*さいはての西*

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『マダガスカル 2』(2009)

マダガスカル島を出ることにしたライオンのアレックス、シマウマのマーティ、カバのグロリア、キリンのメルマンたちは飛行機で大空に飛び立つが、すぐに燃料が切れてしまう。不時着した場所は、何と広大な大地が広がるアフリカだった。そこには、自分たちと同じ種の動物たちがいて……。
(シネマトゥデイ)



『2』では『1』よりさらに主役4人組(アレックス、マーティ、グロリア、メルマン)のキャラクターが掘り下げられて、テーマも重いものになっています。

…と言っても、基本コメディなんでアレなんですが(笑)。



以下ネタバレ含みます。結末にも触れています。




いよいよNYへ帰るつもりの主役4人組。
『1』のラストで、ペンギンズがシー・ジャックした貨物船の燃料がないことがわかり、どうやって帰るんだ…と思っていたら、『1』でキングジュリアンたちが会議室に使っていた「マダガスカル・ツアー」の飛行機を修理してました。
(コメンタリーによればこの飛行機は「アメリア・イアハートの飛行機」だそうです。)
人間ですら修理できずマダガスカル島のジャングルで朽ち果てたのに、すげえよ、みんな。
死体を片付けるという案は出なかったのかな(笑)。

ペンギンズの操縦で離陸しましたが、まもなく燃料切れで不時着。この不時着シーンは、名シーンだと思います。『トワイライト・ゾーン』(映画版第4話)のパロディには爆笑しました。

不時着したのは何と、主役4人組のルーツであるアフリカでした。

『1』ではアイデンティティとルーツが問題として提示されていました。
『2』では、アレックスは両親と、ほかの3人はそれぞれの仲間たちと出会います。
でもそこでは、「同じ種類」どうし群れで暮らす中で感じる息苦しさ、一人特別でいることの難しさ、他人と違うことに対する不寛容といった問題を知ることになるのでした。

今回もなかなかテーマとしては重いです。

アレックスは両親と再会したものの、父親の望む自分と、自分の適性ややりたいこととの差に愕然とします。「父さんはおれのことを負け犬だと思ってる。おまけに父さんの顔をつぶした」と。
アメリカの映画ではよく出てくる、お互いを受け入れることができない父と子の相克がテーマですね。
お母さんが聡明でユーモアのあるキャラクターなのが救いです。

マーティは仲間のシマウマたちと出会え、群れに大歓迎されて、最初のうちは大喜びでしたが、やがて「みんなと寸分違わぬ」自分、特別だと思っていた自分の才能が、実は誰にでも簡単にできることだったことを知ってしまいました。
『1』でも自分のアイデンティティの問題に悩んでいたマーティは、親友のアレックスが自分をほかのシマウマと見間違えたことにもさらにショックを受けます。その上、アレックスが父親とのことがあって「おれの悩みの方がおまえより大きいんだ」と言ってしまい、マーティは「いつもおまえは自分のことばっかりだ」と言って去って行きます。
人間でもそうですが(笑)いつも陽気なお調子キャラのマーティには悩み事なんてないと思われがちだったということなんでしょう。深い悩み事があってもそれを表に出さないから。

アレックスのちょっと身勝手なところは不時着シーンの後でも少し描かれています。
ペンギンズの活躍で全員無事着陸したものの、飛行機は大破してしまいます。
隊長は全員無事だったことを確認するとまずはそれで良しとして、仲間のがんばりを褒め、すぐさま、なすべきことをしようとチームにてきぱきと指示を出すのですが、その横でアレックスがごちゃごちゃ文句を言うんですね。
隊長に「おまえたちは水を探してトイレ掘るくらいやれ」と言われると、「なんであんたが指図するんだよ」と。ペンギンズの責任だけ追及して、自分のできることは何かとは言わないんです。
気のいいニューヨーカーのアレックスはピンチに弱いのは仕方ないかもしれないのですが。

