*さいはての西*

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『幽霊の2/3』 ヘレン・マクロイ著/駒月雅子訳(創元推理文庫)東京創元社

出版社社長の邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム“幽霊の2/3”の最中に毒物を飲んで絶命してしまう。招待客の一人、精神科医のベイジル・ウィリング博士が、関係者から事情を聞いてまわると、次々に意外な事実が明らかになる。作家を取りまく錯綜した人間関係にひそむ謎と、毒殺事件の真相は?名のみ語り継がれてきた傑作が新訳で登場。(Amazon.jp)


端正なミステリや長編をぐいっと一気に読みたいけどまとまった時間がないよう、と泣いていたところ、ごろん、と本社出張が転がり込んできました。いやっほー。
そんなわけで、行きの新幹線+αで読み終わってしまい、内容についてぐるぐる考えて寝付けず、翌日の会議は睡魔とのアルマゲドンでした。いやっほー。(だめじゃん)

この本は長年マニア垂涎の幻の逸品であったらしく、このたびめでたく復刊されたそうで、そんなこととはつゆ知らず読み始めましたが、あんまりおもしろいのでびっくりしました。
非常に端正な謎解きミステリでした。

また、文章がとてもいいですね。
翻訳を通しても、テキストの良さを感じます。
こういうときわたくしはすぐあまぞんさんに原書を探しにざばざばと泳いで出るのですが、収穫なしって…!
めりけんさん、自国の古典本格ミステリに冷たいよ! しかもこんなにいい作品を! 売れないからって? このカネと愛国心と若さの亡者め!(落ち着け)
(今アメリカのあまぞんさんを見に行ったら603ドルなどというお値段で出ているものが…ひいいぃぃい)

出版業界についてのウラオモテがいろいろと出てくるのですが、それがすべて物語の伏線になっており、終わりから数章目、大どんでん返しが待っています。

そして読み終わって、このタイトルがいかに秀逸かということがわかってまたびっくりという仕掛けになっております。

以下、ネタバレがあります。














おもしろかったのですが、古典にありがちな「?」という部分もあります。

例えば、ランゲルハンス島を知っているから医者だっただろう、という推理(しかもそれが正解)はいくらなんでも。現代なら中学生でも知っているということもあり、えええーと思いました、ここは。

また、最後に犠牲になる被害者ですが、ううーーん。
それはまあ、こいつはいっとけ、という読者の気持ちを汲んでみましたv ということなのかもしれませんが、ことここに至っては殺しても物語に関係ないですよね?
本格ミステリだとこういう被害者は、犯人がやりすぎたことで探偵の画竜点睛に一役買う、という筋が多いかと思うのですが、そういうわけでもなく。

それを言い出すと、犯人の動機も強いとは言いがたいし、どうやって毒を飲ませたのかというトリックも「えー」と思いましたが(笑)、でもこれはハウダニットよりフーダニットに重きを置く本格ミステリのことですから仕方がないなあ、と思えます。

探偵役にあんまり積極的な魅力がないのが残念でした。でもベイジルの奥さんがステキな人っぽい描かれ方だったので、そこんとこもうちょっと詳しく! と思いました。

ほかのヘレン・マクロイの作品も読んでみたいと思います。
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by n_umigame | 2009-09-20 22:58 | ミステリ | Trackback | Comments(2)
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Commented by Yuseum at 2009-09-21 15:40 x
にせみさん、こんにちは〜。
Yuseumもこの作品、読みましたよ〜。
面白かったですが、やっぱり最後の被害者は余計ですよね(・・)(。。)

『暗い鏡の中に』で、ベイジルと婚約する前のギゼラが出てきますよ。
ただ、この作品も絶版中で^_^;
でも、復刊する前の『幽霊の2/3』ほど、入手が困難ではないですが。。。
603ドルですか(゚゚;) 本国では「幻の作家」なのでしょうか?
Commented by n_umigame at 2009-09-21 20:53
Yuseumさん、こんばんは(^-^)/
そうそう、ギゼラです! イニシャルのGが出てきたとき「まさか?」と思いましたが違いました~。ベイジルのシリーズを全部読みたくなり、とりあえず『家蠅とカナリア』は買いましたv
他は手に入りにくいみたいですね…(T_T)がんばりまっす!

ところでベイジルって何歳くらいという設定なんでしょうか。