*さいはての西*

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『ちいさな死神くん』キティ・クローザー作/ときありえ訳 (講談社の翻訳絵本)講談社

死神くんは、いつもひとりぼっちでした……死神くんを見ると、人はみなこわがり、体がひえて、口がきけなくなります。でも、エルスウィーズだけはちがっていました。「死」を子どもの目線でとらえた絵本。(Amazon.jp)


真摯に読みこむと、とてもとても重いお話なのですが、この、絵! 絵がー!!!
すごくツボでした。
死神くんのちょっとさみしそうな笑顔と、エルスウィーズの満面の笑顔がとてもすてきです。見返しでバドミントンをする二人と、大きな本をいっしょに読んでいる二人もいい。
最初に死神くんに連れていかれる男性の部屋や、エルスウィーズのベッド、死神くんの暖炉のマントルピースにも、死の象徴であるフクロウがさりげなく描かれています。
こんなになごみ系の絵なのに、読んでいてうっかり泣いてしまいました。(笑)

テーマは、いかに死と向き合うかというとても重いものです。
絵本であることから、小さな子どもに死をどう説明するかという視点も含まれているのだと思います。
お話の「筋」としては典型的な"boy meets girl"でした。
その役目から誰からも恐れられ、いとわしいものとされる孤独な少年が、自分を少しも怖がらず心から受け入れてくれる少女と出会って、少し変わる。(この人と人が出会って”少し変わる”という部分がドラマなのだと思います)
でも少年は「ちいさな死神くん」で、少女は重い病を患う「死にゆく少女」なのであります。

重いですね。

小さな子どもに、「死」に向かって「とうとう きてくれたのね!」と言わせてしまう。それは大人にとってはとてもつらいことだと思います。

でも、エルスウィーズは死神くんに、生きる喜びを教えてくれます。
エルスウィーズが、ただの「死にゆく病気の少女」ではなく、生、あるいは新しい生への象徴であることが、最後にわかります。

もしかしたら、ちいさな死神くんも、幼くして死んでしまった子どもが、神さまからお役目をもらった姿なのかな?と思ったり。

テーマから離れて絵本作品としてぼんやり読んでも、不思議になごむ、すてき絵本です。ぜひに。
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by n_umigame | 2011-07-17 17:23 | | Trackback | Comments(1)
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Commented by RYU at 2013-03-22 05:25 x
マンガの死神くんもいいお話ですよ