*さいはての西*

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『シャーロック・ホームズ』(2009)

あらゆる悪がはびこる、19世紀末のロンドン。不気味な儀式を思わせる手口で、若い女性が次々と殺害される怪事件が勃発する。名探偵シャーロック・ホームズはたちまち犯人を突き止め、邪悪な黒魔術を操るブラックウッド卿を捕まえる。だが彼は、処刑されても自分は復活する、とホームズに宣言。やがて予言通り、死刑に処されたブラックウッドが、墓場から甦ってしまう。前代未聞の大事件に人々がパニックに陥る中、ホームズだけは史上最大の謎に挑めることに胸を躍らせていた…。(goo映画)



見終わった方向けのネタバレ感想でまいります!


けっこう長尺で、あと10分くらい短くても良いのではないかと思いました。
全編これアクション満載、筋肉と筋肉のぶつかり合い・がっぷり四つ、という感じの映画だったにも関わらず、いや、だったからこそ、途中眠くて眠くて……。(←えええ)

映画館で映画を見たら、エンドクレジットが終わるまで席を立たないと決めているのですが、今回はエンドクレジットが始まったとたんに8割がた席を立ってしまい、残った2割もシネコンの長いエスカレーターを降りる途中みなさん劇場出るまで無言て。
お友達どうし、ご夫婦、デートとおぼしき男女の二人連れが多かったのに、なぜ、みなさん無言。

いや、ちょっとはわかりますよ、どうつっこんでいいのかよくわからない映画ですよね。
もし『ぴあ』の出口調査に引っかかったら、わたくしも「ふつうにおもしろかったですv」とかテキトーなこと言い捨てて逃げると思いますし。

そのエスカレーターの下りで、後ろに立ったマダムのお二人の会話。



















「これで終わり?」
「続くんとちがう?」
「そうやんね、なんにも解決してへんもんね」
「そうやね、モリアーティさんのとこがねえ」


奥さま、教授とはご近所さんなんですか。
(((゜д゜;)))


↓以下、映画の感想です。


















見初めて10分経たずに「どっかで見たことあるぞこれ」と思いおこせば、『ヤング・シャーロック : ピラミッドの謎』。そして終わり方も「どっかで(以下略)、『ヤング・シャーロック : ピラミッドの謎』でございますよこれは。
主人公二人が少年からおっさんに変わっただけで、マインドは少年だぜイエーというところがなおさら。
オカルト趣味なのは、まあ、原作のコナン・ドイルさんもあれなお人だったわけなので、それはいいのではないでしょうか。

原作のイメージと違うとか、グラナダホームズを見習えとか、ミステリーじゃないとかいうご意見ご感想もちらほら見かけますが、予告や絵面を見ただけで、「それ」を期待するのは間違っているということはわかりそうなものであります。
(新作の予告編で流れた『名探偵コナン』の次回作を見て、むしろ、思いましたね。
コナンくん、推理しようよ、…と。)

ですので、まったく何の予備知識もなく、予告を見ただけで見に行ったのですが、最近のハリウッド映画にありがちなことに、予告篇以上に魅力のあるシーンがありませんでした。

ハイテンションのアクションシーンがジマー節に乗ってばんばんと多用されているため、テンポは良いのですが平板な印象を受けます。

ロバート・ダウニー・Jrのホームズ、ジュード・ロウのワトソンさんは予想以上に(自分が想像していた方向に)良かったです。
それぞれのキャラクターの核になっているところを抽出して純粋培養して育てました、みたいな、とてもよくできた遺伝子組み替えホームズ・ワトソンです。

