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『メグレ警視 : ジュモン・51分の停車』 Maigret: Un meurtre de première classe


ブリュノ・クレメール主演のご長寿TVドラマシリーズの中の1作品です。

このTVシリーズのメグレ夫人は原作と違ってスレンダーな美女なところに制作者の趣味を感じますが(笑)、原作のメグレは「年と共に太ってくる女が好き」で、料理上手な奥さまと毎日こってりしたおいしいものを食べて、夫婦揃ってふくよかさんなのです。とても仲の良いステキな夫婦で、こんな夫婦になりたい、というご感想もちょくちょくお見かけします。

ただ残念ながらメグレ夫人は今回登場しません。
今回のお目当てはもちろん、フランソワ・カロンさんvvv 1999年の作品ですが、今とぜんぜんお変わりなく。俳優さんてすごいなあー。茶色系のスーツを着こなしていました。こんな色のスーツを着こなすのは東洋系男性はむずかしいと思います。
役は容疑者ですが(笑)、ビスケット会社の社長で浮気者(笑)。改めて、フランス人の恋愛感覚がやっぱりよくわかりませんです。


原作は"Jeumont, 51 minutes d'arret"(『停車-51分間』<『メグレ警視の事件簿1』所収 偕成社文庫>)なのですが、ドラマになったとき"Un meurtre de première classe" (一等車の殺人)というタイトルになったようです。それを日本語版DVDを出すとき、フランス語版ドラマのタイトルはそのままで、日本語版ドラマタイトルだけ元に戻したおかげで「?」てなことに(笑)。なぜ。

でも、内容的にもなんとなく『オリエント急行の殺人』を狙ったような?密室ミステリ仕立てでした。
英語圏のミステリと違うところは、サスペンスや謎解きに傾かないところでしょうか。もともとメグレものがそういう作風なのですが、じりじりとドラマで見せるといった作品です。
なので、あまりドラマとしてプロットに起伏がないですし、ミステリものを期待して見ると退屈と感じる人もいるかもしれません。

今回はメグレ夫妻に可愛がられている甥っ子のポール(メグレ夫妻には愛情を込めて「ポポール」と呼ばれています)が登場します。叔父のメグレに憧れて刑事になった警察学校を卒業してまだ2年のひよっこ警官です。メグレとポールが「今警察学校の何年だ?」「もうとっくに卒業しましたよ」みたいな会話を交わすシーンで、どこの国も世代が違うと同じような会話があるんだなあと微笑ましく見ていました。
息子が欲しかったメグレはこの甥を実の息子のように可愛がっていて、「叔父さん」と呼ばれて「警視(Monsieur commissaire)と呼べ」とつっこんだりといった会話が楽しい。
メグレは司法警察の警視なので管轄はもちろんパリなのですが、ときどきフランスのほかの地方でも捜査活動をしたりして、十津川警部かよという感じです(笑)。今回もポールに、国境のジュモンという土地で起こった事件のために助力を請われて出かけていきます。

こんな話だったっけな?と原作をパラ読みで読み返しましたが、犯人変えていいのか(笑)。
というよりかなり内容が変わっています。大らかだなあ。しかしこれだけ変えられてもあまり何とも思わないところが、メグレものの良いところかもしれません。

*おまけ*
「停車-51分」所収の『メグレ警視の事件簿1』の巻末にフランスの警察組織についてわかりやすい解説が付けられています。
引用しますと、以下の通りです。

「メグレとフランス警察」
フランスには大別して、<パリ警視庁>と<国家警察総局>の二つがある。
パリ警視庁はパリ二十区と隣接三県(オ・ド・セーヌ、セーヌ・サンドニ、ヴァル・ド・コルヌ)を管轄区域とし、国家警察総局はこのパリ市二十区と隣接三県をのぞくフランス全国のあらゆる国家警察の各機関を管理調整している(ただし、パリ警視庁の管轄区域は一九七一年十月からパリ市だけに縮小された)。
(『メグレ警視の事件簿1』長島良三訳 偕成社 1999年3月11刷より)


