*さいはての西*

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『レッドクリフ』Pt.I & Pt.2(2008-2009)

Part I:
西暦208年。曹操軍に追われる劉備軍は孫権軍と同盟を結ぶため、軍師の孔明を孫権のもとに遣わした。しかし孫権軍では曹操に脅威を感じているものの非戦を唱える臣下が多く、同盟は容易に成立しそうもない。そんな中、孔明は赤壁で孫権軍の司令官・周瑜と出会い、そのカリスマ性に魅了される。一方の周瑜も孔明の人柄と戦術眼に驚嘆し、その存在を意識するようになる。そして二人は信頼を深め、共に戦う事を決意するのだった。

Part II:
大軍を率いて赤壁へ進行してきた曹操軍。曹操は疫病で死んだ自軍兵を対岸の孫権・劉備連合軍の元へ船で流し、連合軍に疫病を蔓延させる。これが原因で劉備軍は撤退、だが諸葛孔明だけは赤壁に残った。そんな中、孫権軍司令官・周瑜と孔明はお互いの首をかけての謀略を展開、周瑜は曹操軍2武将の謀殺、孔明は3日で10万本の矢の収集に成功する。やがて曹操軍に潜伏していた孫尚香が帰還、決戦へ向けて本格的な準備が始まり……。
(goo映画)


@ムービープラス(日本語吹き替え)。
プチ三国志祭り中@自分内。カンペキ逃避ですが、何か。
何からの逃避かってそりゃあ、ははははははははは。………はー。

さて。気を取り直して。
三国志ファンのみならず、映画好きの方の評判もあまりいいウワサを聞かなかったので、まったく期待しないで見始めたのですが、え、そんなに悪くないじゃないですか。
特に中国の役者さんたちのいい味っぷりったら(後述します)。

そりゃあ一家言も二家言もある三国志の熱いファンを満足させる作品ではないかもしれませんが、どう作っても10人中10人を満足させるのはしょせん、無理ってもんです。

じゃあ「ファンは見ない方が良いよ」という作品かと言うと、そんなことはないと思います。
なぜなら、思いましたが、この作品はジョン・ウー監督の三国同人。いわば二次創作ですよ。つまり、元ネタを知っているのと知らないのとでは、そりゃあ知っている方が楽しい。あちらこちらで出てくるネタを深読みできるし目配せもわかるのですから。
ですが、すぐれた同人誌がそうであるように、二次創作から原典へ遡及させる力がある。つまり「今まで知らなかったけど、すごくおもしろそうだ」「この人がおもしろいと言うならおもしろいのかも」と原作を読ませたり見せたりする魅力もあると思いました。

歴史背景を考えるとあり得ないシーンがてんこ盛りだし、日本語吹き替えとは言え自分の主を「いみな」で呼ぶなとか、換骨奪胎しすぎて軟体動物になっている部分もあるということはいなめませんが、二次創作だと考えればこの程度の「とんでも度」で目くじらたてるのも大人げないかもと思いました(笑)。
そしてもちろん、二次創作に大事なのは何を置いても原典に対する「愛」と「敬意」です。
これがなければどんなに忠実な二次創作も精彩を欠くことになりますし、逆にこれさえあれば、多少自分の思うところとずれていたとしても、それはそれでいいんじゃないかと思えます。

「この作品のどこに愛を感じたんだ」ということはネタバレになりますので、後述いたします。


以下ネタバレにつきもぐります。↓

















箇条書きで失礼します。
Part I:
なんでも、長くなりすぎたので二部構成にしたそうですね。確かに冗長、そして全編これ山場的なシーンが多くて、映画作品としてはもうちょっと刈り込んだほうがよかった。
でも、これ、『三国演義』(以下『演義』)をそのまま映像化したらこんな感じですね。
『演義』は元々講談なので、毎回毎回山場が要るわけです。NHKの朝の連続テレビ小説みたいなもので、15分の間にちょっとした山と「引き」で終わる手法を持ってくるのですね。

