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*さいはての西*

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『名探偵モンク 7』#15~#16:「トゥルーディの真実(前後編)」 (最終回)

; mr. MONK and the End - Part I~Part II

(前編)モンクが向かった医師殺害事件の現場は、12年前に妻トゥルーディ殺害事件の第一報を聞いた場所だった。

12年前のクリスマスシーズンのある朝、モンクは機嫌よく出勤の準備していた。すこし元気のないトゥルーディを心配して声をかけるが、用事が山積みで忙しいだけだという。だがその日、車に仕掛けられた爆弾によりトゥルーディは何者かに殺された。モンクが知らせを受けたのは、助産師行方不明事件で聞き込み中の産院だった。

[ゲスト出演]
リックオーバー役/クレイグ・T・ネルソン(映画「ポルターガイスト」「キリング・フィールド」)

(後編)殺し屋カザリンスキーを追っていて毒を盛られてしまい、余命2、3日になってしまったモンク。カザリンスキーの死で、治療のための毒の特定は間に合いそうにない。死を覚悟したモンクは、12年間大切に取っておいたトゥルーディの最後のクリスマスプレゼントの箱をとうとう開ける。そこにはトゥルーディの死にまつわる衝撃の事実が隠されていた。



 まさしく、大 団 円!

本国では7年、日本では6年に渡って、モンクさん、シャローナ、ナタリー、ストットルマイヤー警部、ディッシャー、ほかみんなみんな、とても楽しい時間を、ありがとう!! 
そして、みんながそれぞれに幸せになってよかった!!うおーん!!・°・(ノД`)・°・チクショーめぃ( ^_^)/q□☆□p\(^_^ ) カンパァーイ!!!(収集ついてません)

以下ネタバレにつき、もぐります!(長いです!)















シリーズ全編を貫くサブプロットであった、モンクの妻トゥルーディを殺したのは誰かという「フーダニット」、そしてなぜ殺されたのかという「ホワイダニット」の部分は、率直に申しまして「大山鳴動して鼠一匹」という感がいなめません。
最初、モンクさんは警官だった自分のせいでトゥルーディが殺されたのだと思っていて、そこからが始まりでした。
そこへ、クジラのデールが登場して「彼女が殺されたのはおまえのせいじゃない、彼女自身のせいだ」という言葉から糸口がつかめ、爆弾を作った男、「6本指の男」、そしてこれらの実行犯を経て真犯人は誰か? という部分は謎のまま、そこで止まっていました。

そして最終回でやっとわかったわけですが、この1回にシリーズ全編の謎の解決を持ってきて、がんばって二重三重のどんでん返しを仕掛けようとしていたことはわかるのですが、残念ながら脚本の息切れ感を感じてしまいました。

このドラマの製作陣はとてもたくさんのミステリ…それもいわゆる謎解きを中心とした「本格ミステリ」や、倒叙もののミステリなどを読んだり見たりして、ミステリが大好きな人たちが作っていることがわかるドラマでありました。
しかも、ただ「謎解き」、ただ「倒叙もの」をそのままぽんと出すような愚を犯さず、コメディとして笑いに包んで出したことで、ドラマとして見ている人も気楽で楽しく、またけっこうなめていた(笑)ミステリファンをもうならすミステリドラマでもあるという、すばらしいドラマでした。謎があって探偵が解決する、といういわば「今時?」と言われかねないプロットを、キャラクターの良さと絶妙な配置、掛けあいで、視聴者の裾野を広げることに成功したのだと思われます。
「ドラマとして素直に見ていて楽しい」という基本を大切にしたからこそ、きっとエミー賞をも受賞したのでしょう。

