*さいはての西*

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『マダガスカル 3』(2012)感想その2。

後半です。



以下ネタバレあり。結末に触れています。









あんなに帰りたかった故郷NYの動物園に帰ってきた4人(と、キング・ジュリアン)。

ファンタジーの基本である「行きて帰りし物語」になるのかと思っていたら、故郷は彼らにとって「安全で快適だけれども、小さすぎ、檻で囲われた場所」となっていました。

アレックスは、かつては「キング・オブ・ニューヨーク」の自分のために何でも「してもらう」のが当たり前だと思っているキャラでしたが、『3』では、自分たちがアメリカに帰りたいがためという動機もさりながら、サーカスのみんなのために本当に親身になってできることを考え始めます。
『2』では、ペンギンズに横からごちゃごちゃ文句を言ってるだけだったのに(あの飛行機に乗る方も乗る方ですよね^^)、『3』では不時着した飛行機を率先して修理しようとしたりして、明らかにアレックスの何かが、この旅で変わったのですね。
それはほかの3人も同じでした。

あの動物園の高い檻や鍵は以前はなかったものですが、物理的に檻や鍵で閉じ込められているというだけでなく、4人の心境も物語るのでしょう。

クライマックスの4人の救出作戦は隊長が指揮を採ってはいるものの、サーカスの仲間たちやキング・ジュリアンたちキャラクター全員に心憎いまでの見せ場が用意されていました。
これだけ個性の強いキャラクターがたくさん出てきて、映画を見た人に全員印象が残るように見せるというのはたいへんだったんじゃないかと思われます。

「世界中の子どもたちに風船を配るんだ」というアレックスの嘘が真になるシーンは、織り込み済みの伏線とは言え、大画面で見ると「わーーっ♪」となりました。風船のキャンディカラーが画面一杯に広がって本当にきれい。
デュボワ警部とその部下たちは、どこかで見たアングルとシチュエーションで貨物船に…ここは『1』から見ている人に用意された爆笑シーンですね。
ここできれいにトリロジーの円環が閉じ、ちゃんと『マダガスカル』というタイトルにもつながっていました。
お見事です。

アレックスたちがこの後どうするのかははっきり描かれていませんでしたが、もう動物園に戻るつもりはないようでした。

* * * * * * * *

このシリーズ3作品(+ペンギンズ作品)を見て思ったのは、アメリカの娯楽映画なのにいわゆるヒーローやヒロインが不在なんですね。
誰か一人が「自分が世界を救わなければ」と眉間にしわを寄せて悩むということはない。

アレックスたち4人は、最初は野生でサバイバルするのも無理そうな、ひ弱な存在でした。悩み事も一人一人の個人的なもので、世界のありようと直結するような大きな悩みと言えるようなものではありませんでした。

ペンギンズはかっこいいけど(笑)、彼らも誰か一人が突出して一人で何もかもできてしまうスーパーヒーローというわけではなく、それぞれ得手不得手があり、それをお互いに補い合いながら4人で驚異的なチームプレーを見せるのです。(ペンギンズの誓いは「Never swim alone」だし^^)
隊長はずば抜けた統率力を発揮するけれど、彼にも弱点や欠点があり、3人の仲間たちがいなければ何もできないことがわかっている。だから皆を大事にするし、部下たちも隊長に弱点や欠点があっても基本的に敬意を失わない。きっとお互い様だと思ってるんだなあと。(そういう意味では主役4人より大人な気がします。)

キング・ジュリアンは突出したトリックスターで、騒ぎばっかり起こしているように見えますが、そこがトリックスターたるゆえんで、キング・ジュリアンのおかげで/せいで(笑)物語が大団円に向かうきっかけができるんですね。

つまり、主役も脇役も、ピンチに陥ったときに一人では何もできない。

それは恥ずかしいことではなくて、困ったときは助け合うのが本当は当たり前のことなのだというメッセージが『3』ではよりはっきりと打ち出されていたように思いました。

スーパーヒーロー/ヒロインが大活躍する映画はそれはそれですかっとするに違いないですが、それぞれの長所と短所を抱えて、ときには大ピンチに陥ったり、悩みながらも一生懸命生きている”人間くさい”動物たちに、大人も子どももどこかしら共感できるところがある。

このシリーズは興行的にも成功したようですが、そんなドラマを、ディズニーやピクサーのアニメにはあまりない毒を混ぜながら、エンタテインメントとして見せることができたというのも一因かもしれません。
にわかファンがえらそうに言ってすみません。

でも、こういう作品が世界中で大ヒットするというのは、いいことなんじゃないかなあと思ったりしました。

『3』の終わり方からも、このシリーズはいちおう完結のようですが、ペンギンズを主役にしたスピンオフ映画が2015年3月に公開されることが決まっているそうなので、今からとてもとても楽しみです。
TV版もキュートだけど、やっぱり映画版のペンギンズはステキですvvv
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by n_umigame | 2012-09-21 19:35 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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