・どこで始めるのかと思っていたら、長坂の辺りでした。いきなり趙雲の大活劇です。
・絶体絶命のときに関羽が来てくれるとやっぱりほっとするなー。一体、中国には何人こんな「まんま関羽」みたいな役者さんがおるんじゃ、と思っていたら、この方はモンゴルの方だそうで。
・関羽が、一太刀で殺せる距離にいたのに曹操を殺さなかったのは、あのシーンをここに持ってきたのかな?と思っていたら、やっぱりPt.2では曹操を逃すシーンがなかったですね。
・しかし、関羽強えええー…。
・魯粛がお笑い担当キャラにされとる。しかも、もう2回目からは出てきたら笑えるという。
・しかし、魯粛の役者さん、いいよいいよ!!!(候勇さんという役者さんです)
・あ、曹操の役者さんもいいです。(張豊毅という役者さんです)
・出オチでもいいから魯粛を武官にしてほしかったな。(文官の扱いでしたよね…?)
・金城武の諸葛孔明も意外なことに良かったです。
・ただしトニー・レオンの周瑜もそうだけど、優しげすぎる。金城武は目が優しいから、そういう意味ではマキャベリストの孔明は不似合いだと思っていました。役によっては「目」を変えてみせるくらいが名優なのかもしれませんが、持って生まれたキラキラ目はむずかしいのかも(笑)。
・劉備の役者さんも、役柄が地味なわりに良かったですね。(尤勇さんという役者さん)劉備はビジュアル的に想像するのが難しいキャラクターなのですが、この人もよくこんな「劉備? イエス、劉備!!」みたいな役者さんを見つけてきたなあと感心しました。何というかこう、偽善をカリスマ性でカバーできる雰囲気の人と言いますか(笑)。

Part II:
いよいよ赤壁の戦いです。
陸戦になってからも長かった…。小喬がどうやって戻ってくるんだよ!と心配になりましたが、この流れだとハッピーエンド(孫呉視線的に)になるんだろうなと思っていたので、あまりハラハラしませんでした。
ここはつっこむべきではないところかもしれませんが、陣中や戦争前に女性がいると不吉とされたので(まあ、不吉以前に収集つかなくなりますよね…)、小喬が一人で曹操の陣営にやってきたとき、礼儀正しく迎え入れた曹操がジェントルマンでかっこよかったです。曹操は良くも悪くも魅力のある人だとは思っていましたが、かっこいいと思った二次創作は初めてです(笑)。
あと、孫尚香が曹陣営に紛れ込んで「女だってばれないわけないだろ!」という感想を見かけましたが、『隋唐演義』の花木蘭の例もあって中国ではそんなに違和感ないのかもしれません。(ディズニーが『ムーラン』で映画化しましたが、これでも途中までばれてなかった(笑)。陣中が男臭くてムーランがげんなりするシーンがリアルでした)