ロバート・ダウニー・Jrはアクション俳優さんだと思っていたのですが、今回の作品で見直しました。
けっこう繊細な演技のできる俳優さんだったんですね。
ホームズの社会不適応者っぷり、不潔でだらしないところ、ワトソンさんの服はぼくの服なところ、ワトソンさんの手術用の麻薬はぼくの麻薬なところなどなど、破天荒でやんちゃなところはユーモラスに。
コンピュータの解析のようなシミュレーションを頭の中でしてから相手に攻撃をかけるところは、理知的に。
そしてほんの小さなことまで見逃さない素晴らしい観察眼に恵まれているがために、言い換えれば何もかも見えて/聞こえてしまうがために、一歩外の世界へ出ればノイズの洪水で気が休まることがなく、その外の世界とのフィルター役をしてくれているワトソンが、ホームズにとってどれほど大切な存在であるかということが、よくわかります。
ワトソンがメアリをホームズに紹介するレストランのシーンでは、ホームズがとてもかわいそうになりました。
推理して見せて、と言ったメアリをワトソンが止めたことで、ホームズが「こんなこと」を繰り返してきたことがよくわかります。
つまり、観察とそれによる演繹的な推理は高い確率で正しい結論を引き出すのだけれども、思いやりに欠ける結果になることが多かった。
ゆえに人を怒らせたり悲しませたりし、孤立する(ワトソン以外に友達いない)、という構図がたったひとつのシーンによく現れていて、それがホームズが一瞬見せる「ああ、またやっちゃったよ、しゅーん」という悲しそうな顔と、その後給仕さんたちがやってきて強がって見せる、という表情の変化だけで見せていました。
ロバート・ダウニー・Jrのくりっとした大きな目は、よけいに同情を誘います。あのくしゃっとした髪が赤ワインまみれだったせいか、なんか、雨に濡れて「くーん」と鳴いてる捨て犬みたいで(笑)。

でも、あやふやな”友だち”100人より、このワトソンさん一人の方がよほど心強いです。
それがわかっているから、ホームズもいじましい”妨害”をするのでしょう。けど、いいかげんにしないと馬に蹴られて死ぬよ?(笑)

パンフレットに大槻ケンヂが寄稿していて、この映画はBLだ、みたいなことが書いてあったのですが、うーん、そうかなあ。
ホームズの妨害は「お母さんを弟に取られたお兄ちゃん(3歳)」レベルだと思うんだけれども(笑)。
個人的に前々から、ホームズとワトソンは対等の関係、あるいはホームズの方が脆くて危なっかしいと思っていました。
というか、「探偵と助手/相棒」コンビは、「探偵」より「助手」の方が本当は強いし一人で生きていけるタイプ、というパターンが多いと思っていたので、だからといってBLってこたあないんじゃない? と思いましたが。
本当にBLスキーの方の記号的変換能力は「夫婦茶碗でも」(@大塚英志)オッケー☆なのだろうと思われますし。

それにこの映画のホームズにはアイリーン・アドラー、ワトソンにはメアリがいるわけで、まあこの映画のアイリーン・アドラーはこんなにメイクのイケてない不二子ちゃんじゃない方が良かったとは思うけれども、何となくドラマのポワロとロサコフ夫人を思い出しましたね。
メアリも、グラナダ版みたいな「いかにもヴィクトリア朝のレディ」という感じではなくて、いやグラナダ版のメアリも好きだけれども、この映画のメアリもいいし。

それとオープニングがいいなあと思いましたが、エンディングはもっと好きです。

そんなこんなで、映画作品としてはそんなに見るところがなかったのですが、ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウのコンビの演技の良さに大いに救われて、続編の製作も発表されましたし、続きもこうご期待ですね。
総括:キャラクター映画としては楽しかったです。
おまけ1:敵役はもっと強い方がいいと思います。
おまけ2:あの犬がかわいかったです。

ところで、この映画でブラックウッド卿を演じたマーク・ストロングは"The Eagle of Ninth"(邦題『第九軍団のワシ』でグアーンを演じることに。その"The Eagle of Ninth"もいよいよ、2010年9月にアメリカで公開が決定したようです。
日本公開はいつかないつかなー。
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by n_umigame | 2010-03-22 23:13 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(6)
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Commented by 真人 at 2010-03-23 20:17 x
にせみさん, お久しぶりです. 僕もホームズの映画観ました!ガイ・リッチー作品は, ゼロ年代の映画とは思えないチープでレトロな感じがあって好きです. スピーディーでコミカルな演出に素手ボクシングに犬, とガイ・リッチーらしさが随所にあって, 僕は楽しめました^^ ドラマティックな音楽と豪華なVFXは, 過去作にはなかったので, びっくりしました.
今までホームズの原作は読んだことがなかったのですが, この映画を観て, ホームズ&ワトソン格好良い!と感動し, 初めて興味を持ちました. にせみさんは原作にお詳しそうなので, おすすめを教えてください^^ よろしくお願いします!
Commented by n_umigame at 2010-03-23 21:58
真人さん、こんばんは~。お久しぶりです!
今までのイメージをうち破ろうというその意気やヨシ!という作品でしたね。 ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウ演じるホームズ&ワトソンコンビがやはり作品に大きく貢献していたのだと思いますよ。続編の製作も発表されましたし、次もわくわくですね~(モリアーティ教授をブラピがやるとかやらないとかウワサされているようです。『イングロリアス・バスターズ』のノリでやられるんでしょーか(^▽^;))

