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『本へのとびら : 岩波少年文庫を語る』宮崎駿著(岩波新書)岩波書店

「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」。

 アニメーション界のトップランナーとして世界的に注目される宮崎駿監督が、長年親しんできた岩波少年文庫の中から、お薦めの50冊を選んでくれました。思い出の一冊から、まだ読み切っていない作品まで(?)、選りすぐりの書目リストと、つい読んでみたくなる推薦文を、どうぞお楽しみください。

 本書ではあわせて監督へのインタビューを収録(*)。自らの読書体験、児童文学の挿絵の魅力、そして震災後の世界について─。本への、子どもへの、監督の熱い思いを、ぜひ多くの読者の方に受けとめていただきたいと願っています。
(出版社HP)


前3分の1は宮崎駿さんオススメの岩波少年文庫50冊。後ろ3分の2はインタビューが収録されています。

50冊の中には『日本霊異記』や『聊斎志異』など、けっこうアダルティ(笑)な作品も入っていますが、岩波少年文庫にはそういう作品はカットされているそうですね。残念。(おいおい)
わたくしはカレル・チャペックの大ファンなのですが、宮崎駿さんに「この人は、精神のかがやきのようなものを持っていると感じます。とても善良で、かしこくて、硬くてキラキラしていて、あたたかいのです。」と言われるとうれしくなってしまいます。紹介されているのは『長い長いお医者さんの話』。
エーリヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』も入っていますが、若くして亡くなったカレル・チャペックも生きていたらケストナーのように”戦う作家”となっていたかもしれないな…と思うことがありました。
『飛ぶ教室』については「勇気や誇りや公正さ」について触れられていますが、ケストナーの作品が勇気や誇りや公正さを描いて重みを持ち、読者の心を洗うように響いてくるのは、彼の人間性に拠るところもあったのだろうと思います。通例「作家と作品は別物」ですが(笑)、ケストナーだけはそうではなかったと思ってしまいますね。(ちょっと(?)マザコンかもだけど(笑))
『飛ぶ教室』は今から読んでも「ちゃんとした老人になるなら、まだチャンスはあるかもしれない」と思う、という紹介が良いと思いました。

インタビューの部分では、「児童文学は、『やり直しのきく話』なんです」とありましたが、納得です。清水真砂子さんも、「児童文学は、人生は、それでも生きていくのに値する、ということを描く文学だ」とおっしゃっていましたが、そうであってほしいと思います。
なので、かえって大人になってから読むとものすごく”効く”ということあるのでしょうね。
また、「別に本を読んだからって賢くなるわけじゃない。」というところも納得。そうなんですよね、知識は増えるけど、それで人間が賢明になるわけではない。
『ファーブル昆虫記』のフンコロガシが、今はフンコロガシって言わないという部分はショックでした。えええ、あれはフンコロガシじゃないと!!

「翻訳者の力」の項では「翻訳者がほんとうにいろいろ才能を発揮して心を込めてやってくれると、ディープな読者を獲得する」とありますが、これもそうですよね~。わたくしなんぞ、何度捕獲された一人か知れません。

「本ばっかり読んでいる子というのは、ある種のさびしさがあるからですよ。」というご指摘には、いろいろと痛いところに痛いものが刺さりましてございます。
そ、そうかも…(泣)。
でも、それでも幸せならいいと思います!
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by n_umigame | 2011-11-01 00:05 | | Trackback | Comments(0)
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