『ボートの三人男』ジェローム・K・ジェローム著/丸谷才一訳(中公文庫)中央公論新社

気鬱にとりつかれた三人の紳士が犬をお供に、テムズ河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどり、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅が続く。数々のオマージュ作品を生み、いまだ世界で愛読されている英国ユーモア小説の古典。
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改版。
コニー・ウィリスの『犬は勘定に入れません』がこの作品のオマージュということで、それはやはり原典に敬意を表して一塁から回るのが筋であろうと思いまして読みました。

通勤のお供にちょこちょこ読んでいたのですが、これ、電車の中で読むのはまずいです。
読み始めるとにやにや笑った顔がはりついて元に戻らないので、沿線の不審者認定確実です。

あらすじにあるように、3人の紳士と犬一匹がテムズ河をボートで旅するお話なのですが、特段血湧き肉躍るような冒険は起きません。

主に話者「J」の視線から語られるのですが、現在進行形の話だけでなく、聞いた話だがとか過去こういうことがあったというようなエピソードが挿入され、これがまた大笑いなのです。
基本の登場人物は3人+一匹ですが、終始ツッコミ不在のボケっぱなし。
大技のボケではなく、淡々とボケが続きます。
読みながら「なんでやねん」「なんでやねん」「なんでやねん」と心の中で言いつつ、ゲラゲラ笑いながら読む、というのが、本書の正しい読書スタイルと言えましょう。知らんけど。

一見論理的なんだけれども、どんどんあらぬ方向へ論理展開していく様がおかしくって仕方なかったです。

ユーモア小説というくくりになっていますが、著者のジェローム・K・ジェロームは当初ユーモア小説のつもりで書いたのではなく、テムズ河流域の地理や歴史を描写するつもりだったとか。
もちろんそれも描かれていますが、ユーモアが炸裂していてその辺りの印象が残ったかと問われると、ちょっと二の次になりがちでした。
もちろんヘンリー8世のところとか印象に残ったけれども、笑った記憶がやはり先に来てしまいます。

しかし、解説によると、犬と湯沸かしとのエピソードは実話だというのですから大笑いですよね。

井上ひさし氏による解説も秀逸ですので、ぜひ最後までじっくりお楽しみください。
解説にもあるように、ゆっくり時間があるときに、自分の好きな飲み物を楽しみながらというのがオススメです。
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by n_umigame | 2012-10-01 17:16 | | Trackback | Comments(0)

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