*さいはての西*

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『マダガスカル』(2005)コメンタリー感想めも

本腰入れてペンギンズ語りに行きますよー。長いですよー。
再度、にせみ(仮)さんバカなの知ってるからという方だけお入りください。

…なのですが、『マダガスカル』(1作目)のペンギンズの登場シーンについては、ペンギンズがボケとツッコミを自分たちで入れてくれた『ペンギンズの自慢話(Penguins Chat)』というBlu-rayのおまけがあり、そちらの感想であらかた語ったので、監督コメンタリーの感想が主になります。

1作目のコメンタリーは、エリック・ダーネル&トム・マクグラス両監督によるものです。

映画やドラマ制作関係者の中には「コメンタリーは面倒臭い」と思う人も多いようで、「DVDになってからだよコメンタリーなんて仕事ができたのは」とぼやいているコメンタリーも見たことがありますが(笑)、このコメンタリーは自分たちが一生懸命作ったものを男の子二人がきゃあきゃあ言ってる感じで、とても楽しい雰囲気に終始するコメンタリーでした。最初は「作品を語るって難しいんだけど、まあやってみるよ」とか言ってますが、なんのなんの。
あ、「男の子」というのはもちろんレトリックでございますよ?(笑)
ペンギンズの原案を出したのも両監督のようで、ペンギンズに対する思い入れを感じました。

作った人たちが楽しそうなコメンタリーっていいですよね。『SHERLOCK』のときも思いましたけど、時間や予算の制限のある中、大勢の人たちをまとめて一つの作品に仕上げるって、きっとたいへんなご苦労もあるだろうと思うのですが、見ている視聴者には「楽しそうだ」と思わせるってすごいと思います。

ネタバレ満載ですのでご注意ください。









以下、箇条書きで。

・オープニング、『野生のエルザ』のテーマ曲"Born Free"に乗って繰り広げられるマーティの妄想シーン(笑)。
「スローモーションのシーンは最初からスローモーションで作る」んだそうです。
マーティが断崖を飛び越えるシーンでペンギンの群れが両サイドに飛びますが、このペンギン全員ちょっと隊長に似てませんか?(笑)

・物語が始まるのはNYの秋。背景がとても美しいですね。
・アレックスは「スターという地位に誰よりもこだわっている」キャラクター。
・チンパンジーのメイソンとフィル登場。メイソンの声は『シュレック2』の監督を手がけたコンラッド・ヴァーノン。
「メイソン」の名前の由来は俳優のジェームズ・メイソンなんだそうです。メイソンはイギリスかぶれのお猿さんということになっているのですが、そこから?(笑)
アレックスにチンプスのにおいがヤバいみたいな話をされて、「失敬な!」と紅茶を吹くシーンは英語では"I say!"と言っていて、そういえばこの表現はあまりアメリカの映画やドラマでは聞かないなー、よく『名探偵ポワロ』でヘイスティングス大尉が使ってたと思ったり。楽しいv
このティーカップ&ソーサーのシーンは最初はマティーニか何かだったのが、やっぱりティーカップに変えたそうです。いかにもイギリスかぶれっぽくて良くなったと(笑)。

・ペンギンズ登場。エリック・ダーネル監督「本作のベスト・アクターが出るぞ(笑)」
・声優さんが決まるまでは制作者、監督さんたちが声を当ててやってみるんだそうです。
それで、ペンギンズの隊長をトム・マクグラス監督が担当していたのが、うまく当てはまって好評だったので、そのままマクグラス監督が隊長をやることになったのだとか。
・トム・マクグラス監督の隊長は、本当にいいと思います。いちいちキザったらしいんだけどそこが良くて(笑)、何とも言えない色気があります。映画版とTV版でちょっと雰囲気変えてらっしゃいますね。
しかしコンラッド・ヴァーノン監督といい、皆さん多芸でいらっしゃいます。設定画集を見ていたらマクグラス監督、ストーリー・ボードも描いてらっしゃるし、たいへんだったんじゃないかと。

・吹き替えの話になりますが、日本ではタレントさんや俳優さんがされていて、プロの声優さんがほとんど出ないのです。ですが、そんなに違和感がないというか、日本語の脚本が秀逸だということもあって、こちらはこちらでいい。コメディで、しかも子どもが見ること前提の作品なので、英語のシャレとか、そのまま訳せない部分などがたいへんだったんじゃないかと思います。
なのですが、歌ったり、大きな声を出すシーンでは声優さんとは勝負にならない印象でした。声量や声の伸びが、やはりプロの声優さんとは比べものにならないです。

・その点は、アメリカの俳優さんたちは舞台経験者も多くて、歌うのはむしろ得意で、声量もある方ばっかりです。ので、役の声でふつうに歌ってました。
トム・マクグラス監督もTV版ペンギンズでミュージカルのエピソードがあるのですが、隊長の声でふつうに歌ってました。ほんとに多芸…。

