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『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』 中野京子著(光文社新書)光文社

スイスの一豪族から大出世、列強のパワーバランスによって偶然ころがりこんだ神聖ローマ帝国皇帝の地位をバネに、以後、約六五〇年にわたり王朝として長命を保ったハプスブルク家。常にヨーロッパ史の中心に身を置きながら、歴史の荒波に翻弄され、その家系を生きる人間たちの運命は激しく揺さぶられ続けた。血の争いに明け暮れた皇帝、一途に愛を貫いた王妃、政治を顧みず錬金術にはまった王、母に見捨てられた英雄の息子、そして異国の地でギロチンにかけられた王妃―。過酷な運命と立ち向かい、また定めのまま従容と散っていったヒーロー、ヒロインたちは、どこまでも魅力的。彼らを描いた名画に寄り沿い、その波瀾万丈の物語をつむぐ。(Amazon.jp)


年末年始フランス革命とその周辺祭り(自分内)企画、第4弾。
まだあったんか。
ええ、まだもうちょっとありますんで。

中途半端なミステリーを読むより、よほどおもしろかったです。
そして怖かったです。

お、王室の人って……。(滝汗)
帯に「650年にわたる血みどろの王朝劇」とありますが、まったく誇張でないところがいかがなものなのでしょうか。ブルブル。

上の紹介文には「定めのまま従容と散っていったヒーロー、ヒロインたち」とありますが、そんないいもんじゃないですよ、当人たちにとっては。
『怖い絵』をもっとつっこんで描かれたという印象で、中野京子さんの鋭くクールな人間観察眼が光ります。
特に章立てでは語られなかった人物についても、もっと中野京子さんのご本で読みたいなあという人物がたくさんありました。

個人的にはマリー・アントワネットの娘マリー・テレーズについて、もっと読みたいです。
13歳という多感な年頃に4年間幽閉され、その間ほとんど誰とも話すことが許されなかったことから、人質交換で牢獄を出たときには失語症のような状態だったとか。(中野さんは、4年間の監獄生活は”女性ということもあって口に出せない地獄を見たであろう”とさらっと書いてらっしゃいますが、そういった部分に思いをはせられたフランス革命関係の本はほかには〔今のところ〕当たっていません。)
のちに「フランスへ復讐のために帰ってきた”唯一の男”」と称されたマリー・テレーズは、成人してからは気むずかしい女性だったとか。オーストリアの宮廷でフェルセン伯に再会したとき、口もきかなかったそうです。その気性は肖像画にも現れているのですが、こんな青春時代を送って何の屈託もないほがらかな大人に育ったら、それはそれで心配ですよね。

庶民がひどい生活を強いられていたことは間違いない時代、王族の人間も飢える心配はなかったかもしれないけれども、「基本的人権」などという概念は為政者である王族にもありません。
そして庶民ならせめてあったかもしれない夫婦や親子の情愛などといったものも欠落しています。
読み終わって思わず心の中でいろいろな意味で合掌したのでした。
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Commented by masato at 2010-01-13 01:11 x
こんにちは. こちらの本, 発売されてすぐ読みました^^  去年の11月に国立新美術館にハプスブルク展を観に行きまして, 行く前に予習のつもりで再読したら, 紹介されていた絵が実際に何点か来ていて, 物販コーナーでも参考図書みたいな感じで売られていました(笑)

以前, ニセミさんがご紹介されていた「クリスマス・キャロル」のコミック版読みましたよ♪ クリスマスの時期に合わせて^^ あの独特の絵はディケンズの世界によく合いますねーー. 教えていただきありがとうございました!
Commented by n_umigame at 2010-01-13 19:01
こんにちは~!収録されている絵画はどれもすばらしいのですが、いかんせん本当に怖かったです…(((゜д゜;)))。
狩猟民族肉食GO!という感じでした(意味不明だ)
ご覧になったという『ハプスブルク展』はこの1月から京都でも始まりまして、行きたいです!実物が見てみたい絵が何点もあるのですが、実物の迫力がトラウマになるかしら…。

坂田靖子さんの『クリスマス・キャロル』お読みになったのですね! お楽しみいただけてファンとしてうれしいですv コメントで「ロートレックっぽい絵」とおっしゃっていて、何だかすごく頷きました(笑)。
坂田さんの絵でディケンズの作品がもっと読みたいです~。
Commented by 縁側昼寝犬 at 2010-01-17 09:40 x
 私も去年に「ハプスブルク展」を見に行きましたよー。多分、ハンガリーには行かないと思うので、ここで見なければ一生見られない絵だわ、と思いました。18世紀の絵もあるので、見るとまた「ニコラ・ル・フロック」熱が再燃すると思います。^^^^^^ ただ東京の週末はとても混んでいて、入場規制されたりしてましたので、ご覚悟を。
 
Commented by n_umigame at 2010-01-17 22:46
縁側昼寝犬さま、こんばんは~(^O^)/

このだだ寒いのにあの盆地底冷え元平安京に行くだけでもけっこう覚悟がいるな…と思っていたら、入場制限があったと伺って萎えております…きゅーん…(〒_〒) 御所より南なので、まあ大丈夫思いますが…。(真冬の御所より北は近畿とちゃいます)
でもニコラ萌えをもらいにガッツで行ってまいります!
(*゜∀゜)=з
by n_umigame | 2010-01-11 21:42 | | Trackback | Comments(4)

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