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『名探偵ポワロ』シーズン12 #2「複数の時計」

海軍大尉を装う秘密情報機関MI6の一員コリンがポワロに協力を求めにくる。コリンの同僚で恋人のフィオナは、機密書類を盗み出した別の同僚を尾行した先で車にはねられて命を落とした。フィオナが残したメモに書かれていたのは三日月の絵と「M」の文字と「61」の数字。一方、派遣秘書のシーラに見知らぬ人物から指名が入りその家に向かう。事前の指示どおり家主が戻るまで中で待つことにするが、男の死体を発見する。
(NHK海外ドラマHP)


原作は東西冷戦の時代のお話なので、クリスティーがふと思い立って「男のすなるエスピオナージュといふものを、女もしてみむとてするなり。結論。あたしには向いてないわー」という感じの、ちょっと冗長で残念な印象の作品になっておりました。(けど『ビッグ4』とタイかと言われるとそこまでひどくないよ?という感じですが、今さらっと『ビッグ4』ひどいて言ってしまいましたが気にしない。)
ジョン・ル・カレの、任務に就いている登場人物よりも読んでる方が消耗するような、言ってみれば「だらだら」と受け取られかねない、心理戦が延々と続く作品を受けてということもあるのかなあと思ったりしました。(ちなみに『寒い国から帰ってきたスパイ』も『複数の時計』と同年の1963年発表)

ドラマの原作からの改変は、コリンがレイス大佐の息子になっているところと、フィオナという原作には登場しないコリンの恋人が出てくるところ。
原作では、コリンとシーラは「ドシンとぶつかって芽生える恋」という、それどこの大昔の少女マンガ?というような展開で二人は出会います。コリンが「あの動揺の仕方からもシーラが犯人のはずはない」とかばうのですが、端で聞いていると特に傍証もなく、コリンの主観だと言われてしまえばそれまでというものであったため、コリンはさんざん「シーラに気があるんだろう」とかなんとか揶揄されます。
フィオナは「シーラは犯人ではない」というコリンの証言に客観性を持たせるために登場したのかなあと思ったのですが、フィオナの遺品を手に幻を見てぼろぼろ泣くくらい好きだったくせに、「おまえ変わり身早すぎだろう」とツッコんだ方がお茶の間に大勢いらっしゃったのではないかと思われます。いいように考えてあげて、あれか、同情が横滑りするタイプなのか、コリン。しかしそうだとしたら、なんてスパイに向いてないんだ。あ、だから辞めたか。

以下ネタバレにつきもぐります。








原作では、殺人現場…というか、死体があったところに、なぜ住人が知らない時計がたくさんあったのか?というところが魅力的な謎になるはずが、ふたを開けたらうっかりバカミス街道に入りかけていたという。これは言うところの弘法も筆の誤り、クリスティーもトリックが滑るということでございましょう。

原作では、未完の推理小説のトリックだったはずが、ドラマでは刊行済みの作品になっていたようで、それがちょっと気になりました。が、それが大きく筋を変えてしまうかというとそんなこともなく。
また、原作に比べて警察(と捜査責任者の警部)が使えなさすぎです(笑)。原作のディック・ハードキャッスル警部はもっときちんとすべきことを確実にこなす、堅実な警察官として描かれています。ドラマではすっかりコメディ・リリーフ用のキャラクターにされてしまっていましたね。

今回はポワロさんは猫アレルギーなのか? というシーンがほほえましかったです。
あとドーバーの白い壁がきれいでした。
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by n_umigame | 2012-02-20 20:53 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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