閑話休題。

・「彼らは世間知らずのニューヨーカー。この前提がすべてなんだ」
「『となりのサインフェルド』のピーター・メルマンにNYについての助言をもらった」
とのことで、細かいところに自分たちで受けてらっしゃいました(笑)。アレックスの「またニックスが負けた!」とか。

・アレックスたちが貨物船に乗せられるシーン。
第一稿では(動物愛護の)活動家たちに薬を打たれて運び出される、という案だったが、一人が脱走して仲間が追いかけるというふうに変更した。その方が説得力がある。
この脱走も、マーティがペンギンズに「外の世界がある」と聞いて「マーティの中で何かが変わる」というふうにする前は、あの壁画だけで行くつもりだったそうです。

・ここで初めて気づいたのですが、『マダガスカル』の主人公ってマーティではなくて、アレックスなんですね。(確かにエンディング・クレジットでもアレックスが一番でした。)
主人公が自発的に冒険に出かけたわけではなくて、友達の巻き添えで冒険するはめになるお話なんです。
ファンタジーでは主人公が自発的に冒険に出るタイプの物語と、いわゆる「巻き込まれ型」タイプの物語がありますが、だんぜん「巻き込まれ型」の方がおもしろいです。『ホビットの冒険』とか。

・グロリアの声は、ジェイダ・ピンケット=スミス。ウィル・スミスの奥さまです。とても小柄でスリムな人だそうで、最初カバのグロリアの声優としてはどうかなと言っていたんだけど、彼女の声には「威厳があって、オスをしたがわせる声」なんだそうです(笑)。

・チンプスもいっしょに脱走させたかったから、「トム・ウルフの講演会に行く」という目的で脱走させたんだ。とのこと。吹き替えでは確か「クリントン大統領に会いに行く」とか言ってました。トム・ウルフって作家のですよね?確かにちょっと日本ではマイナーかもしれない。わたしも著作を読んだことありません。すまん。

・「メルマンは靴代わりにティッシュの箱を履いてるんだ」うお、ほんとだ(笑)。最初何履いてるのかわかりませんでしたよ。
・グランド・セントラル駅地下ホームでドラムを叩いている盲目らしき男性は、『ペンギン大作戦(Christmas Caper)』にもちらっと再登場してましたね。クリスマスグッズのワゴン販売で、Nanaおばあちゃんに新人を売っちゃう人ですよね(笑)。

・新聞に隠れてベンチに座っていたペンギンズ。「チクられたぞ、みんな」と言って一斉に手を上げるシーンがかわいい。この期に及んでまだ「キュートにかわいくだぞ、キュートにかわいく」と言ってる隊長も(笑)。徒党を組んで脱走する時点でキュートでもかわいくもありません、隊長。
ペンギンがかわいいのは、というか、人間にかわいいと思わせるのは動物の作戦というのはとてもよくわかる気がします(笑)。
ペンギンズは結局、どうやってグランド・セントラル駅まで来たんでしょうね。それも見たかったなあ。TV版を見てると、そんなのお茶の子さいさいって感じですが(笑)。あと、南極大陸に行くのになぜグランド・セントラル駅に来ちゃったんでしょうか。

・「(CGで)群衆を描くのはとてつもなく難しい。呼吸もするし、みんな微妙に動くから」
ディティールを作り込まないとリアリティが生まれないというのはCGであるがゆえ、という面もあるのでしょうね。

・「よく聞かれるのは、俳優に似せてキャラクターを描くのかということ。大半はキャスティング前にキャラクターをデザインしている」ただ、俳優さんたちの演技から、アニメーターがアイデアやインスピレーションをもらうことも多くて、後で微調整をする。だから結果的に俳優にそっくりになることもあるんだ。とのことです。
キャラクターは動物なんですが、表情がとても繊細で人間くさいのはそういうことなんですね。また俳優さんたちが「とても仕事ができる人ばかり」で、どんどんアドリブ入れちゃって、おもしろいんだけど時間の関係で泣く泣くカットしたシーンもたくさんあるんだそうです。
それ、全部見たいです、監督!

・ペンギンズのシー・ジャックシーン。
実はここがペンギンズの唯一の見せ場だったんだそうです。試写で大好評だったので、出番を増やして見せ場を作ってあげたんだとか。
隊長の「アフリカ? 断固、阻止だ!」の後から、床をころころ転がってブリッジに上がるシーンは、初めて見たときわたくしも大爆笑しました。もう、かわいいんだかかっこいいんだか。

・ペンギンズが船の航路を急激に変えたせいで、船が大きく傾いて積み荷…アレックスたち4人が海に落ちてしまうシーン。
ここはトム・マクグラス監督の親戚の方の実体験が元になっているそうです。海軍の演習中に船の甲板から落ち、海に15mくらい沈んで、海面に出たら船は遠くに行ってしまっていたとか。話を聞けたということは生還されたのでしょうが、怖かったでしょうね。

