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『カーデュラ探偵社』ジャック・リッチー著/駒月雅子・好野理恵訳(河出文庫)河出書房新社

私立探偵カーデュラの営業時間は夜間のみ。超人的な力と鋭い頭脳で事件を解決、常に黒服に身を包む名探偵の正体は……〈カーデュラ〉シリーズ全8編と、新訳で贈る短編5編を収録する、リッチー名作選。
(出版社HP)

●ジャック・リッチー『カーデュラ探偵社』(河出文庫)に下記のような誤りがございました。読者の皆様および訳者の駒月雅子さんに御迷惑をお掛けいたしましたこと深くお詫び申し上げますとともに、ここに訂正いたします。

P.351(奥付)訳者名「駒月雅子」の振り仮名
【誤】こまづきまさこ
【正】こまつきまさこ

*訳者の駒月雅子さんの名字は、本書カバーにある略歴の通り、「こまつき」が正しい読み方です。
(同じく、出版社HP)


ジャック・リッチーは『クライムマシン』が既読でしたが、今回「ジャック・リッチーってこんなにおもしろかったっけ?」と自分で書いた感想を読み直したほど、カーデュラシリーズは楽しい短篇でした。
文庫本一冊にまとめられていますが、このうちカーデュラシリーズはちょうど半分程度のみとなっています。もっと読みたかったなあ。
いろいろな単行本に散発的に収録されたようですが、まとめて読む方が絶対おもしろいと思います。

帯にあるキャッチコピー「かつて伯爵、いま名探偵。」と、カバーイラスト(かわいいv)で「カーデュラ(Cardula)」の正体はバレバレだと思いますが、本文でははっきりと彼であることは書かれません。
正体がわからなければジョークとしか思えないような言及のされかたに、くすくす笑ってしまいました。

アメリカにやってきた「元伯爵」は生活に困って最初はプロボクサーに。しかしこれは眷属の猛反対にあったらしく、私立探偵を始めることに。ただし「夜間営業」。
そこで名探偵の名に恥じない営業活動を展開するのですが、そこはそれ人外の名探偵ですので、善悪の基準が人間といろいろ違います。
垂る木にぶらさがったおかげでダイイングメッセージの意味が解明する事件もあったりして(笑)、ある意味「禁じ手の名探偵」だと思いますが、軽妙なユーモアとカーデュラの持ち味で読後はさっぱりしています。

収録作品は以下のとおり。

キッド・カーデュラ
カーデュラ探偵社
カーデュラ救助に行く
カーデュラと盗癖者
カーデュラの逆襲
カーデュラ野球場へ行く
カーデュラと鍵のかかった部屋
カーデュラと昨日消えた男
無痛抜歯法
いい殺し屋を雇うなら
くずかご
さかさまの世界
トニーのために歌おう

◇解説=羽柴壮一

最初の「キッド・カーデュラ」だけ雰囲気が違うのですが、解説によればこれはパイロット版で、この作品の反響が良かったのでその後続いたのだそうです。
「カーデュラと鍵のかかった部屋」はおそらく本格ミステリが好きな方でも唸るのではないかと思います。ディクスン・カーとかならこのネタひとつで長編を書きそうです(笑)。
「無痛抜歯法」以下はノンシリーズです。
「無痛抜歯法」はアガサ・クリスティーのあの作品とある意味同じ。
「いい殺し屋を雇うなら」はちょっとしたピカレスク・ロマンになっています。
「くずかご」。ヒッチコック劇場で放送されても不思議はないかも。
「さかさまの世界」。エラリイ・クイーンの『チャイナオレンジ~』を思い出しましたが、クイーンの『チャイナオレンジ』より数倍すっきりします(笑)。文章の力でどうなっているのか伝えることができているという意味で。
「トニーのために歌おう」。なんとなくほのぼのするオチでした。
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by n_umigame | 2010-10-29 20:59 | ミステリ | Trackback | Comments(0)
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