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*さいはての西*

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『三蔵法師の大唐見聞録』 1 諏訪緑著(ASAHIコミックス)朝日新聞出版

「西遊記」でおなじみの三蔵法師。彼は膨大な経典を天竺から唐に持ち帰りました。そしてその後は、経典の翻訳に一生を捧げたといわれています。しかし、本当に彼はじっとしていたのでしょうか? 実は彼は、またまた旅に出ていたのです。今度の旅は遠い天竺ではなく、広い唐の国の旅だったのです。でも何で旅に出たのでしょうか? それは彼の持ち帰った重要な経典の一部が、何者かに盗み出されてしまったのです。この経典を取り返すために彼は再び旅立つのです。長安で知りあったウッチたちと一緒に、そして夢の中で現れた亡き兄の謎の言葉に導かれるように。諏訪緑があなたに贈る一大巨編です!!(Yahoo!コミック紹介ページより)


なんと、あの名作『玄奘西域記』の続編が発表されていました!

諏訪緑さんの作品は、『うつほ草子』までしか読んでいなかったので、久しぶりに読むと「絵が変わっちゃった…かな??」と思ったのですが、読み進んでいくうちに、その世界観というか作風にはそんなに変化がなく、安心して読めました。
長年活躍してらっしゃるマンガ家さんの中には、流行に合わせて絵を変えてしまう方がありますよね。それが良い方に作用していればいいのですが、なんだか薄っぺらになっちゃったなあとか、残念なことになっている例もめずらしくないですが、そういうこともなくて。
あえて言えば、ペンタッチは荒くなりました。
絵や小説などの自己表現は体力なんだなあと思うことも多いですが、こればっかりは仕方がないかと思います。

『玄奘西域記』のファンとしては、続編が出るというのはウレシイ反面、不安もあり、ドキドキして読み始めました。

西天取経の旅から唐へ帰国した玄奘は、「三蔵法師」として人々に祭り上げられる存在となっていました。しかし自分としてはまだまだ修行中の身の未熟者で、天竺から持ち帰った経典の翻訳作業に追われる忙しい日々でもありました。
そして相変わらずのブラザーコンプレックスで(笑)、夢になつかしい兄の長捷さんが出てきます。
「玄奘 旅に出るぞ」
と。
そんな夢を見た明くる日、玄奘が旅から持ち帰った『瑜伽論』がごっそり盗まれて…。

という感じで始まります。

ウッチという子どもが登場するのですが、この子の顔がまんま長捷さんです。(眉間のほくろまでそのまんま(笑))
1巻の最後の方で漢字表記が出てきて「尉遅」と書かれています。
唐の時代で「尉遅」姓というと軍人の敬徳敬徳が有名ですが、ウッチは作中「かの大将軍の息子とか」と言われていて、最初の方に登場する房玄齢と合わなかったらしいというエピソードもあり、そこへ玄奘がどうからんでいくのか。
諏訪緑さんの作品はどちらかというとファンタジー寄りな気がしますが、歴史ドラマの部分も含め、やっと役者が揃いましたという段階で、これからに期待です。
by n_umigame | 2011-06-20 18:25 | コミックス