『女は男の指を見る』竹内久美子著(新潮新書)(新潮社)

本書で明かす事実その1「初対面で、女は男の顔よりも指を見る」。その2「ハゲの男は病気に強い」。その3「自分と違う免疫の型の持ち主ほど、匂いがいい」。その4「ピルは女の勘を鈍らせる」。その5「浮気で得をするのは女である」…数々の実験や最新データをもとに動物行動学で読み解く、「色気」「魅力」「相性」の正体。「遺伝子の企み」がここまでだったとは!次々常識が覆される高揚感あふれる一冊。(Amazon.jp)


著書中で「ヒトを動物行動学の対象とすることは日本では御法度」「それが差別につながるから」であることに触れられていますが、この著書を読んでみると、「御法度」とされる「重鎮」の方にも一定の見識あってのこと、ということが、ど素人のわたくしから見ても納得できる、そんな内容でした。
そういう意味では、竹内センセイ、語るに落ちるとはこのことかと(笑)。

例えば、男性の薬指の長さが胎児の時に浴びたテストステロンの量で決まる=”男らしさ”が決まる=優秀な子孫を残す可能性が高い=女性から選ばれる可能性が高い、ということであれば、優秀な子孫を残せるか否かは生まれる前から決まっていることになります。

amazonのレビューでも触れておられる方がありましたが、これはヒトの優劣は生まれる前から決まっているという、いわば安易に「優生学」にスライドする可能性があり、科学的には根拠がないとされる血液型占いですら席巻する日本のような国ではこれが「差別につながる」危険性があることも容易に想像されます。
著者は動物行動学がご専門なので、ここで語られるのはあくまでも「動物としてのヒト」のことでしかありません。「優秀な」とか「男らしい(女性にもてる)」の具体例が理系の能力とスポーツや音楽の得意な男性しかあげられていないと、そのどれもに大して異性としての興味がない自分のような女性は女性じゃないのかと落ち込んでしまいます(笑)。(音楽は音楽自体はすばらしいと思いますが)俳優は理解できますが、彼ら彼女らがルックスが良いだけでなく、あれは頭が良くないとできない職業だと思うからです。

指や手の美しい男性は良いなあと思いますし、声の美しい男性ももちろん大好きですが、ほかの動物のようにいかに強い子孫を残すか「だけ」が喫緊の課題という動物とヒトとの違いって、やっぱりあるんじゃないのと思います。そうでなかったら今頃は地球上には理系男子とスポーツ選手とミュージシャンしかいないことになります。それじゃきっと政治も経済も回りませんよ(笑)。
なぜわざわざ「モテない」方の戦略を生き物として採る男性がいるんです?
それにほかの動物のように産まれたら数時間から数年で成人するように「進化」しなかったのはなぜ? こんな「未熟児」で何年も手のかかる状態で産むというのは、そんな「生き物として最弱」の生き物でもこの地球上で生き抜けるという戦略がなければならないのでは?

ヒトは…人間は一生自分の顔だけは自分の目で見ることができません。
人間が人間を研究するということは、そういうことなのではないだろうかと思うことがあります。

読み物としてはとても楽しい一冊でしたが、いくら「動物はメスがオスを選ぶ」のがデフォルトとは言え、もうちょっと男性に配慮した方が良い気もします。男性の方が女性より繊細で優しい人が多いと思うので。(笑)
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by n_umigame | 2010-12-26 20:35 | | Trackback | Comments(0)

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