること。

まって。それ素人には無理なんですけど。
しかもここまでが①で、前段階として当たり前の話になってるのって、どうなの。

②食用きのこをよく洗い、

”きのこは水を吸いやすいので洗わないで調理する”という日本のきのこ類の常識も通じないんですか。
通じないんですね。
だってロシアだもの。

適当な大きさに切る。

写真を見るとわかるのですが、これコロボックル住んでるよっていうサイズ。
にっこりロシア美女の顔くらいあるんですけど。
それをこのごっつい大柄なロシア美女が抱えているかご一杯に…。

③鍋に水と塩を入れて火にかけ(以下略)

魔女が鍋で煮物してる姿が頭から離れないのはわたしがファンタジー読み過ぎなの。

④~⑥は省略しまして、

⑦40日ほどしたら食卓へ。

魔女サバトはちょうスローフードでした。
(サバト決定かい)

おとなしくスーパーで買ってきたきのこで塩きのこ作ります。(すごすご…)


ほかにもタイではフォーを食べに行くのは「愛人に会いに行く❤」みたいに取られるとか、中国で揚州獅子頭(揚州風肉団子スープ)が激うまだったので4日間食べ続けたらシェフが出てきたとか、もう、先生方…?
個人的にアジアのお料理がとても美味しそうで、何でも、2011年に世界で一番美味しい料理ナンバーワンに輝いたという(自分のTwitterのTLでも話題の)マッサマンカレーの素が手に入ったので作ってみよう思います。





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# by n_umigame | 2016-09-19 17:32 | | Trackback | Comments(0)

『中継ステーション』クリフォード・D・シマック著/山田順子訳(ハヤカワ文庫SF)早川書房


アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎にある一軒家――ごくふつうの農家にしか見えないその建物は、じつは銀河の星々を結ぶ中継ステーションだった。その農家で孤独に暮らす、元北軍兵士のイーノック・ウォレスは百年のあいだステーション管理人を務めてきたが、その存在を怪しむCIAが調査を開始していた……異星人たちが地球に来訪していると知っているただひとりの男の驚くべき日々を描く、ヒューゴー賞受賞作
(出版社HP)


クリフォード・D・シマックは長年あこがれの作家でした。
エラリイ・クイーンにハマったときによくお邪魔していたサイト様に、シマックのコーナーもあり、その管理人さんのクイーン作品評が大好きだったので、この方がおもしろいと言うならきっとおもしろいだろうと期待していました。
ところが、当時(も今も)シマックの作品を新刊の日本語で読むことはほとんどできず、たまたまSF短篇集に収録されていた作品を2作ほど読む機会があったのですが、予想どおり自分の好きなタイプの作品でした。

それ以来まったく読むことができなかったところへ、この『中継ステーション』が新訳、しかも山田順子さんの訳で再刊されるなんて! 知ったときは小躍りして、買ってすぐはもったいなくて、読まずにずっと寝かしていました。


シマックの作品は、「田舎SF」とか「田園SF」とか呼ばれているそうです(笑)。
短編を読んだイメージからもそんな感じで、舞台はいつもウィスコンシン州であることが多いようで、おかげでわたくしのウィスコンシン州のイメージはシマックの描く世界です。
言ってしまえば、ど田舎なのでしょう。(映画『マダガスカル』の番外編「ペンギン大作戦」で「ここほんとに南極? ウィスコンシン州では?」というジョークがあって、アメリカでもそういうイメージなんだろうなと思って大笑いしました)

『中継ステーション』は、ウィスコンシン州にある、一見何でもない農家が舞台。宇宙人の中継ステーションを営むことになったイーノックは、宇宙人に見初められて(笑)不老不死になり、このステーションの管理人を務めています。
この宇宙人たちは理性的でおだやかで、ときにちょっとしたトラブルが起きないでもないのだけれど、イーノックはただただ通過していく宇宙人達を受け入れては送り出し、日々はただ静かに過ぎていきます。

宇宙人が出てきますが、まったく派手さはありません。派手なアクションもなし。女性キャラクターも出てきますが、そういうラブもなし。
冷戦の時代に、真の平和とは何かということを真摯に考え、伝えようとした作品だと思います。そしてこれがアメリカの人の書いた作品だというのが、また沁みてきます。
アメリカはときどきとんでもない国だと思うことがありますが、時代の一角に必ず善き心と自分にできることをしようという行動を伴った人が現れる分、日本より自浄作用がある国なのではないかと思うことがあります。

それが幻想だと言ってしまえばそれまでなのですが、いわゆる「古き良きアメリカ」の良心のような、あたたかさや居心地の良さが、シマックの作品にはあります。
どことなくシオドア・スタージョンにも通じるものがあるように感じました。ガジェットや壮大さで読ませるSFではなく、この人の文章や、描く世界にずっといたいと思うような心地よさがあります。読み終わったときに「ここ、これは傑作じゃあ!」と立ち上がってしまうような作品では無く、静かに本を閉じたら自分がにっこり微笑んでいることに気づくような。
これがSFだというのがとても面白い。SFというジャンルの幅の広さ、底の深さを改めて思ってしまいます。






