*さいはての西*

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『ルイス警部』 #18 「野蛮な正義」; Wild Justice

聖ジェラーズを訪れていたアメリカ人女性司教が殺される。彼女が飲んだワインに毒が盛られていたのだ。彼女の急進的な宗教観に危険を感じた人物による犯行かと思われ、保守的な考えを持つ托鉢僧らに捜査の目が向けられるが、その後、聖ジェラーズの副理事候補が立て続けに殺されたことから、副理事の座を争う候補者らにも疑いがかかる。事件の根源は宗教観の違いか、校内の権力争いか、それとも、もっと別のところにあるのか。
(チャンネル銀河HP)


今回はエピソードタイトルに”「復讐は一種の野蛮な正義である」F・ベーコン”と添え書きが出ます。添え書きが出るのはめずらしいな…と思って見始めると、最後にきれいに締めがきました。
やはりシリーズ5からミステリ・ドラマとしてのクオリティが以前のレベルに戻ったように思います。いや、もうルイスとハサウェイのコンビが見てて聞いてて楽しかったらそれでいいけどネ!…となっていたことを白状いたしますが、やっぱりドラマとしても見応えがある方がいいですよね-。

以下ネタバレにつきもぐります。『モース警部』最終回「悔恨の日」のネタバレもありますので、ご注意くださいまし。













ドラマは、やはりコリン・デクスターが噛んでいそうと申しますか、アガサ・クリスティーがよく使った手で、「最初に殺された人はとばっちり(間違いの殺人)」でした。犯人の真の目的は復讐でした。
今回は犯罪と更正ということを考えさせられる回でしたが、優しいルイスですらキャロライン・ホープが「わたしは10歳だったのよ」と取調室で泣きじゃくられても冷めた顔で見ていました。この段階ではまだ容疑者だったということもありますが、それにしても、復讐のためなら人を殺していいわけではないけれど、だからと言って10歳だったから全部帳消しにしてもらえて当然みたいなホープもどうかと思うし、なんとなくすっきりしない回ではありました。
作中次々引用される復讐劇の中で、『タイタス・アンドロニカス』はアンソニー・ホプキンスがタイタスを演じた映画版だけ見たことがありますが、もうどろっどろのスプラッタです。「上演回数が非常に少ない」とハサウェイも言っていましたが、でしょうねえ…。

冒頭のベーコンの言葉は「復讐は一種の野蛮な正義である。人の本性がそう傾くほど、法はこれを根絶せねばならぬ」と続くそうです。
ベーコンは人の本性はそういうものだということ、自分の愛する者を殺されたとき、人の心は心性として復讐したいという気持ちに駆られるものだからこそ、それを法で根絶せねばならないと考えたということでしょう。
これもハサウェイの言うとおり、それが法の意義ですよね。

やっぱり、復讐の話は後味悪いでございます…。


さ、陰惨なドラマ部分はもうおいといていいじゃないですか?(本末転倒)

ルイス声戻りましたね!よかったー。安心しました。
そうですよ、イギリスの役者さんは還暦なんてまだまだこれから世界的にブレイクするかもしれないお年頃ですからね!(>大先輩クリストファー・リー)

警察署内に掲示されている「早期退職者、優遇します」のポスターをガン見しているハサウェイ。…の後ろを一瞬通り過ぎただけに見えたけどルイスはすべてを見ていました。(笑)

ハサウェイ辞めるの?と思わせておいて、実はルイスが早期退職を真剣に考えていました。恩給も良いし、娘が妊娠したから近くに住めって言ってて…と。
今回もやっぱり先にホブソンに話したルイス。「先延ばしにしないでハサウェイに話さないとだめよ」とホブソン。
事件が解決して、いつもの場所でビールを飲みながら打ち明けるルイス。「私が辞めたからって警部になれるとは限らないけど、まあおまえのためにも席を空けなきゃ」と。
ハサウェイも別の人生を考えないでもないけれど、それはルイスがいなくなった警察の仕事ではなくて「警部が辞めたらわたしも辞めます(If you go, I go.)」。
落ち着けハサウェイ。
「ほかにわたしを理解してくれている人がいますか?」
いや、だから落ち着けハサウェイ。
すごい破壊力のエンディングでした。心臓に悪いわ。

