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*さいはての西*

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『ワールド・トレード・センター』(2006)

2001年9月11日、午前8時40分過ぎ。ニューヨークのシンボルともいえる2つのタワー、世界貿易センター北棟にアメリカン11便が、南棟にユナイテッド175便が激突した。港湾局警察官(PAPD)のジョン・マクローリンとウィル・ヒメノは同僚と現場に急行、人命救助のためビル内部へと向かう。しかしその時、再び轟音が鳴り響き、ビル全体が崩壊を始める。奇跡的に生き残った2人だが、瓦礫の下敷きとなり身動きすら取れなくなっていた……。(goo映画)


あれ、なんか、評価低いですね?

地味、自国の視点でしか見ていない、アメリカのことしか考えていない(なぜアメリカがこれほどの憎しみの対象になったのかという自省がない)、単純に映画としてつまんない、等々が評価が低い方のご意見のようです。

地味はともかく(笑)、思ったほど「アメリカバンザイ、テロリスト=悪」みたいな映画ではなかったです。
むしろ、いつもと同じように1日が始まり、一体なにが起きているのかわからないまま、まー何はさておきこれが自分の仕事だしねと、自分の職務に忠実であろうとしたためにビルの倒壊にまきこまれた主役2人の警官の描き方には、なかなか上手に描かれているのではないかと思いました。
BGMがほとんど派手な曲がなく、淡々と描いたのも良かったと思います。

9.11が起きた日、忘れもしない、わたくし、テレビも見られず新聞も取っていない状況でした。漏れ聞いた話だけを元に、「んまー、ヤクザにケンカ売るようなまねをするバカがいるのね…。絶対仕返しされる、それも倍返しで…」とあきれた、というのが最初の感想でした。次に「これがきっかけで世界中が戦争になったらどうしよう」と思いましたが、とりあえず世界の国々はそこまでバカでなく。

自国が爆撃されたり、国土が焦土になったり、非戦闘員が大量に殺されたことが一度もない国にとって、9.11はショックだっただろうということは想像できます。
一方で、自国が爆撃したり、焦土にしたり、非戦闘員を大量に殺した国のことをきれいさっぱり度外視できるのはなぜなんだろうと思います。
事実として知ってはいるはずなんですよね。
いくら自分を「あれは正しいことだった」とだましたところで、というか、「あれは正しかった」とわざわざ言わなければならないというところに、後ろめたさがあるのではないかと感じます。「正し」かったら人を殺しても良いと言ってるようなものですから、そうでも言わないと自分が救われないから。

こういう映画を見て「おまえが言うな」と言い立てることは簡単なのですが、むしろ、なぜそんな「おまえが言うな」的作品に巨額の投資をし、世界中にばらまくことができるのか、その心理の方がもっと知りたいです。

作品の最後に流れるモノローグ、ふだん感じることができなかった人々の助け合いの精神や、人の善意を感じることができた、というのはきっと本当のことだろうと、震災の時の経験を思い出しても、そう思います。


*追記
この映画で好きなセリフ→「愛想が悪くてにっこり笑わないから、警部補になれなかったんだ…」@ニコラス・ケイジasジョン・マクローリンさん。
へえええー、アメリカでもそういうの、あるんだ!(笑)
てゆうか、ビルの瓦礫に生き埋めになってるときに、昇進できなかったよう~ってグチるってのがスゴイ。
こういう人だったから生き残ったんですよね、きっと。
でも部下には「サージ(巡査部長)、サージ」って慕われてるから、いいじゃん。

ユーモア、愛想、そして家族を愛し愛されていることが大事というメッセージはしかと受け取りました。(笑)
by n_umigame | 2009-09-28 17:11 | 映画・海外ドラマ