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*さいはての西*

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『ベルばら』関連、3点。

年末年始フランス革命とその周辺祭り(自分内)企画、第3弾。

『ベルばらKids』 1~4 池田理代子著(朝日新聞出版)
→朝日新聞土曜版別刷り「be」でほぼ毎週読んでいるというのに、買ってしまいました…。
いやー…これを買った日ちょっとストレスがたまっていたみたいで、こんな日に本屋さんに行くといかんですね。(そんな理由か)
冷静になってから考えると、高いよこの本!
タイトルは『ベルばらKids』ですが、池田理代子さんの代表作の横断パロディという感じの4コママンガです。
4コママンガとしては、まあ、落ちてないのもあるし(笑)微妙なできぐあいですが、名作のセルフパロディが読めるというところが醍醐味として大きいかと思われます。
あと、朝日新聞の記者の方が持ち回りで書いているコラムも、なかなか読み応えがあります。
1月にもう5巻が出るんですね。
これを読んでいると、自分もパロディを描きたくなてしまいました……。

『ベルサイユのばら大事典』 池田理代子著(集英社)
→発表30年を記念して出版されたという事典。
ファンの方には、キャラクターの裏情報やグッズの紹介などが楽しめるのではないかと思われます。
池田理代子さんのキャラクター別のコメントがおもしろかったです。
例えば、フェルゼンの解説のところで「わたしだったらこんなあちこちに愛人がいるような男いやだわ(笑)」とおっしゃっていて、そーだったのかと(笑)。それがわかった上で、あれだけフェルゼンがマリー・アントワネット一筋だったかのような一大ロマンスを描けるのですから、大人です。

個人的にいちばん読み応えがあったのは、池田理代子さんによるあとがきです。

『ベルサイユのばら』という作品で描きたかったのは「女性の人間としての自我の確立とそれによってもたらされる自立した能動的な人生である。」と言い切られています。
作品が発表された当時、女性が社会に出て仕事をすることが是か非かといったことが、当事者でない男性によって議論され、これがまた今からすると信じられないようなとんちんかんな意見が、当時「知識人」と言われる男性によってメディアで披露されていたそうです。
そういった時代に発表された意義は、やはり大きかったのだろうと思いますし、だから現在も古典として読みつがれているのだろうと思います。

「社会に出て男性と同じ仕事」、それも軍隊という男性原理の象徴のような組織で「仕事をする」オスカルは、結局死んでいき、平凡に?結婚していったロザリーは生き残るというのが、このあとがきを読んでから思うと、時代を象徴しているように思いました。
そして今当たり前のように働いている自分が、そういった先人のご苦労があったからこそであるということも、改めて思いました。
『ベルばら』の中で一番印象に残っているセリフは、オスカルが父ジャルジェ将軍に「このように育てて下さってありがとうございます」というところなのですが、池田さんのあとがきでも、このセリフにテーマは集約されているとあり、そうだったのか…と、なんだかしみじみしました。

『ベルサイユのばら』アニメ版
→全部見ていないのですが、レンタルにあった分だけ、飛ばし飛ばしなのですが見ました。
なぜ飛ばすのかって、そりゃ、見ていてなんだかこっぱずかしいからですよ。
いやー、昭和のアニメって感じです(笑)。
ほかの方のご感想なども、いろいろと見てみたのですが、前半と後半で監督が変わったのですね。
それをさておいても、原作がけっこうコミカルな感じで流しているところも、いちいちマジメに盛り上がるものですから、もう、重い!重いです!

印象に残ったのは、むしろ怖かったからですが、シャルロットが自殺する回です。
ちょうどここから監督が代わったようなのですが、原作では名前しか出てこなかったド・ギーシュ公爵がきもい…。あのカエルの噴水もこわい…。

あと、監督が男性になったことや、原作が発表された年から少し時代も変わっていたということもあるのかもしれませんが、オスカルが父上に「このように育てて下さってありがとうございます」と言うシーンが、全然原作の意図を汲めていなくて、「おかげで女の人生から逃げられます」みたいな消極的な軽いセリフになっていて、がっかりでした。

特に後半は、キャラクターが伏し目がちな表情が多くて、全体に表情が暗かったです。
原作のキャラクターたちが、悲劇的な運命の中をなんとか自分の力の及ぶ限り生き抜こう、という強い意志を感じるのに比して、「こうなってしまったものはしかたないし」というような、諦観ともまた違う、ちょっと投げやりな印象を全体的に受けました。
by n_umigame | 2010-01-03 18:43 | コミックス