隊長は大人なので((笑)ときどき子どもっぽいけど^^)アレックスの文句を軽くいなしますが、代わりに横でリコが凶悪な目つきでにらんでるのが笑いました。隊長に対して失礼な言い方をしたアレックスに、飛び出しナイフを出して「やんのか、ゴラァ」と言わんばかりにニヤリ★とメンチ切るのですが、隊長が左羽で制するとおとなしく引っ込めるリコもいいです。その間ずっと、先に自分の仕事に入ってるコワルスキーもいいです。立ってるだけでキュートでなごむ新人もいいです。

閑話休題。

体の弱いメルマンも仲間と出会いますが、医者がいないと聞いてあわてます。
「君たちにはぜったい医者が必要だよ」と言うと「君がなれよ」と言われ、「ぼくが医者…?お母さんよろこぶだろうなあ」と。(ちなみになぜだか唯一ファミリーネームがわかっているメルマンは仲間たちの中では博識で、たぶんユダヤ系という設定です。だから「お母さんがよろこぶ」がジョークとして生きるんですね^^)
ところが、まじない医者病(笑)で余命いくばくもないと言われ、人生に絶望してしまいます。死ぬキリンが入って死を待つという穴に入っていると、キングジュリアンとモーリスがやってきます。
キングジュリアンはぶれないキャラクターですが、『2』では特に、トリックスターとしてすばらしい働きを見せてくれます。
まさかキリンの告白シーンで2回も涙出そうになるとは思ってもいませんでした。2回目のシーンは確実に泣いてました。

グロリアは「ハンサムなオスカバ」モトモトと出会って、仲間たちがそれぞれ深刻な悩み事を抱える中、一人上げ上げになってましたが、モトモトが見かけしか取り柄がないつまらない男だということを、メルマンのおかげで知ってしまいます。
(申し訳ないけどモトモト、キモいよ!)

『1』でも登場したアレックスと因縁のおばあちゃんのおかげで、アレックスは大ピンチに陥るのですが、おかげで父親に自分を認めてもらえるチャンスが来ました。
「自分が悩み事があるときはいつも支えてもらったのに、おまえが悩んでるときに支えてやれなかった。なんて友達だ。最低だよな」とマーティに謝り、気のいいマーティは許してくれました。
メルマンとグロリアはお互いの気持ちが通じあい、ハッピーエンドとなります。

お人形とめでたく式を挙げた隊長(シュールすぎます、隊長。)とペンギンズは、チンプス(チンパンジーのメイソンとフィル)とともに、新婚旅行と軍資金稼ぎを兼ねて改造飛行機でモンテカルロへ飛び立ちました。
(この飛行機…というか飛行船というかは、ノーズの部分がいわゆる「シャークマウス」の塗装がほどこしてあって、笑いました。ペンギンズに似合いすぎだ。)

アレックスたちは、まだしばらくはアフリカに残って人生を楽しむことに。

『2』の方が『1』よりお話としてはまとまっている印象でした。



アレックスと因縁のおばあちゃんですが、実はペンギンズとも因縁があります。
そこをサファリツアーのジープをペンギンズが鮮やかなチームプレーで強奪するシーンにからめてきたのもお気に入りです。
短編『ペンギン大作戦(The Madagascar Penguins in A Christmas Caper)』で、新人がこのおばあちゃんに捕まってしまうんです。おばあちゃんには悪気は(たぶん)なかったのですが、おかげで新人はひどい目に遭います。
隊長たちが助けにきて新人は事なきを得ますが、チームの一人一人を大事にしている隊長が、このおばあちゃんのことを忘れているはずはないですよね。
それは、
「死んじゃったの?」(Is she dead?)と心配そうに言った新人に、
「いや」(No!)と腹立たしそうに返したところでもわかります(笑)。
この腹立たしそうな言い方に、めちゃくちゃ笑いました。新人は、あんなにひどいめに遭わされたのに、いい子です。

この映画だけ見ていると、わざわざ戻っておばあちゃんをはねていく隊長、鬼でしかないですが(笑)。
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by n_umigame | 2012-09-19 21:12 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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