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*さいはての西*

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"Ellery Queen" #7: The Adventure of Colonel Niven's Memoires ;「大佐のメモワールの冒険」

今回から字幕付きです。
…なのですが、字幕自体がけっこうはしょられていて(セリフがあるのに字幕がない)、かぶりつきで見ていないと筋が追えなくなっちゃうところがありました。スリリングです。

YouTubeにアップされていた動画でさらっと見たことがあったのですが、わたくしのヒアリング能力ではキャラ読み的ツッコミしかできず、それは前回の記事でお読みいただくとして、今回はミステリドラマとしての感想を。

詳細は『ミステリの女王の冒険』をお読みいただくとして(こればっかりですみません)、あらすじをざっとご説明すると、戦時中ナチスの協力者だった人がいろいろな名目でアメリカにこっそりやって来ているのですが、彼ら彼女らのことを暴露した本がアメリカで出版され、その著者のニーヴン大佐が殺されて…というお話です。

第一容疑者は現場に居合わせたエラリーの恋人(らしい)ジェニー・オブライエン。ジェニーはこの暴露本の出版社の担当者だったらしい。気の強いジェニーはエラリーの捜査に協力するつもりでいろいろと騒動を巻き起こしてクイーン警視ににらまれちゃいます。
(YouTubeで見たときは、朝クイーン家にやって来たときクイーン警視に「ミス・オブライエン」と呼ばれていましたが、事件が起きたあとは「ジェニー」と呼ばれていて、ジェニーに「ジェニーって呼ぶな!」と怒られていました(笑)。)
でも、ジェニー、ヒールで向こうずね蹴るのはやっぱりまずいと思うの(笑)。

ソビエトの外交官夫婦やKGB、情報部の捜査官などが登場して、クイーン家が荒らされたりとけっこうな大騒ぎになってしまうのですが、ミステリドラマとしての印象は「大山鳴動して鼠一匹」という、なんだか残念な回でした。

あと、たまたまだとは思うのですが、なぜ2005年ミステリチャンネル未放送の回にだけ、とっかえひっかえエラリーに女性がからむのか(笑)。
今回も、ラストシーンはラジオドラマのニッキイとエラリーのやりとりを彷彿させるものでしたが、ニッキイがいかにも紅一点的キュートさにあふれているのに比して、ジェニーは武闘派で男前すぎます(笑)。
ドラマの製作が1970年代ですので、ウーマンリブ運動とかそういった時代背景からニッキイみたいな「いかにも」なキャラクターはフェミニストに目ぇつけられるからやめとけ、という思惑もあったのでしょうけれども、女性を描くのがへたくそなところまでクイーンの顰みにならわんでもと思いました。
ジェニーは、このあとハリウッド映画でよく見られるようになる、「有能な女性はぎゃんぎゃんわめき散らさなくてはならない」とでも思いこんでいるかのような、類型的な「キャリアウーマン」の走りですね。結局サブレギュラーにならなかったようですが、ならなくてよかったんじゃないでしょうか。(ちょっとちょっと) 「三歩下がってついてこい」とは申しませんが、同性から見てもちょっと違うんじゃないかなあと感じました。
(あまり出がなかったので比較のしようがないのすが、キティさんの方が良かったかなあ。そしてずっと1話から見ている視聴者は混乱しなかったんでしょうか。「え、キティはどこ行った!?」って。)

このラストシーンに違和感を覚えたのは、ジェニーのそういう男前キャラと、いかにも女子っぽいモーションがミスマッチだったからかもしれません。男前を極めるならいっそ、ジェニーから「必ず幸せにするから息子さんを下さい!」とパパに言いだしたら笑いが取れたのにー。(それもうエラリー・クイーンじゃありません。)

キティ・マクブライド、次はジェニー・オブライエンと、エラリーのガールフレンドはたて続けにアイルランド系のファミリーネームですが、やはりクイーン家がアイリッシュだからなんでしょうか??
by n_umigame | 2010-05-10 21:40 | *ellery queen*