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『アガサ・クリスティ ミス・マープル3』#3:ゼロ時間へ

人気テニス・プレーヤーのネヴィルは妻ケイに前妻オードリーと仲良くしてほしいと言い出し、後見人カミーラの海辺の屋敷で引き合わせる。カミーラの旧友のミス・マープルも滞在中だ。ほかのゲストも交えたディナーで、老齢の弁護士トリープスはかつて事故を装った計画殺人を成功させた子どもの話をする。翌日、トリープスは心臓発作で亡くなっているのが見つかる。やがて、屋敷内で殺人事件が起こり、マラード警視が捜査を始める。(NHK海外ドラマHP)


前回の『無実はさいなむ』と同じく、映画の先行作品があるこの作品。
ただし、パスカル・トマ監督のフランス映画でした。
なにかと因縁のあるイギリスとフランスのこと、自国の至宝とも言うべきミステリ作家の作品を先んじて映像化されてしまい、「おフランス野郎にクリスティーの何がわかるっていうのだ、キィー!」…と思って一同、燃えた。 かどうかは存じませんが、これも比較的原作どおりに(肝心の探偵役がごろっと変わっとるやないかいというツッコミはこの際おくとして(笑))、ふつうにおもしろい佳作に仕上がっておりました。
やればできるじゃん。(←上から)

繰り返しになりますが、原作はバトル警視ものの佳作で、クリスティーの作品中屈指とおっしゃる方も多いかと思います。
ただ、「ゼロ時間」の意味するところからも、倒叙ものへのチャレンジのような意味合いもあったのかなあと思うほどに、ミステリをあまり読み付けない方が読むと、どこがおもしろいのかいまひとつわからないというご感想もあるかと思われます。

こうやってまとまって改めてドラマで見てみると、クリスティーの犯人って、いろいろな意味でいっちゃってる人が多いですね(笑)。もちろん役者さんたちがうまいのですが。
こんなにそんな感じだったかなあと、以前読んだ作品をぐるぐる思い出しているのですが、いかにも「人間だもの、あるある」というところと、「そんな手の込んだことするやつおるかい」というところの線引きの加減が、絶妙なんですね。

世界中で聖書より読まれていると言われるゆえんは、この人間という業の深い生き物の、狂気とのすれすれラインを、ミステリとメロドラマに包んで描き出すところにあるから、という部分もあるのではないかと思いました。

内田樹さんが「世界文学とは何か」というおもしろい定義をされていました。詳細はお読みいただくとして、かいつまめば「司馬遼太郎は世界文学になり得ないが、村上春樹はなり得る」という例をあげて、いつものおもしろ内田節で語っておられたのですが、そういう意味でいくと、アガサ・クリスティーはまぎれもなく、世界文学であると言えるかと思います。
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by n_umigame | 2010-03-25 23:32 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(4)
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Commented by Yuseum at 2010-03-26 19:24 x
今回は楽しめました\(^o^)/
冒頭のクレジットで脚本がケビン・エリオットと出た時点で、
スーシェ版「五匹の子豚」や「ナイルに死す」脚本家だから、大外しはなかろうと。
まあ、ケビンは「書斎の死体」みたいな事もやらかすので、油断はできませんが(-。-;

個人的には、あの犯行シーンを再現してくれたことと、ラティマー危うく溺死?!が映像化されたのが、嬉しかったです。まあマープルって大の男を突き落とすほどの力があるんだな、と(^^)
Commented by n_umigame at 2010-03-26 23:22
なかなかどうしてでしたね^^)よかったです。
ジェラルディン・マクイーワンさんがラストイニングだったからかもしれませんが。

>大の男を突き落とすほどの力があるんだ

まあ、船の上だったとか、相手が油断していたとかもあったかもですが、わたくしも「ミス・マープル怪力説」に一票を投じさせていただきます
。(笑)
Commented by キムリン at 2010-03-27 14:01 x
原作は未読ですけど、ドラマ自体は結構面白かったです。ただ、元々この話がミスマープル物ではなかったからなのか、下の人も言っているように、男を海に突き落としたり、真犯人が海を泳いだり崖をロープでよじ登ったりと、他のミスマープルものと比べると、しっとり感がなくてアクション系でしたね。どうも「白昼の悪魔」のプロットが頭を離れなくて、最後まで、ネヴィルとケイがわざと仲の悪いふりをして実はぐるになってオードリーを殺そうとしているのが真相なのではと思っちゃいました。ちなみに、バラード警視の声が、CSIマイアミのホレイショー・ケインと同じだったので(石塚さん)、マープルVSホレイショーの絡みが一番楽しめましたね(*^_^*)
Commented by n_umigame at 2010-03-27 23:33
海外の本格ミステリや古典ミステリがお好きでしたら、ぜひ原作にもトライなさってみてくださいね。作品自体も佳作ですが、わたくしは個人的にバトル警視が好きで^^)。バトル警視は地味なのですが、けっこう隠れファンが多いようです。
そして、海外の本格ミステリや古典ミステリがお好きでしたら、ぜひ「下の人」^^)、Yuseumさんのブログやサイトにもいらっしゃってみてくださいませ。オススメですよ~。(最近、ちょっと、更新が滞りがちですが、今に帰ってきてくださると思いますので。>ね、Yuseumさん?^^)ウフフ)
わたしもTwitter始めようかなあ…。でも何をつぶやけばいいのか。
Twitter始めようか悩んでますなう。とかか。