*さいはての西*

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『塔の上のラプンツェル』(2010)

深い森に囲まれた、高い塔の上で暮らしてきたラプンツェルは、黄金に輝く長い髪を持った少女。母親に「外は恐ろしい世界。絶対に出てはダメ」と言われつづけ、塔から一歩も出たことがない。そんな彼女の夢は、毎年、誕生日になると夜空いっぱいに現れる“不思議な灯り”を近くまで見に行くことだった。ラプンツェルの18回目の誕生日が近づいてきたある日、お尋ね者の大泥棒フリンが塔の中に迷い込んで来て…!?
(goo映画)


原題は"Tangled"。
たいへん意味深な原題だと思いました。

ディズニー映画ですので、もちろんハッピーエンドです。予定調和的な"Boy meets girl"ものに見えますが、とても現代的で怖い要素を含んだ映画だなあと思いました。

以下ネタバレですのでもぐります。












最近たまたまNHKで「やさしい虐待」という、親が子にしつけと称して行ったことが、子どもの不登校などをひきおこしている問題について放送されていたのを見ました。
この番組に登場するのは(なぜか)母親ばかりだったのですが、母親がいかに子どもにとって「重い」存在であるかということを、改めて考えさせられました。

ラプンツェルの育ての母親はラプンツェルに、「外の世界は危険がいっぱいだ」「おまえは世間知らずで何も知らないのだ」「母親はすべてを知っている。おまえ以上に娘のおまえのことを知っている」「お母さんの言うとおりにしておけば間違いがないのだ」と、繰り返し繰り返し歌ったり(ディズニーなんで)言ったりして聞かせます。

娘のためだ、子どものためだと言いながら、その実自分のためでしかない。
この映画の場合は、明らかに母親は自分の利益の(己の若さと美しさを保つ)ためだけに、ラプンツェルを塔に閉じこめておこうとしていて自身もそれを自覚しているのですが、それを自覚していない、本当に「子どものためだ」と思いこんでやっている親ほど子供にとって毒になるものはありません。
「悪気がない」というのは直せないからです。

また、ヒーローであるフリン・ライダーもなかなか象徴的だなと思いました。ディズニーですが王子さまではなく、それどころか泥棒です。
彼は、本名はユージーンで、その名をラプンツェルに「初めて他人に」教えます。
自分の真の名を託すということはたいへん重い意味を持つと思いますが、ラプンツェルもその本名の方が良いわ、と言います。

ラプンツェルの髪は治癒能力というか、「元に戻す」力があるのですが、「元に戻す」ということはそこから一歩も進んでいないということでもあるかと思います。
輝くように美しい金色の髪ですが、それはラプンツェルを縛り(tangled)、育ての母親に縛られる原因でもあったわけです。
クライマックスでライダーことユージーン(ラプンツェルは教えてもらってからこの名でしか彼を呼びません)は、自分の命を犠牲にしても、ラプンツェルの髪をばっさりと切り落とします。
ラプンツェルを縛っていたもの(見た目は美しかった髪であり、母親でもあり)から解放し、同時に自分も(文字通り)生まれ変わって生き直すのです。

正直、ディズニーでこんなに深い物語に出会ったのは初めてだと思いました(笑)。

というのがまじめな感想なのですが、お気に入りは馬のマキシマスです。おまえ、ほんとは犬だろ!! と何回もツッコミながらゲラゲラ笑って見ていました。
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by n_umigame | 2011-12-19 22:35 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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