そんなわけで、名コンビの活躍はまだまだ楽しめそうです。

最後のシーンのルイスのセリフは、かつてモースがストレンジ警視正から「おまえもう身体もぐだぐだだし早く警官辞めろ。ルイスがいつまでも巡査部長でかわいそうだと思わないのか」と、けっこう痛いことをズバッと言われていたのを思い出しました(笑)。当時からルイスのファンだったわたくしは「モース、悪いけど、そのとーりだ」とか思ってしまったことは秘密です。モースはルイスみたいにいわゆる「いい上司」じゃないので、自分からこんなこと言いません(笑)。
ドラマのストレンジ警視正もこんなこと言って、とてもいい人なんですけれどもね。最終回でモースを看取ったのもストレンジ警視正ですし。フォローすると、モースの最期のセリフも「ルイスにありがとうと伝えて…」だったですよ。

なんでこんなにモースがフラッシュバックするのかと思いましたが、モースがホブソンに献体を考えていると相談したというシーンが出てきたからでしょう。臓器を提供する方がいいわよとアドバイスしたホブソンに「私のでも?」と言ったそうですが、ですよねー。モースの内蔵って言われたって、肝臓はもうだめだし心臓ももうだめだったっぽいですしね。

今のルイスとハサウェイの上司、イノセント警視正もいい上司ですが。
取調室でハサウェイと並んだとき、ぼんやりと「彼(ルイス)に怒鳴られたことある?」と言い出すイノセント。
「私が悪いときには」とハサウェイが答えると、「休暇を取らせるべきね」と。
確かにルイスに怒鳴られてびっくり顔だったイノセント。
ルイスみたいにふだん温和な人が怒ると怖いですよね。
でも、翌日ルイスが言い出しにくそうに、「声を荒立てて申し訳ありませんでした」と謝罪すると、「そうだった?」といったんとぼけておいて、ルイスが、あんまり怒ってない!許してもらえた!と思って「どうも(Thanks.)」と言ったら「二度とやらないで」と釘を刺すイノセント、顔がマジでした。
だてに男社会で警視正まで上り詰めたわけじゃありませんねイノセント男前。
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by n_umigame | 2012-05-05 00:03 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by カクテキ at 2012-05-05 11:28 x
ルイスの声、治ってましたよね。
自分の耳だけでは自信がなかったので、nisemiさんの感想聞いて安心しました。

復讐の話は、酌量の余地がありそうでいて人を殺してはならないという大前提の前ではそれを許す気になれず、ともやもやしたものしか残りませんね。
今回特に、「まだ10歳だったのよ!」と繰り返すホープにイラっときたし。

最後のシーンはかなりお気に入りなのですが、モースを全部見ていればさらにあのシーンのよさがわかるのですね。
Commented by n_umigame at 2012-05-06 18:54
>カクテキさま
声、なおってましたね!わたしも本当に安心しました~。
やはりカクテキさんがおっしゃっていたように、雪が残っていて寒そうでしたから風邪をひいてらっしゃったのかもしれませんね。

復讐の話って後味悪いですよね。
被害者であるはずのホープ自身に共感や同情ができないと、やっぱりすっきりしないです。

最後のシーン、わたしも大好きです!もうがーっと血圧上がりました(笑)。あまり直接的な表現をしない仲だったので「ええええええ!」となりまして。特にハサウェイ。
続きが気になったのでIMDbなどをもそもそと見に行きましたら、シリーズ6を今年撮影中みたいです。エピソードタイトルだけで5話分くらいアップされていたので、まだまだ見られるみたいですよv
わくわくですね~。