*さいはての西*

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『チェンジリング』(2008)

1928年。ロサンゼルスの郊外で息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン。だがある日突然、家で留守番をしていたウォルターが失踪。誘拐か家出か分からないまま、行方不明の状態が続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5ヶ月後、息子が発見されたとの報せを聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た見知らぬ少年だった。(goo映画)


タイトルになっている「チェンジリング」とは「取り替えっ子」…妖精がいたずらで本当の子どもの代わりに醜い子を置いていく、というスコットランドなどの民話からですね。

けっこう長尺の作品だったのですが、最初から最後まで目が離せませんでした。
見終わってしみじみ、本当に良くできている映画だったなーと思う映画でした。

子どもを失った母親のナイス・ガッツとナイス・ファイトが全編を迷いなく貫くところがすがすがしいです。
ただ、クリスティンはとりあえず事実が明らかになって犯人も罰されて良かったと言えるかもしれませんが、実際に過去、「精神病院」に放り込まれてそのまま闇に葬られた人もいたのでしょう。
1920年代後半だから仕方がないのかもしれませんが、現在の人権の基準から照らし合わせるととんでもねえ時代だったんですね。警察や精神病院のようなところは、こんな風になりやすいのかもしれません。精神病院だけでも一個、別の映画撮れそうでした(笑)。しかしこれがおかしい、と考える人が多くなってきていたというのが救いです。

「コード12」で同じく精神病院に放り込まれた元売春婦の女性の、「女は感情的で理論的に考えることができず突拍子もないことを言い出すから取りあう必要はない云々と思われてるの(うろおぼえ)」というセリフを聞いて、主人公を女性にしたのも「映画」として成功している一因なんだと思いました。
警察の腐敗と戦うという構図でもあるのですが、警察と言えば父権的なもののメタファの代表のようなものです。「ほとんど腐ってるんだけど、一部まともに機能しているんだよ」という見せ方が、何だかいろいろと深読みしたくなってしまいました(笑)。だって、2008年の作品なのに、なんでこんなこといちいち言わなくちゃいけないんですか? しかも「警察が、自分たちにとって都合が悪いから「おかしい」ことにして精神病院に放り込んだけど、実はすごく「まとも」な登場人物」に。 考えちゃうなあー(笑)

実話らしいという事前情報があったため、ジョン・マルコヴィッチが出てきて「ジョン・マルコヴィッチが長老会派の牧師…なんか裏が?」と邪推し、「市を相手に訴訟で戦って不敗を誇る辣腕弁護士(依頼料がすごく高い、ジョン・マルコヴィッチの友達)」が出てきたときは「……売名?」と、ちらっとでも思ってしまったわたしはもうあの頃(どの頃)には帰れません。
でもクリスティンを守る「騎士」の役目をする牧師や弁護士たちが、みなさんいいあんばいに枯れていて、おかげで、何でも安っぽいロマンスを放りこんどきゃ女子どもがキャーキャー言うて見るだろ的な、ハリウッド映画にありがちな、観客をバカにしたような作品に堕することを防いでいます。

ひとつだけ不満というか、もう少しつっこんでほしかったのは、なぜジョーンズ警部がそもそもこんな茶番を思いついたかですね。警察の腐敗が目に余るので、一発決めたかったのかもしれませんが、ちょっと考えたら身の破滅になることくらいわかるだろうに。
それを言い出すと精神科医の人たちも、御用医者なのでしょうが、なんでそんなになんでもかんでも警察の言いなりに? 弱みでもにぎられてるのかと思うような、「警察の太鼓持ち医者」でした。
でもこれ実話なんですよね? そのあたりも実話なんでしょうか。
(ジョーンズ警部を好演したジェフリー・ドノヴァンは『名探偵モンク』にも出ていたそうです。どの回だろ…)
殺人鬼の人もそこはかとなくいい壊れっぷりでしたね。

休みの日に見てスカっとするぜ、という映画ではありませんが、完成度も高いと思いますので、精神的にも体力的にも余裕があるときにぜひオススメいたします。
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by n_umigame | 2009-10-06 01:06 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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