*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

『シャーロッキアン!』1 池田邦彦著 (アクションコミックス)双葉社

シャーロッキアンである女子大生・原田愛里(はらだあいり)と大学教授・車路久(くるまみちひさ)のコンビがべーかー街のホームズ&ワトソンよろしく、さまざまな依頼人(?)のため『シャーロック・ホームズ』物語に隠された知られざるオドロキの秘密に挑む!
心と謎を解きほぐす極上のハートフル推理エンターテインメント!(裏表紙)

切り裂きジャックVSホームズ ホームズは真犯人を知っていた!?

なぜか他人の名で夫を呼ぶワトスン夫人。そこに隠された号泣必至の感動ドラマとは…!?

モリアーティと投身後復活まで3年”大空白時代”に隠された真実とは!?

エピソードごとにコロコロ変わるワトスンの古傷の位置…その意外な真相は!?
(帯)



表紙を見て「…なんかこの二人がコンビでホームズものの謎解きをするお話?」という程度であまり期待せず、しかも味はあるものの地味な絵だなあと思いつつ、まったく予備知識なしに読み始めました。

シャーロッキアンの蘊蓄語りみたいなマンガだったらちょっと嫌かもと思ったのですが、ひとつひとつ丁寧に作りこまれた物語に、この地味な絵(失礼)がとてもしっくりと滲みてきて、何とも言えないあたたかい読後感を残す連作でした。
あまりシャープさのないペンタッチが良く合います。(ペンタッチって性格とかそのときの体調とか心境とかいろいろだだ漏れになりますよね。怖いですよね…)
でもちょっと昭和っぽいかな?(笑)

昭和オッケー、カモン!!という方で、ホームズものや謎解きミステリの好きな方にはオススメいたします。
(エラリイ・クイーンの表記が早川版で”エラリイ”なところも、わたくしほだされましたよ、ええ! 主人公の通う大学が「エル大学」なのですがこの「エル」はもしかしてもしかしますか? 読み過ぎですか?)
シャーロッキアンの方にはむしろ「今さら」なネタなのかもしれませんが、特にホームズものを原典以外に読んでいないわたくしには、その部分もとてもおもしろかったです。
上に引いた帯に掲載された謎が、みごとに論理的に解明されます。(と言っても物語上なので、シャーロッキアンの間で定説として答えが出た、というわけではないようですが)

表紙に描かれた大学の先生とその教え子である学生を中心として物語は進むのですが、人間を見る目のあたたかさと、ホームズへの深い深い愛がなんとも言えない調和をかもし出しています。

「先生! シャーロッキアンって……
重箱の隅をつっつくようなつまんない細かい事を……
ゴチャゴチャ言ってる人たちだと思ってました」
「そりゃ……
ご挨拶だね!」
「でも本当はそうじゃないってわかったんです」


このあと主人公(の一人である)愛里が言った台詞、それがおそらくこの先も底流するこの作品の最大のメッセージであるのではないかと思いました。

そして愛里と同じような形で、心からミステリを愛する人は、この「シャーロッキアン」のところに別の名前が入るのだろうと思います。

2巻が今年の秋に出る予定だそうですが、楽しみです。
[PR]
by n_umigame | 2011-04-11 21:20 | コミックス | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/13361367
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by Yuseum at 2011-04-13 04:27 x
確かにシャーロッキアンである自分の心をくすぐりますね。
特に帯の文章(^ー^)ノ
Commented by n_umigame at 2011-04-13 21:42
>Yuseumさま
シャーロッキアンの方なら「そんなこと、もうとっくに知ってるよ」というネタかもしれませんが (´∀`;)。
自分はドロシー.L.セイヤーズが答えを出したという「なぜか他人の名で夫を呼ぶワトスン夫人」のエピソードがしみました。