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『運命のボタン』リチャード・マシスン著/尾之上浩司編/伊藤典夫ほか訳(ハヤカワ文庫NV)早川書房

訪ねてきた見知らぬ小男は、夫婦に奇妙な申し出をする。届けておいた装置のボタンを押せば、大金を無償でご提供します。そのかわり、世界のどこかで、あなたがたの知らない誰かが死ぬのです。押すも押さないも、それはご自由です……究極の選択を描く表題作をはじめ、短篇の名手ぶりを発揮する13篇を収録。スピルバーグ、キング、クーンツら世界中のクリエイターたちに影響を与え、彼らに崇拝される巨匠中の巨匠の傑作集(Amazon.jp)


表題作がキャメロン・ディアス主演で映画化され、日本でも5月に上映だそうですが、リチャード・マシスンは映像化されることのとても多い作家のようです。
収録作品のうち、最後の『二万フィートの悪夢』は、昔々に見た『トワイライト・ゾーン』の映画版の最後の作品(オムニバスでした)を思い出すなあと思っていたら、原作でしたよ、お恥ずかしい。
『トワイライト・ゾーン』は『世にも奇妙な物語』の元ネタ(?)のTVシリーズですが、映画版の方は『世にも~』のタモリみたいな進行役がダン・エイクロイドでした。
それが生まれて初めて見たダン・エイクロイドだったため、以後、彼が出演する作品は何を見てもコメディ畑の俳優さんだとは信じられず、絶対に怖いオチになると信じてどきどきしながら見ていたのもいい思い出です。『大逆転』も『ブルース・ブラザーズ』も『ゴースト・バスターズ』なんてゼッタイ怖いオチだ! と思いこんでいたもんです。同じ刷り込みでジョン・リスゴーが怖くなったことも言うまでもありません。(笑)

さて、収録作品ごとの感想は以下の通りです。
ネタバレぎみでまいりますが、なにも知らずに読んだ方が絶対に楽しめると思いますので、未読の方はここで回れ右でお願いします。




「運命のボタン」
これは、主人公の女性が「お金のために人を殺して良い」と考えるような人間であるとわかった時点で、(短篇だし)オチはわかってしまうのですが、それでも読んでいるとどきどきしますね。心臓ばくばくですね。
考えようによっては非常に深いオチです。
リチャード・マシスン、恐るべし。
しかし、たったこれだけの短篇ネタを映画でどう引っ張るのでしょうか。
また、この「小男」は、喪黒福造を思い出しちゃいますね(笑)。うちに来たらやだなあ。

「針」
翻訳にしてたった6p。だけれどももっと長いお話を読んだような読後感があります。

「魔女戦線」
それなんていう日本のアニメ?(笑)
いや、きっと、これをアニメ化したい人多いんじゃないかなあと思って。
アンファン・テリブルSFver.。

「わらが匂う」
それ、ぜんぶ、自分が悪い(笑)。

「チャンネル・ゼロ」
あとがきによると「実験的な異色作」とありますが、「みなまで言わない恐怖」をこれでもかと描き出した傑作だと思います。
怖すぎるよ、テレビつけられなくなるよ。

「戸口に立つ少女」
内田樹さんが、ヒッチコックは「人間が何もしなくても起動する邪悪なもの」を描く天才だ、と著書でおっしゃっていましたが、リチャード・マシスンも混ぜていいんじゃないかしらと思いました。

「ショック・ウェーヴ」
デヴィッド・イーリイにもパイプ・オルガンをテーマにした作品がありましたが、こちらはマシスン節と言うべきか。

「帰還」
ロマンティック時間SFというか。
どんでん返しのつもりで使われた部分が最初から読めてしまいますが、悲しい余韻が残るいいお話だと思います。ハッピーエンドではないですが。

「死の部屋のなかで」
身近に起こりそうでシャレになってないと思います(笑)。

「小犬」
これは……いちおう、謎の子犬がホラーの対象なのでしょうが、わたくしはむしろ、この母親の方が怖いと思いました。
子どもは親の所有物ではないし、ましてや愛玩動物ではありませんよね。

「四角い墓場」
それどこの少年マンガ?(笑)
鉄板のジャンプ系だと思いました。
2011年にヒュー・ジャックマン主演で映画化されるとのこと。似合いすぎて二の句が継げません(笑)。
そういう作品です。SF版『シンデレラマン』とでも申しますか…。

「声なき叫び」
いいお話です。子どもは自分を不幸にする「親」から逃げて、幸せにならなくちゃ。というオチですね。

「二万フィートの悪夢」
映画の感想とどうしてもダブってしまうのですが、ジョン・リスゴーの演技はトラウマになっています(笑)。
それだけ巧かったんでしょうね。今でも見られるのかなあ、あの映画。(*DVDになってました!)
映画で、怪物が人差し指を立てて「チッチッチ」とやるシーンがあるのですが、怪物のくせになんでアメリカ人なんだよと思い出しツッコミをしてしまいました。


リチャード・マシスンは『13のショック』がおもしろかったので長編も何冊か読みましたが、やはり短篇の方が巧いと思います。
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Commented at 2010-05-30 23:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_umigame at 2010-05-31 18:32
いえいえ、前の記事でもコメントをいただけるのは、たいへんうれしいですので、お気になさらず(^^)。
マシスンの短篇、好きです~v 長編ももちろんそれなりにおもしろいのですが、マシスンのコアな部分というか、「うおーこれこれ!マシスンはこうでなくっちゃ!」という感動が短篇の方が深いと申しますか(笑)。

とは言え、テキスト・ハンティングに出かけるほどではないのですが(これをやり始めると、経験的に(^^;)きりがないので…)、テキストではどういう表現になっているのかな?と思うところもあります。
お申し出、ご親切にありがとうございます。そちらにもお邪魔させていただきますね。
by n_umigame | 2010-04-09 22:14 | | Trackback | Comments(2)

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