ボビーは崖の上でひん死の男性を発見。息絶える前に残した言葉は「なぜ、エヴァンズに頼まなかったか?」。男性は事故死とされたが、最後の言葉が気になるボビーは幼なじみの令嬢フランキーと家族の友人ミス・マープルとともに謎解きを始める。3人は男性の持ち物のなかにサベッジ城に印の付いた地図を発見。ボビーはなにものかに命を狙われておびえるが、フランキーはひるまず城に乗り込む。
(NHK海外ドラマHP)
原作は既読、ドラマはジェイムズ・ワーウィックとフランセスカ・アニス主演のものを見ています。トミーとタペンスものだと思い込んでいたのですが、よく考えたらノン・シリーズものじゃないですか。この二人が主演の作品を先に見ていたからそう思ったのですね。
しかもなぜだか原作をトリプル買いした過去があり、自分にとってどんだけ印象の薄い作品なんだと改めて思いましてございます。クリスティー、ごめんなさい。何度読んでも何回見ても記憶に残らないって、ありますよね?(あんただけです。)
さて、今回も豪華俳優陣だなあと思いました。
ピータース警視長にダルジール警視ことウォーレン・クラーク。主役が張れる役者さんが脇役で登場すると、犯人なんじゃないかと疑ってしまいます(笑)。役者さん自体が叙述トリックですね。
精神科医の情緒不安定な妻モイラ・ニコルソン役は、『THE TUDORS~背徳の王冠~』でアン・ブーリンを演じたナタリー・ドーマー。今作品でもチャイナ・ドレス姿がセクスィーでしたね。
蛇とか飼ってる怪しい子(笑)トム・サベッジ役はフレディー・フォックス。『三銃士~王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』でアホの子ルイ13世をさわやかに演じた平成デビューのヤングマンです。(1989年生まれ)
これは
縁側昼寝犬さまから教えていただいて知ったのですが、『ルイス警部』のゴールデン・コンビの片割れハサウェイ役のローレンス・フォックスのいとこに当たります。フレディーもローレンスも父母ともに俳優で、ローレンス・フォックスの奥さまは『ドクター・フー』のローズことビリー・パイパーという俳優一族なんですね。(ちなみに”ヨメがビリー・パイパー”と聞いたとき、ローレンス・フォックスって愉快な人なんだろうなと思いました^^)
忠実な執事ウィルソン役はリチャード・ブライアーズでした。お久しぶりです。わたくしの印象に強く残っているのはケネス・ブラナー版『ハムレット』(映画)でポローニアスを演じたときですが、『モース警部』にも『トーチウッド』にも出てらしたようです。
で、内容ですが。
ノン・シリーズにシリーズ探偵をもってくると、とりあえずシリーズ探偵は犯人から除外されるのでハラハラ感がまず下がります。あと、やっぱり探偵役が若い二人で、「無茶しやがって…」という部分がドラマを盛り上げるのに、機動力が高いとは言えない年配の人が探偵だと、ドラマの躍動感がだだ下がり。(前作の『殺人は容易だ』にも言えることですが。)
人生経験の豊かさと経験に裏打ちされた人間観察眼の確かさ、それと若くて無鉄砲な行動力が生むハラハラドキドキ感、双方がそれぞれの良さを殺してしまっています。(前作の『殺人は容易だ』にも言えることですが。)
また、原作はそんな感じで、どちらかというとサスペンス風味の作風です。そこへ論理的に謎解きをするのが得意な「名探偵」を持ってくると、サスペンスと謎解きがそれぞれ双方の良さを殺してしまって、どっちつかずの印象になってしまうのは否めないと思います。
豪華な、あるいは確かな演技力を備えた俳優陣、すばらしいセットにロケーションをもっていても、これでは宝の持ち腐れです。
そしてやっぱり、なんで犯行の背景をこんな陰惨な過去にするんですかねえ…。
原作を3回以上読んでてもうろ覚えなのではっきりしたことは言いかねますが、いや、こんな「わあ、感じ悪い」という印象ではなかったと思います。