『フランクを始末するには』アントニー・マン著/玉木亨訳(創元推理文庫)東京創元社

フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。殺し屋の“わたし”は彼の殺害を依頼され……。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など多彩な12作。奇想とユーモアあふれる傑作短篇集をお楽しみください。解説=野崎六助(出版社HP)



コージーっぽいかわいらしいカバーイラストですが、いわゆる「奇妙な味」系の、普通小説ともサスペンスともミステリーともSFともホラーともジャンル分けできないような小説を集めた短編集です。
…なのですが、全体を読み終わっての感想は微妙。
こういう作品を初めて読む方にはおもしろいかもしれませんが、おかげさまで最近いろいろとスレてきておりまして(笑)、免疫ができているのかもしれません。

解説によると著者はオーストラリアの作家だそうですが、小説の舞台はほとんどイギリスのようです。(オーストラリアが舞台になっているらしきものもあります)

以下、それぞれの感想です。ネタバレ気味ですのでご注意ください。













「マイロとおれ」
刑事の相棒が赤ん坊だったら?というお話。
以上。(おい)

「緑」
働かないで家にいる青年にひたすら「社会的に正しい生活」を押しつけてくるご近所さんたち、というお話。
主人公は庭の雑草が好きなのですが、朝には必ずご近所さんが刈り取ってしまう。ニートの是非は置くとして、ご近所さんがじわっといやな感じです。日本の農村の「五人組」制とかに通じるムラ社会的相互監視ですが、ご近所さんたちが善意でやっているところがいやな感じ倍増。

「エディプス・コンプレックスの変種」
いやーな感じの主人公の一人称形式で話が進むのですが、最後を読むと父親もどうかしとる。

「豚」
うぎゃー!!
歯の形も似ているそうですが、本当…?適合するのかな。

「買いもの」
これは楽しかったです。
猫だけが家族の平凡な生活を送っているらしき青年(おそらく)が、だんだんおかしなものを買うようになっていき…。確かに買い物メモ/履歴って、その人の生活や嗜好が見える究極のプライバシーですよね。これが本だと頭の中味までもがだだ漏れですよ。おそろしい。

「エスター・ゴードン・フラムリンガム」
ミステリー作家さんたちの苦悩が垣間見えるようです。
けど、小説なんだからキャラクターの設定ありきってつまんないと思いますけど。

「万事順調(いまのところは)」
オーバードーズで死んでくれ、という復讐の話でいいのかしら。

「フランクを始末するには」
これもひねりがきいていて楽しかったです。けど、どいつもこいつもという感じ。

「契約」
はっきりしたことが何も語られないので想像するしかないのですが、おそらく犯罪被害者の遺族が、その経験をマスメディアに売買する契約というお話だろうと思います。
日本でも犯罪ノンフィクションものが出版されたりそれが映画化されたりしますが、アメリカやイギリスでは犯罪者が一種のスターみたいになるようで、出版社の編集者が犯罪者に出版権を独占契約してくれるようにかけあう、という場面が小説やドラマに出てきます。何というか、やりきれないお話です。

「ビリーとカッターとキャデラック」
うぎゃー!!
これは自分でやったということなんでしょうか。本当にこういうダイエット(?)があるそうで、おそろしいことです。

「プレストンの戦法」
「エディプス・コンプレックスの変種」と同じくチェスのお話。
チェスに勝つために人生を棒に振るというか、チェス>>>>>>>>>>>>人間という価値観が理解できない。プロの人とかそうなってしまうんだろうなあという気持ちの面ではわかるのですが、それにしても。

「凶弾に倒れて」
これははっきりと犯罪被害者の目線から描かれたお話。そして加害者がどんどんマスメディアの寵児になっていくのを、主人公が見ているお話です。ラストシーンは、せめてもの意趣返しのつもりだったのでしょうか。かえって傷つくだけな気もしますが。
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by n_umigame | 2012-06-03 18:28 | | Trackback | Comments(0)

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