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# by n_umigame | 2016-08-15 21:05 | | Trackback | Comments(0)

『丹生都比売 梨木香歩作品集』梨木香歩著(新潮社)



胸奥の深い森へと還って行く。見失っていた自分に立ち返るために……。蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界。
(Amazon.jpより)


梨木香歩さんの小説やエッセイが好きでひところよく読んでいたのですが、最近とんとご無沙汰で、久しぶりに読みました。
地味に日本古代史祭りが続いていまして、どうしても表題作が読みたかったのです。

とりあえず表題作だけの感想ですが、以下、ネタバレです。








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# by n_umigame | 2016-08-15 00:07 | | Trackback | Comments(0)

『ハイ・ライズ』(2015)



■映画「ハイ・ライズ」公式サイト


トム・ヒドルストン主演で、「太陽の帝国」「クラッシュ」で知られるSF作家J・G・バラードによる長編小説を映画化。フロアごとに階級が分けられ、上層階へ行くにしたがい、富裕層となるという新築タワーマンション。このコンセプトを考案した建築家アンソニーの誘いで、マンションに住み始めた医師のロバートは、住民のワイルダーと知り合い、マンションの中で起こっている異常事態を知ることとなる。「マイティ・ソー」シリーズのロキ役で知られるヒドルストンがロバート役を演じるほか、「ドラキュラZERO」のルーク・エバンス、「運命の逆転」のジェレミー・アイアンズ、「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラーらが出演。監督は「ABC・オブ・デス」「サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド」のベン・ウィートリー。
(映画.comより)

こちらは映画の感想です。
原作(本)の感想はこちらへ。→

大筋は原作どおりで、やはりネタバレがどうこうという種類の映画ではないと思いますが、真っ白の状態で作品を楽しみたい方は、ここで回れ右でお願いします。
原作との違いについても触れています。








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# by n_umigame | 2016-08-14 23:12 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)

『ハイ・ライズ』J・G・バラード著/村上博基訳(創元SF文庫)東京創元社



ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校まで備えたこの一個の世界は、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の上層部に階層化していた。全室が入居済みとなったある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。中期の傑作。解説=渡邊利道
(出版社HP)


こちらは原作の感想です。
映画の感想はこちらへ→


J・G・バラードとの接点は、高校生の時に読んだ短篇集『永遠へのパスポート』と、スピルバーグ監督作品で映画化された『太陽の帝国』の2点くらいでした。
代表作と言われる『結晶世界』も未読で、バラードがどういう作家だったのかはほとんど知りません。
ただ、多感な年頃に読んだはずの『永遠へのパスポート』をしてからほとんど記憶に残っていないところからすると、自分にはあまり刺さらなかったと見え、今回『ハイ・ライズ』を読んでみて、その理由が何となくわかったように思いました。

以下、感想です。
ネタバレがどうこうという種類の小説ではないと思いますが、真っ白の状態で作品を楽しみたい方は、ここで回れ右でお願いします。







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# by n_umigame | 2016-08-14 23:07 | | Trackback | Comments(0)

DWA 2016年~2018年の劇場用新作予定状況



今年のSDCCが、なんだかいまひとつ元気がなくて心配だったドリームワークス・アニメーションですが、劇場公開用の長編は、今後いったいどうなっとるのかい? と思ったので、個人的な備忘録も兼ねてまとめておきます。


2016年7月31日現在で、IMDbでいちおう北米公開日が掲載されているものだけを拾うと、以下のとおり。(公開日時はいずれも北米での予定。)
★(IMDbのDWA作品一覧2016.7.31現在)



・Trolls(トロールズ):2016年11月4日
→一時期ネット配信のみという情報がTwitter上で流れましたが、どうやら劇場公開になったようです。
・The Boss Baby(ボス・ベイビー):2017年3月31日
・Captain Underpants(キャプテン・アンダーパンツ):2016年6月2日
・The Croods 2(『クルードさんちのはじめての冒険2』):2017年12月22日(日本公開2018年2月2日←IMDbの情報ですのであてになりませんが)
・Larrikins(ラリキンズ):2018年2月16日
・How to Train Your Dragon 3(『ヒックとドラゴン3』)2018年5月18日


公開日については、ドリームワークス・アニメーションが、合併予定だったりCEOが交代するかもしれなかったりと経営が不安定なことと、競合している作品の公開日などで今後もころころと変わる可能性が高いです。

詳細は長くなりましたのでたたみます。
一部、あらすじにも触れていますので、気になさる方はここで回れ右でお願いします。






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# by n_umigame | 2016-08-01 00:14 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)