パリ警視庁の刑事と国家警察局の警察官が対立することはよくあるそうなのですが、アメリカのドラマや小説でよくFBIがしゃしゃり出てきて地元の自治体警察の刑事がキレるのと似たようなものなのでしょうか。
映画を見たり小説を読んだりしていても、フランスの警察組織って今ひとつよくわからないんですよねえ…。


年を取れば取るほど、「運命の修繕人」メグレの物語がしみるようになってきた気がします(笑)。
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by n_umigame | 2010-04-20 16:47 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(6)
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Commented by Marie at 2010-04-21 19:44 x
nisemiさま♪
こんにちは!私もメグレ、好きです!FoxCrimeで放送していた分は全部みたんです。でも新しい話を放映してもらえず、やはりレンタルしかないのかあーとあきらめているところです。
メグレの奥様は細身の美女ですよね。原作は読んだことないので、今度買ってみまーす。
しかしまあ、ジュリーでもメグレでもやたら浮気やら離婚が出てきますよねえー。まあ、サルコジ氏も前妻とはダブル不倫でしたが。
ジュリーの今度の部下二人はイケメンです。オヤジではないですが、目の保養にいかがでしょう?
Commented by 縁側昼寝犬 at 2010-04-22 22:26 x
 私もそれ見たいです~!ちょっと探してきます。
 cc= cc=┌( ・_・)┘⇒


 犯人が原作と違う、に大爆笑しました。そこまでやるのですか。
Commented by n_umigame at 2010-04-22 22:47
Marieさん、こんばんは!
おお、メグレお好きですか! ウレシイです~! FoxCrimeは契約していないのですが、けっこう見たいドラマをやっていて契約しようかなーと悩んでいます。メグレのときも「NYPD Blue」のときも指くわえてしくしく泣いてました(笑)。
ジュリー・レスコーのときもあれでしたが、メグレものを読んでいても思ったのですが、「恋愛」と言うより「情事」という言葉がしっくりくる感じですね…。でもよくわからないんです、あの感覚が(^^;)

ジュリーはわたしの中のデータファイルが更新されないままなので
見てもついていけるでしょうか…;;
Commented by n_umigame at 2010-04-22 22:53
縁側昼寝犬さま、こんばんは!
そして行ってらっしゃいましー!(≧▽≦)ノシ))フリフリ

いやー、メグレものは読み終わった瞬間に「あれ、で、犯人だれだっけ?」となるのでいいのですが(いいのか)。
モース警部ものも読み終わったら犯人忘れるので何度でも読めますが(笑)、また違った印象に残らなさと言いますか…。
Commented by Yuseum at 2010-05-03 16:33 x
にせみさん、ごぶさたでーす。
この作品、映像化されてるんですね〜っていうことで、注文してみました(^○^)
原作は同じく偕成社文庫で読みました(^^)v

あと、この記事じゃないですが、クリスティの『三幕の殺人』、両文庫を比較したブログ記事を書いてみました。
ネタバレ満載なので、見てみてくださーい(^.^)/~~~
Commented by n_umigame at 2010-05-05 14:43
Yuseumさん、こちらこそごぶさたです!(^-^)ゝ
Yuseumさんもメグレものご覧になるのですか! うれしいです~。
本格ミステリファンには一部の作品を除いて「ああ…ねえ?」みたいな生あたたかい目で見られているイメージだったので、メグレもの…(^▽^;) わたしはあの雰囲気が大好きなんですが。

クリスティ『三幕の殺人』の謎に迫っていただけたんですね! ぜひあとでお邪魔させていただきます。よろしくお願いいたします!
もう読んだのでむしろネタバレ記事が読みたいので、ネタバレ大歓迎でっす!(>▽<)b !!