前回書きましたが、モンクというキャラクター自体が「いわゆる謎解き(だけ)が得意な名探偵」のカリカチュアでありながら、最後の最後で、モリーの口から「あなたの才能は必要だ、ほかの大勢の”トゥルーディ”を助けるために。仕事を辞めてはだめだ」と言わせるのが、なんとも心憎いじゃありませんか。
のっけから泣きそうになりましたが、このシーンはずるい(笑)。
”名探偵”を一見物笑いの種にしているかに見えつつ、ときにはかなりやばいネタすれすれで来ながらも、製作陣の”名探偵”の存在意義に対する、少年のような真摯な思いを見た気がしました。

ただ、ドラマ中モンクさん自身も言っていますが、だいたい「本格ミステリ」の殺人の動機って、弱い(笑)。
かつ、取って付けたような理由であることもめずらしくない(笑)。
「犯人が自殺する」というのもいかにも「本格ミステリ」っぽくてちょっとここは笑ってしまいました、腹が立って(笑)。わたくしも嫌いです「犯人が自殺」して解決する、というオチは。
それが本国では7年も続いたドラマを底流しているサブプロットであったため、ずっと見てきたファンにすれば「ええ、そんなオチかよ」という感想もありかと思われます。

で、そこまで言っておきながらなのですが、この最終回は本当に良い最終回だと思いました。

モンクさんにとってトゥルーディはほとんど女神さまみたいな存在で、トゥルーディ自身もビデオレターでそう言っていました。(12年たってもベータ?のビデオを見られるハードを持ってるモンクさんもスゴイが(笑))
トゥルーディ自身はきっとそんなモンクさんの愛情がとても重かったこともあったんじゃないかと思います。
「実は不倫していた」「大して好きでもないしよく知りもしない男性と関係を持って、妊娠して出産した」ということを、モンクさんは「どうして言ってくれなかったんだ」と言いますが、すかさずナタリーが「言えなかったのよ、好きな人に軽蔑されたくないと思って」とフォローしてくれました。このシーンでナタリーの優しさに改めてうるっときてしまったのですが、「言えなかった」という部分にトゥルーディがどれほどモンクさんのことを好きだったかということを感じます。
モンクさんの潔癖な性格を考えると、なおさらそりゃあねえ(笑)。言えませんよね。客観的にも、言ったところでモンクさんを傷つけるだけで、誰も幸せにならないわけなんだったらなおさらです。黙っているのも愛情ですよね。
モンクさん自身は、「不倫なんてだれも気にしないのにねえ」と言った看護士さんのセリフを受けて「そうなんだ、それだけだと動機が弱い」と言っているし、きっと受け止めてくれたんじゃないかと思いますが(ラストシーン、ベッドの真ん中で眠れるようになってもトゥルーディの写真は枕元に置いたままでしたし)、それは結果論であって。
まだ学生で、いったい誰にも知られずどうやって出産したんだという新たな謎も生まれましたが、お嬢さん育ちで優等生で人気者として生きてきたトゥルーディは、きっとやっぱり親にも友達にも言えなかったのでしょう。
全部自分で抱え込んじゃうタイプだったんですね。
そう思うとトゥルーディもいろいろとつらかったんじゃないかと思います。

翻ってこんなくっだらない理由で最愛のトゥルーディ殺されたモンクさんの怒りは、純度も沸点も高くなるのがわかり、ドラマを盛り上げていました。

ドラマの制作者の狙いは、「トゥルーディはふつうの人だった」ということをモンクさんが知ったときに、モンクさんが自分を縛っていた呪いから醒める、ということだったんじゃないかなと思いました。
コメディなので大げさに描かれていますが、こういうことは、つまり誰かを勝手に理想化して依存するということは、日常、誰が陥っても不思議ではないことではないかと思います。
そこから自由になれ、というメッセージだったのかもしれません。

モリーがいい人で本当に良かったとか、ディッシャーのこととかまだ書きたいことがあるのですが、本日はここまで。

8月からの後番組は『華麗なるペテン師たち』の新シーズンです。
やったー……って、ミッキーは!?Σ(゚д゚;)
by n_umigame | 2010-07-21 23:13 | 映画・海外ドラマ