・魯粛が亀をなでなでするシーン、なごむ(*´∇`)。10万本の矢を集めるシーンで、孔明がひとことも説明してくれないので、すねて案山子に話しかけるシーンも最高。このシーンの孔明と魯粛は本格ミステリの探偵とその相棒みたいでした。
・魯粛の役者さんは、ほんまにええ味です。なんでこんなぴたりとはまる役者さんがいるんだよ、すごいな中国。人口が多いから確率も高いとかいう問題じゃないと思いますよ。
・孔明の飼ってる伝書鳩、絶妙なタイミングで飛んでくるんですけど、その鳩、メカ? メカなの?
・周瑜と孔明の関係が相手の寝首をかいてやるという雰囲気ではなかったのですが、『演義』のネタはけっこうてんこ盛りです。
・蒋幹のエピソードも、入れてくるんだーと思いました。
・蒋幹が持ち帰った偽手紙を見て「筆跡が同じ、おまけに誤字が多い」とツッこむ曹操。さすがです丞相。誤字が多いのが気になってたんですね。
・しかし、蒋幹を毒殺したあげく、その理由が「愚かなのはかまわん。ただ余に恥をかかせたのはゆるさん」というのは曹操じゃないなあ。(このセリフ、人の上に立つ人間として致命的ですね…。)曹操ならむしろ「おれに恥をかかせるのはいいが、バカなのが辛抱ならん」と言ったはず。真逆のキャラにされちゃってます。
・そうかと思えば一兵卒の名前を覚えていて声をかけたりするんですよね、この曹操は。
・小喬に「お茶でもいかが?」と言われて、お茶談義を始めたときも、とても興味深そうに聞いている曹操も印象的でした。女でも一兵卒でも、相手の話を聞くべきだと思ったらきちんと聞くことができる曹操の良いところがこんなところで。おかげで戦に出遅れたのが笑えましたが(笑)。
・趙雲の役者さんの身軽さに比して、全体的に役者さんの体が重いのが気になりました。孫尚香とか。
・ここで気づいたけど髪の結い方が兵馬傭だ。
・「苦肉の計」一瞬で却下かい。理由が「黄将軍みたいなお年寄り、殴れません。」ええええ。いや、そうなんだけども、そんなひどいことされました、という部分がポイントの企画なんで。
・冬至にお団子をみんなで作る、劉備一家。「一家」という表現がいろんな意味でぴたりとくる劉陣営の皆さん。この所帯くささがいいなあ。いっしょにお団子を丸めていて関羽が張飛に「おまえの団子、でかすぎだ」と言うところも笑いました。
・一方、孫呉陣営では出陣前にお団子(というかお汁粉みたいな?)3個づつね、と全員に配布。自分の分のお団子を周瑜に分けてあげる孫呉陣営の皆さん。このシーンもなごむ。(*´∇`)
・お団子一気食いの周瑜。ほっぺがお団子の形にもこもこになってました。出陣する前にお団子で窒息死しないか心配でした。みんなお椀からぐいっと食べるのに、中村獅童だけスプーンですくって食べていたのがお上品。元水賊なのに。
・お団子のお椀を、尚香が迷わず孫権に、孫権が一瞬考えて魯粛に渡すシーンも笑いました。「上がお兄ちゃんの妹キャラ」を如実にあらわしていたと思います(笑)。
・中村獅童が演じるのは甘興というオリジナルキャラクター。オリキャラ混ぜてくるところがやっぱり二次創作(笑)。プロフィールからもモデルはもちろん甘寧(字・興覇)。
・なぜオリキャラにしたんだろう、甘寧でもいいじゃない、と思っていたら、壮絶な戦死を遂げました。ここにジョン・ウーの愛を感じました。実在した人をこんな死なせ方したくなかったんだろうなあと。(あと子孫が生きているので、そちらからのクレーム防ぎ?)
・風向きが変わるまでの「じりじり」感がいいですなあ。水時計で時間を計ってるのもいい。
・火攻めだー。
・アクションだー、ジョン・ウーだー。
・「何で風向き変わるんだ、ありえんだろ!!」と怒る曹操。部下にしてみたらそんなことで怒られたってねえ。自軍が一面火の海になって、呆然。曹操、しっかり。
・陸(背後)から劉備が攻めてきて「劉備だと!?」と言ったときの「マジありえん」という表情が最高でした、曹操。
・陸戦になってからが長い。
・趙雲またしても大活躍。最初と最後は趙雲のアクションがシメてないか? 飲み会で言ったら「つきだし(お通し)」と「ごはんもの」か。そうなのか。どちらもまあおいしいとうれしいが。
・それにしても棒高飛び(槍で)逆茂木を越えるのもスゴイけど、槍を使って物見櫓の2階に駆け上がるのもスゴイよ趙雲。
・孫権の放った矢でもとどりが解ける曹操。もとどりが解けた姿を他人に見られるのは士太夫にとってはとっても恥ずかしいことなのですが、ジョン・ウー節でスローモーションのこのシーン、すごく色っぽい。やっぱりこの曹操の役者さん良いですよ~。


全体に、西洋の人にも入りやすい中国映画という印象でした。
なかなか楽しかったです。たぶん中国語バージョンも見ます!

すてきな曹操。(画像はgoo映画より)
d0075857_19879.jpg

皆さん着物をよく着こなしていて、所作も美しくすてきでした。色っぽい。
d0075857_1995098.jpg

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by n_umigame | 2010-11-22 17:52 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by 縁側昼寝犬 at 2010-12-04 21:51 x
 触発されて、MoviePlusの字幕版を録画して見ましたーー。
 面白い! こう何というか、萌え要素いっぱい? 人によってご贔屓が違って、見た後に盛り上がりそうですね。けど長かったです。あとよく分からないスローモーションの使用が気になりますが、ま、いいや。
 金城君は柴犬みたいな目をしてましたね。可愛かったです。役に入るとキリっ、とした目になるのはジェロームさんの得意技ですね。^^
 
 そうそう、ウサビッチがMTVで「一気に見せますスペシャル」だそうです。
 12/10 [金] 24:30 - 26:00 [初]
 12/12 [日] 19:30 - 21:00
 また触発されて、見まっす! 
Commented by n_umigame at 2010-12-06 21:37
>縁側昼寝犬さま
おっ、字幕版でご覧になったのですね。わたしも字幕版で見なおしたいのです、いかんせんこの長さなので、今度は年末の休みに見ようと思っています。
「目」のいい役者さんってやっぱり良いですよね!ジェロームさんもそうだわvvvv(最近ジェロームさん情報はおんぶおばけと化して縁側昼寝犬さんのブログに頼り切っております。も、もうしわけありません……)

そうなんです、ウサビッチの一挙放送がもうすぐあるのです!
と言っても、1シーズントータルタイムが30分というショート・ショート・アニメなのであっというまだと思います^^
ちょっと合う合わないがある作品かと思われますが、お楽しみいただければ幸いです♪