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*さいはての西*

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「超人ロック:冬の惑星」

なんとか独立を果たしたかにみえたロンウォールでしたが、ジュリアス・フレイが暗殺され、残された革命政府は烏合の衆に。このどさくさにアルフレッド・クラウスという俗物がリーダーにのし上がります。そこへつけこんだ地球からは連合軍情報部のウィルヘルム・カトー中佐が調整役として派遣されてきます。
カトー中佐自身は、ロンウォールがこのまま100万人単位の移民を継続的に受け入れることは不可能だと思っているのですが、立場上それは言えないので苦しいことに。かといって地球は地球で爆発的に人口が増え続けていて、移民させないと破滅するという袋小路に陥っています。

さて、アルフレッド・クラウスは権力が欲しいだけの俗物ですので、自分のやり方に反対するいっしょに独立運動で戦った同志たちを何のかんのと理由を付けて始末していきます。その中にはロックといっしょに戦ったエレーヌも含まれていました。
またクラウスは、移民を受け入れるだけ受け入れて事故に見せかけて大量に殺す(冬眠状態で冷凍されて地球からやってくるのですが、電源を切って蘇生できなくする)という安直にして鬼畜な方法で問題を解決しようとしますが、「新天地を求めて何十光年も旅してきたのにこれじゃあんまりだ」とカトー中佐は憤ります。
こんな正義感の強い人を調整役として派遣するという事実から、地球政府は何をしたかったのかとちょっと疑問に思いました(笑)。カトー中佐の忠誠心を試しているのでしょうか。いやがらせ人事ですね。いや、地球とロンウォールの一触即発の事態ですから、もちろん能力も見込まれているのだと思いますが。そのカウンターバランスのような、血も涙もない殺し屋も配されています。

一方、ロックはというと乗っていた飛行機ごと墜落して、小さい子供のいる未亡人の家に拾われてごやっかいになっていました。読んでいて思ったのですが、ドライで壮大な世界観のSFなのに人間関係はけっこう浪花節というか古風なところがあって(笑)そこが居心地がいいのかもしれません。
身分(?)がばれたのでロックは未亡人のお家を去って、顔を隠して元同志たちを助けて回ります。でもけっこう瞬バレしていますが(笑)。
せっかく助けた元同志たちですが、結局元の黙阿弥になってしまったことにも戦意をそがれて「もうそっとしておいてくれ」「静かに暮らしたい」「子どもたちはどうしてるかな」と皆さん萎え萎えです。ロックすらもちょっぴり弱気に。
そこへアルフレッドの大量殺人のニュースが飛び込んできます。しかも犯人は脱走した元同志たちということに。「こんな無意味な殺戮が許されるわけがない」と、アルフレッドを倒すために重い腰を上げたロックたちでしたが、仲間の裏切りでエレーヌも含め全員殺されてしまいます。
ロックは怒り爆発、単身アルフレッドの所へ乗り込んでアルフレッドを倒します。こんなあっさり倒せるんなら最初からそうしろよという意見はこの際なしの方向で。ロックはけっこう自分や周りの人が痛い目に遭わないと行動に移らないところがあって、お年寄りだからしょうがないのかもしれませんが(笑)、おかげで物語が盛り上がります。
そこでカトー中佐と鉢合わせしたロックは、自分を地球へ連れていてくれるよう頼みます。

一方、前回の事故で酸欠状態に陥り、地球で入院していたストロハイム大佐は、復讐心に火がついて奇跡の復活を遂げていました。「ニケ」という軍の秘密兵器を盗み出して脱走します。薬で反射速度を上げて使うのですが、身体に負担がかかりすぎて危険なので使用禁止になったというシロモノでした。

地球へ向かっていたロックは惑星探査船のコードを探知します。ロックは単身、探査船に乗り込んだところ、突然ハイパードライブに入ってしまい、座標のわからない所へ飛ばされてしまいました。探査船には即時移住可能な惑星のデータが入っていたのですが航法コンピュータがいかれていて、どうやって持って帰ろうかと悩んでいたところへ船が。助かった!と思って呼びかけたロックのところへ飛んできたのは、ニケ。ストロハイムの執念がロックを見つけました。どこまでも追いかけてくるニケにロックも絶対絶命、というところで奇跡が。
単身ロックを追ってきたカトー中佐に拾われて、探査データは無事手渡されました。

ロックは新しい惑星「トア」への移住を決めました。
トアの人口が500万を突破した頃、ロンウォールによって「銀河連邦」が提案。
持っていった作物がなかなか育たず苦労していたトアでも、やがて芽が…。
長い冬が終わったのでした。

今回のしみたところ。
カトー中佐「大勢の人間が戦って死んで
      結局 ぜんぶむだになった」
ロック「いや ちがう
    結果がたとえどうであれ
    なにかをしようと努力することと
    なにもせずにあきらめるのとでは 大きなちがいがある!」


「超人ロック:インフィニット計画(プロジェクト)」
太陽系外惑星の開発計画のことのようです。
時系列としては「サイバー・ジェノサイド」よりもっともっと古いお話…まだ西暦を使っています。
そのころロックはオーストラリアで、マクミランという家の子になっていました。外見は11歳くらい。
恒星間開発を妨害しようとする者たちに片棒をかつがされそうになるロックでしたが…。

(ビブロスコミック文庫2)
by n_umigame | 2011-03-21 21:36 | コミックス