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『孤高の警部 ジョージ・ジェントリー』#5話「奔放への報い」 ; Gently in the Night

教会で死体が発見される。被害者のオードリーは、バーとカジノを兼ねる店「レークス」のホステスだった。レークスを訪れたジェントリーとバッカスは、ホステスのフォーンに事情を聞くが、彼女は何か話すことをためらっている様子だった。(AXNミステリー)


前回も重かったですが、今回も重かったです……。
今回はいちおう事件は解決を見る(罪をおかした人間が相応の罰を受ける)のですが、にもかかわらずとても後味の悪い回でした。

見終わって、ミステリドラマとしてとても巧妙な作りになっていたことに気づきました。
まず、物語が二段落ちになっていて、いわゆるどんでん返しがあり、最後の最後まで緊迫感があり、視聴者の気を逸らせません。(探偵役…つまりこのドラマではジェントリーですが…がだまされると視聴者もだまされちゃいますね)これだけでもなかなか良くできていると思うのですが、ミステリーファンにとってはまあそんなに新味のある構造ではないとも言えます。
ところが、メタレベルでも二段落ちになっていることに気づいたとき、「うわ、やられたー!」とテレビに向かって言ってしまいました(笑)。

毎回、冒頭でこの物語の時代設定が「1964年」であることが視聴者にアピールされます。
イギリスの現代史に疎いわたくしなどは「なんだか中途半端な時代設定だな」と思っていたのですが、回を追うごとに「1964年でなければならない理由」がわかってきはじめると、絶妙な時代設定だと思うようになりました。

今回の時代ネタ、一つ目ははっきりしていて、人工中絶の問題です。
アメリカのミステリーやサスペンスではよく出てきて、何かとファナティックな人が多そうなイメージのかの国のことなので、まあ、あるよねそれは。と思っていたのですが、イギリスでもあった(ある)ということがよくわかった回でした。
この時代ネタは(いちおう)物語内で収束を見ます。
バッカス(若いくせに保守的で頭固い(笑))とジェントリー(年いってるわりにはリベラルで頭やわらかい)の意見の対立という形で問題を投げかけてくるこのドラマですが、さすがに今回ははっきりとジェントリーもYesの立場であることを表明しませんでした。
代わりにバッカスが聞き込みをしていく過程で「いつも女性が犠牲を強いられる」さまざまな現実に直面します。

時代ネタ二つ目、これがメタレベルでの二段落ち二段目です。
最後にやっと大笑いさせてくれたわーと思っていたら、急転直下なんでこんなシーンで終わるのよ、と。 このラストシーンが最高に後味が悪い原因なのですが、「1964年のイングランドにあって現代のイングランドにはないもの」、つまり、死刑です。
(Wikipediaによりますと、「イギリスでは1969年にイングランド等3地域で廃止され、1973年に北アイルランドで廃止、1998年に完全廃止された」そうです。)
死刑のシーンだから感じが悪いに決まっていますが、これを問題として投げたまま終わってしまうので、後味が悪いのかもしれないなと思いました。

毎回毎回、高密度の脚本で、本当に胸が苦しくなるような息詰まるドラマです。



さて、今回はこんな感じであまり笑えるところがなかったので、コンビ萌え的視線で見たドラマの良かったところを。

ジェントリーがバッカスに対して、「巡査部長」と「ジョン」(クリスチャンネーム)を使い分けているところがいい! 
バッカスもジェントリーを「ジョージ」とクリスチャンネームで呼んでいるシーン(リングの上(笑))が。
タバコを分けっこしてジェントリーのタバコにバッカスが火を貸すシーンを見て、さらにだんだんコンビニなってきたね、うんうん、と萌えておりました。

今回はちょっとバッカスもつらかったですね。
妻子(子どももいたのか)が生きて、物理的にはそばにいてくれるのに、関係は冷え切っていて、彼女(たち?)を愛せずにむなしいバッカスと、今でも妻を愛していて、バッカスに侮辱されたと感じると「もう一回言ったら殴るぞ」と言うジェントリーは突然の暴力で妻を失った。
人生の皮肉を浮き彫りにする回でもありました。

バッカスに「警部はもうお年ですから、そんなに無理しなくても」と言われて、めずらしく挑発に乗るジェントリー。ボクシングのチャリティー試合をすることになります。AXNミステリーのギャラリーにあったシーンはこれだったんですね。
最後に、テイラー巡査がレフェリーになって試合をするジェントリーとバッカス。
もう、バッカスがガウンを取った瞬間「勝負あったな(笑)」と思ってニヤニヤ見ていたのに、それでも勝てる気満々のバッカスが、もう、あんたって人はなんておバカなの、とさらに可愛くなりました(笑)。そして結果は、ジェントリーのKO勝ち。火を見るより明らかとはこのことです(大爆笑)。

残すところあと2回になってしまいました。日本でDVDが出たら絶対買いますので、どこか出して下さいー。
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by n_umigame | 2010-05-24 00:34 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by 縁側昼寝犬 at 2010-05-29 00:23 x
今回も重くて、時代背景をうまく取り入れて、尚且つ当時の服装とかメイクとか満載で相も変わらずいい仕事してますね~。
ラストシーンでは盛大に噴きました。バッカスのガウンとか、「鼻はやめて」とか、もう無駄な抵抗と言うかなんと言うか。出来の悪い子ほど可愛い、とはこのことですね、きっと。^^
Commented by n_umigame at 2010-05-30 00:00
手をかけてることがよくわかるドラマですよね。脚本もすばらしいのですがおっしゃるように衣装とか小道具とか。
バッカスはだんだんジェントリーの仕込みが効いてきた気がしますが(´∇`)、でもやっぱりおバカさんで笑えます。