*さいはての西*

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レモネードと『九尾の猫』

日中は暑いものの、今年の夏ももう終わりそうな気配を感じますね。

真夏、そして真冬が来ると『九尾の猫』が読み返したくなります。
各家庭にまだエアコンがなかった時代(1949年)の真夏、ニューヨークの暑さにむせ返るようなクイーン家のアパートメントのシーンから始まる傑作ですが、クイーンパパが帰ってくるなり、何か冷たいものある? と聞いてエラリイが「レモネードがたくさんありますよ」と答えます。

このレモネードは自家製なのか、水にお砂糖とレモン汁(とレモン)を入れて作ったような、シンプルでおいしそうなレモネードです。(アメリカでは炭酸水でなく、水で作るそうですので、クイーン家のレモネードも水なんでしょうか。)

このシーンで、帰ったらまずビールじゃないんだ、と思いました。たしかに、飲んでるときはいいけど、あとでアルコールが体内の水分を奪うのでよけいに暑くなっちゃいますよね。

オランダ靴で引き出したついでに、my『九尾の猫』コレクション。(ちょっと自慢。)
↓写真は去年からはまっているロリーナのレモネード。
ピンクレモネードが炭酸が弱め、甘さも控えめでおいしいので気に入っています。
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↑左、大庭忠男訳。めろめろです。見栄を張って複本の方を出してあります。
最初に買った方は、付箋だらけでとてもではないですが人様にお見せできる状態では………。
右はポケミス、表紙がかわいいですよね。村崎敏郎訳。
訳を読み比べると楽しいです。
中でも印象深かったのは、セレストとジミーがクイーン家に勝手に上がり込んで泊まり込んで、朝セレストがエラリイに「お古のストッキングとかない?」と聞くシーン。彼女がお泊まりにきたときに置いていったものとかない? ということですが、エラリイの答えはテキストでは "No. My father, you know." となっています。
大庭訳では「いや、おやじがいるからね。」
村崎訳では「いや、おやじだけだからね。」
両者の訳は、意味するところが微妙に違いますよね。
大庭訳だと「あの、うちの堅物オヤジを知ってるでしょ? 未婚の女性を連れ込んだりしたら勘当されちゃうよ。」
村崎訳だと「うち父子家庭で男所帯だから、ストッキングなんてないよ。」
クイーンパパの世代の人の性に関する考え方は、現代とは比べものにならないくらい厳しかったでしょうし、それをおいてもクイーンパパはそういうことに厳しそうなので、そのあとのセレストのリアクションからもわたくしは大庭訳に一票です(笑)。
がんばれ、エラリイ(笑)。
お父さんはなんだかんだ言ってモテると思うぞ。(とりあえずエラリイのお母さんとジェシイにはモテたことはまちがいない(笑)。)
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↑ポケミス版はなぜか2冊ありまして、左は欠けていますがマンハッタンの地図がついています。
これ、親切ですよね。
背も、真ん中で色が分かれていて、どうやらポケミスは2種類出たようです。

↓左から、Little, Brown社(1949年9月)、Pocket Books(1959年版)、Victor Gollancz(1952年版)。
Pocket Books版はやはりいかにもアメリカン・ペーパーバック。付箋でびろびろになっていますが心配ご無用、もう1冊あります。(いやーん何この人。)
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↑リトル・ブラウン社で出版された方にはやはりマンハッタンの地図がついています。ポケット版にもついていて、アメリカで出した本の方が地図つきで親切です。

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↑ヴィクター・ゴランツ社版。
『ゲド戦記』のときもお世話になりました。
おそらくイギリス英語に直してあるのではないかと思うのですが、ほとんどチェックしておりません。
こちらもアメリカ版と読み比べをしたいのですが……。
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by n_umigame | 2009-08-21 18:50 | *ellery queen* | Trackback | Comments(4)
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Commented by Yuseum at 2009-08-23 17:25 x
おお、「九尾の猫」はさらにいっぱいだΣ(´∀`;)
地図がいいですねぇ、地図が!
Yuseumも、またこの作品を読みたくなってきました(*^_^*)
Commented by n_umigame at 2009-08-27 22:24
そうなんです、地図!
初めて『九尾の猫』を読んだとき、そのあとすぐマンハッタンの地図が載っているガイドブックを買いました。
最近はいろいろと物議をかもしているGoogle mapのストリート・ビューですが、ニューヨークの西87丁目辺りをコロンバス・アベニューから曲がってみたり、センターストリートの旧NYPD本部前を歩いてみたりして遊んでいます。W87st.辺りは良いところみたいですね。きっとお家賃高いですよね・・・。
Commented by めとろん at 2009-11-08 11:39 x
はじめまして、めとろんと申します。

小生も大好きな「九尾の猫」をこんなにたくさん。羨ましい~(笑)
正直、探偵小説で「泣いた」記憶はほとんど無いのですが、この作品の終盤には泣きました。この作品をTVムービー化した作品には、毛筋ほどもその感動はありませんでしたが。
たまたま覗かせていただきましたら、本当に楽しいブログですね!
また、伺わせていただきまっす。
Commented by n_umigame at 2009-11-08 18:47
めとろん さま、はじめまして!
コメントありがとうございました。めとろんさんのブログには、実はときどきドラマの『エラリー・クイーン』が放送されている頃にお邪魔させていただいておりました。
とても貴重な画像などがたくさんで、得難いブログを運営されている方に、楽しいブログと言っていただけて、とてもうれしいです!
TVムービーとはかの"Don't look behind you"でしょうか。たまたまYouTubeで一部だけ見ることができたのですが、最後まで見る気力が起きませんでした…。
『九尾の猫』は傑作ですよね。
ぜひ実写版で見たい作品なのですが、本当にクイーンは映像化には恵まれないなあと思います。先行作品が失敗すると「それみたことか」と敬遠されてしまうのでしょうね。
こちらの方こそ、またお邪魔させていただきますね。