『リアル・スティール』リチャード・マシスン著/小田麻紀訳(角川文庫)角川書店

映画化に伴って3度目(?)の文庫収録となる表題作以外、既読の作品とかぶっているものはほとんどありませんでした。

早川書房から出た文庫『リアル・スティール』より、ある意味こちらの方がマシスン初読者にはマシスンの芸風がわかっていいかもしれないと思いました。
もし今からマシスンをとりあえず読もうと思ってらっしゃる方があったら、これと『運命のボタン』(早川書房刊)をオススメいたします。個人的には『13のショック』がオススメなのですが、ちょっと高価なので合わなかったら悲しいので。

Amazonでもレビュー以外で収録作品が開示されていないというのが、かえって損をしているような気がします。
あまりかぶってないのだから堂々と公開すればいいのに。と思いました。

以下、作品ごとの感想です。
特にネタバレはありませんが、いちおうもぐっておきますね。








★「リアル・スティール」 
 『運命のボタン』所収「四角い墓場」で既読。

★「因果応報」
 タイトルどおりのオチ(笑)。イソップみたいな感じかな。 

★「結婚式」
 ばかばかしいくらいに縁起をかつぐ男が結婚式に臨んで…というお話。
 オチも同様にばかばかしくて笑えます。ブラックオチですが。

★「征服者」
 ウェスタンバカの若者の最期。これもばかばかしい苦笑いオチ。
 「結婚式」といい、ニヤリ★ブラックな笑いがマシスンらしいかも。

★「日記さんへ」
 紀元前のギリシャの遺跡から「いまどきの若いもんは…」とグチを書いた石版が出てきたという話を思い出しました。

★「下降」
 終末もの。なんとなく『渚にて』のラストシーンを思い出しました。

★「なんでもする人形」
 予定調和と言われればそれまでですが、マシスンの面目躍如なお話。ザ・本末転倒もの。
 最近の児童虐待の事件などを聞いていると、本当に起こりそうでおそろしい。

★「旅人」
 アメリカ人らしいお話かもしれません。

★「時代が終わるとき」
 絵的に手塚治虫先生の『火の鳥 未来編』を思い出しました。
 地球最後の男の悲劇に酔っぱらった、これも本末転倒的ブラック・ユーモアの利いたオチでした。

★「ジョークの起源」
 モンティ・パイソンあたりに出てきそうな(笑)。

★「レミング」
 既読。これも終末もの。
 「なぜ」を説明しない恐ろしさという意味で傑作短篇だと思います。

★「境界」
 既読。のはず。
 これも「なぜ」を説明しない恐ろしいお話には違いない。このあとどうなったのかもわからない。
 実際に自分の身の上に起きたらどうしようと思う。
 自分でも「ミスター・パラノイア」と称するマシスン節炸裂でもあります。

★「サンタクロースをたずねて」
 愛人を作って、保険金目当てで妻殺しを依頼した男のお話。これもここで終わるのがいいですね。
 犯罪は割に合わないということを心得ましょう(笑)。

★「ドクター・モートンの愚行」
 ホラーチックなんだけど、ユーモラスでもあります。
 閉院後の歯科医院に治療してくれといってやってきた男は…「あの男」であることは示唆されますが、明示はされません。

★「時の窓」
 タイムトラベルファンタジーもの。
 ほのぼのと終わる。この作品を最後に持ってくる編集が心憎いですね。
 やっぱりマシスン初読者向きだと思います、この文庫。
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by n_umigame | 2012-01-03 19:30 | | Trackback | Comments(0)

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