*さいはての西*

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『職業は武装解除』瀬谷ルミ子著(朝日新聞出版)

紛争地帯で、自分よりも権力のあるものに翻弄される人生を送る人々と、政治家の無責任な発言に不安を覚え、未来が描けなかった自分を重ね合わせた高校時代。でも、私たちは努力さえすれば状況を変えられる社会に生きている―。24歳で国連ボランティアに抜擢され、27歳でアフガニスタンのカルザイ大統領から助言を求められるようになっていた。そのすべては、小さな決意の積み重ねからはじまった。「世界が尊敬する日本人25人」(「Newsweek日本版」)に選出された著者による初めての本。(Amazon.jp)



秋以降、読んだ本、観た映画ドラマの濃度が濃くて、感想をアップするのが全然追いついていません。申しわけありません。

ご多分にもれず…と申しますか、著者の瀬谷ルミ子さんのことを知ったのはNHKの番組「プロフェッショナル」でした。
この番組を見ていると、自分とかけはなれたようなどんな仕事、どんな現場にも「プロフェッショナル」と呼ばれるにふさわしい仕事をしている方がおられることがわかり、くだらないことでグチったり落ち込んでいる我が身をふりかえって、励まされたり叱咤されたりしておりました。

番組を見て初めて、瀬谷ルミ子さんと、DDRというお仕事があるということを知りました。
DDRとは、兵士の武装解除(Disarmament)、動員解除(Demobilization)、社会復帰(Reintegration)の略で、その名のとおり紛争地において兵士の武装解除とその社会復帰を手伝う仕事です。
…と、簡単に申しましたが、そこにはたいへん複雑でデリケートな問題を含んでおり、理屈だけでは通らないものごとが山積しており、身体の危険はもちろんのこと神経のすり減るようなお仕事であることは想像に難くありません。


必要とされる場所に必要とされる時にすぐに行き、本当に必要な助力だけを見極め、淡々と実行する。
ボランティアもそうですが、「やってやっている」「助けてやっている」という、いわゆる「上から目線」の見方、考えの人にはこのお仕事はできないと思います。(それが端的にわかるエピソードも紹介されています)
また、もちろん同情だけで解決できる問題でなく、冷徹なリアリストの視線で貫かれています。
では瀬谷さんが鉄のような女かというとそんなことはなく、ブログを拝見していても思ったのですが、とてもユーモアがあってチャーミングなお人柄が透けて見えます。
世界中どこへ行っても、やはり人間と人間との関係なのだと思わされます。

生半可でなくハードな仕事にユーモアは欠かせないということは、わかる気がします。
ユーモアがあるということは、客観的にものごとを分析する知性と能力があるということだと思うからです。

NHKの「プロフェッショナル」では、番組の最後に「あなたにとってプロフェッショナルとは?」と問いかけ、それぞれのゲストの方に答えていただいて終わるという形になっています。

「プロフェッショナルとは」
瀬谷ルミ子さんの答え「やらない言い訳をしない人」。

いつでも精一杯やりましたと言える、逃げなかったという事実が自信になるということは少しずつわかってくるのですが、それでも日々自分の逃げ道を残しながら仕事をしている身には突き刺さる一言でした(笑)。

凡百の自己啓発本やビジネス書を読むよりも、この本をおすすめいたします。
がちがちの硬い本かと思われる向きもあろうかと思いますが、まったくそんなことはありません。
もちろん重い現実を描く本ではありますが、瀬谷さんが世界各地で痴漢と戦ったエピソードなどは抱腹絶倒です(笑)。(ご本人はもちろん笑い事ではなかったと思いますが)

たいへんご多忙な方なのでなかなか難しいと思いますが、いつか第二弾も刊行されることを期待しております。
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by n_umigame | 2012-01-03 18:46 | | Trackback | Comments(0)
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