*さいはての西*

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『本は、これから』池沢夏樹編(岩波新書)(岩波書店)

グーテンベルグ革命から5世紀。電子の端末が膨大なコンテンツから美しい「ページ」を開くこの時代、あなたにとって「本」とはいったい何か。それはいかに変貌するのか。書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置から、鋭いアンテナの持ち主が応える…… 本の過去と未来を俯瞰する37のエッセイ
(Amazon.jp)


今年も出版物の売上は前年を割り込むと予想されているそうですが…。
読者として実感してきたことに、「数撃ちゃ当たる」式、あるいは「二匹目のドジョウ」式に内容的にも物理的にも薄い本を大量出版したら、本を読み慣れない人はまず選択肢が多くて選べない(から話題になっている本に集中する)し、読み慣れている人はパラ見しただけでだいたい本を選べることが多いので(外れることもありますが、まあだいたい)ますます「数撃ちゃor二匹目」本からは遠ざかるから出版点数に反比例して自分の欲しい本が目減りしていく、という図式になりつつあるんじゃないかという、「じりじり」とした不安を感じます。

はー。

いやため息ついてたってしょうがないんですけどね。言いながらも読んでますし本。

作家や一読者以外に、書店、古書店、出版社、図書館関係者の方々の電子書籍と紙の本に対するエッセイ・アンソロジーです。
岩波書店がこのタイトルでこんな本を出すと、いよいよ紙の本は終わりなんじゃないのかと逆に心配になられる向きもあるかと思いますが(笑)、そんなことはありませんでした。内容も「俺が好きなんだから無くならないよ紙の本!」みたいな傍目にも悲しい紙の本讃歌になってたらどうしようと思っておりましたが(おい)、説得力があるエッセイも。
ただ、各界の代表の方々に寄稿していただいたため、たいへん失礼ながら、どうしても年齢層が高めです。ですので、自分たちが慣れ親しんで愛したものは変わらない、と言ってもらって安心するためのアンソロジーとしては秀逸ですが、本当にタイトルのとおり「これから」を見据えているエッセイばかりではなかったというのが率直な感想です。

人生の先達の方々には満腔の敬意を表するものではありますが、本当に「これから」の日本の〔出版〕メディアを背負ってゆく世代の人たちはどう思っているのかという意見も聞いてみたい。
おそらく、浅はかな経験と想像力の欠落から来る生意気な意見もあるでしょう。イラつくでしょうし、ムカつくでしょうし、「何言ってんだ、この若造、わかってねえー」となると思いますが(笑)、「今まであったもの」だから、という理由で大事にしろ敬意を払え、というのでなく、生まれて初めて見る「本」が「電子書籍」と「紙の本」という人に、どうしても「紙の本」を残したいのであれば、それでも「紙の本」を選ばせる魅力があるのか、それは何かと言うことを語れないといけない時に来ているのではないかと思いました。

…とかなんとか言いつつ、しばらくは残ると思いますけどね、紙の本。
だって電気いらないし。
枕にもなるし。(しないけど)
いざとなったら食えるし。(しないけど)
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by n_umigame | 2010-12-26 16:59 | | Trackback | Comments(0)
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