シャーロキアンの方から見ればわたくしなぞファンの風上にもおけねえくらいのことしか原作についても存じませんが、わたしはオーソドックスに延原訳(新潮文庫版)で育った子だったので、やはり新潮文庫版『シャーロック・ホームズの冒険』あたりからお始めになるのはいかがでしょうか。(´∇`) 
コナン・ドイルの原作は全作品読んでも大した分量ではないので、『冒険』の後はぱらぱらっとご覧になってお好きそうなものから読んでもいいかもしれません。
原作が少ない反動か、ファンの妄想はその後爆走した感があり、パスティーシュやパロディになると一生かかっても読めないんじゃないかというくらい出ていますが(笑)。
Commented by 鳩三礼 at 2010-03-29 08:59 x
ホームズご鑑賞おめでとうございます!私もキャスト発表の頃から(^_^)楽しみにしており鑑賞に臨んだのですが、仰るとおりキャストの点では全く裏切られることがなく、ああこんな感じのホームズとワトソンのボケツッコミコンビ(え?)が見たかったんだヨー!と感涙にむせびましたですよ…

ダウニーJr.さんは今まではむしろちょいと演技派方面で地味ながら(おい)ならしてきた方なので、現在の「肉体派でも瞳は小犬ちゃん」な雰囲気が逆に新鮮でございますのよ奥様(←誰)

Commented by n_umigame at 2010-03-29 14:08
鳩さん、すっっっっかりご無沙汰してしまっていて申し訳ありません!!m(_ _)m・°・(>_<)・°・ クラバート本をお送りしようと思い、いっしょに年賀状(何?)(年賀じょ…)(もう一回言ってご覧)(ね、ねねねね…ねん……すまない)もお送りしようとしてちょっともう桜が咲いていますよ!!!
ぜったいにお送りしますので生あたたかい目つきで待っててやってください!!

とか言いつつ映画見に行ってるじゃねえかというわけでホームズ、バディ・ムービー好きにはサイコー☆でした。(お話的には、ええ、その、まあ……)

ダウニーJr.さんは、ご存じの通りわたくしのアレな芸能知識では『アイアンマン』でやっと名前と顔が一致して、ほかで見ても識別できますという状態になったばかりという人間でして、まったくお恥ずかしい話、こんなに演技のできる俳優さんとは存じ上げず、たいへん失礼しました。そんなわたくしですらお名前はちょくちょく聞く俳優さんだったので、きっとふつうに有名な演技派俳優さんだったのだろうと。
このコンビはいいですよね。
次回作もきっと映画館に見に行くと思います。
Commented by まりお at 2011-02-09 23:14 x
「愛が微笑む時」、ご覧になりましたか? 邦題に「愛」のつく映画はとりあえずスルー、という私ルールを破り観たところ…これが傑作!
今よりもっと小犬ちゃんぽいダウニーJr.と幽霊たちとのふれあい。“天国から来たチャンピオン系”なので、最後にはお迎えが来るわけですが、涙、涙。 笑って泣けて心温まる掘り出し物でした。
Commented by n_umigame at 2011-02-10 20:48
>まりおさん 
ダウニーJr.が演技派だったということすらが発見でしたので^^; 今度「愛が微笑む時」も見てみますね♪
ほんとに、洋画の邦題だけはなんとかしてほしいですよねえ。邦題で損してる映画、たくさんあると思うんですよ。