・夜の砂浜に打ち上げられるアレックス。おびえながらも仲間の心配を。この後の波に大げさに驚いて飛び上がるシーンは「猫は水を嫌うから」だそうです(笑)。

・キング・ジュリアン登場。
そして『マダガスカル』の第2のテーマ曲とも言える"I like to move it"。1980年代の曲なんだそうです。へー。キング・ジュリアンの声を当てているサシャ・バロン・コーエンは歌えるかどうか持って帰って、最後はダンスまで披露してくれたんだとか。
ジュリアンのしゃべり方も、インドやフランス訛りなどたくさんのバリエーションでやってみせてくれた結果、あの独特のしゃべり方になったそうです。「どこの訛りか知らないけど(笑)」。
「この配役は神業だ」とのことで、1行しかないセリフを10分しゃべり続けたときは笑いすぎて涙が出たそうです。芸達者な方のようです。
・モート登場。
「日本で人気があるらしいよ」マジで?(笑)いや、かわいいけどさ。
映画版はあのふわっふわのしっぽがたまらんですよね。
モートは当初、「サルの中で一番キュートだけど実は37歳だったら最高だ」と言っていたそうです。「「年相応にふるまえ」とか言われるんだよね。(笑)」
それは日本での人気をどう変えたか見たかったです。
・モーリスも登場。
マダガスカル島にしかいないお猿のアイアイ。アイアイってこんなに目、大きかったっけ。
いやそれを言い出すとあれですよね。
モーリスは「幼稚な王を扱える組織のブレーン」という役どころなんだそうです。モーリスは本当によくやってますよね…。

・絶望して砂浜に自分のお墓を作るメルマン。あのお墓の前の砂浜に書かれた遺言は、実際にNY州公認のものだそうで、「法的に有効なんだ(笑)」だそうです。ちゃんと美術担当の方が調べたんですって。芸が細かい。
・砂浜に自由の女神を模した大きなトーチを作るシーンは『猿の惑星』を参考にストーリーボードを描いたんだとか。ほんとだ、似てる。

・一方、南極大陸に向かったペンギンズ。
「ここ、最悪っすね(Well, this sucks!)」のシーン、このセリフは何度も何度もタイミングを計ったそうです。笑いを取るのはタイミング大事ですよね。またエンドロールの最後に入れる予定だったのが、「南極大陸でペンギンズを終わらせるわけにはいかないよ」と入れる場面を変えて、ペンギンズも物語によりコミットできるようにしたのだとか。
両監督のペンギンズに対する思い入れが感じられるコメンタリーです。

・マーティが動物園で妄想していたのとそっくりの風景が広がって、アレックスの肉食動物の本能が目覚めるシーン。
この作品のテーマである、いわゆる「自分探し」。
本当の自分でいられる場所、ここではないどこかをずっと探していたマーティでしたが、「そんなものはどこにもない。自分の心の中にしか見つけられない。どこにいようと場所は問題じゃないんだ」
「それはペンギンズも同じなんだ」
ですよね。
あの口の減らないペンギンズが「最悪っすね」しか言えない状況でしたから。

・「アレックスは友達を傷つけないために自分で檻を作って入るんだ」せっかく檻の中から出てきたのにね。
このアレックスが作った檻はツィンギと呼ばれる岩山で、マダガスカル島でしか見られない奇岩なんだそうです。

・被捕食者が次々食われるシーン。
なぜかアヒルのヒヨコちゃんが。TV版のペンギンズに出てくるヒヨコちゃんとデザイン一緒ですね。かわいい。
マーティに「ママ?」と聞くシーンがあったけどカットされたらしい。
ここは子ども向けの映画のわりにブラックですよねー(笑)。
ルイ・アームストロングの"What a Wonderful World"がたいへん切ない相乗効果を上げる名シーンだと思います。

・ペンギンズがマダガスカル島へやってきました。
体が軽いペンギンズ、器用に錨をつたってくるくる回転しながら華麗に着地。もうかわいいんだかかっこいいんだか。(これしか感想出ません。)
グロリア「あんたたち…!人間はどうしたの?」
隊長「殺して肝臓を食った」
グロリア、メルマン固まる。←この間、最高ですよね。
「『殺して肝臓を食った』はトムが考えたセリフなんだ」「まさか採用されるとは(笑)。人を殺して食っただぞ?」「ジョークだからセーフさ(笑)」
監督……(笑)。


・その後の隊長の「安心しろ、人間たちは無事だ」というセリフは、英語では「中国行きのスロウボートに乗せた」と言ってます(笑)。制作スタッフにハルキストがいるのかしら。

・フォッサ迎撃シーン。
新人の「召し上がれーいv」のシーン。「やっぱりホイップクリームを描くのはむずかしい」んだそうです。
・「フォッサはみんな手描きした」「手描き」の意味がよくわかっていないのですが、一からCGで起こすのではなくて手描きしたものを取り込むということでしょうか。
・主役4人が叫んでいるシーンは全員録音が別だったので音声編集がたいへんだったろうと思うよ、とのことです。

・ラストのパーティシーン。一つの椰子の実に人数分ストローつっこんでみんなで飲んでるペンギンズ。かわいいvvv『マダガスカル3』でも同じことやってましたね。
ペンギンズはなんだかんだ言ってほんとに仲いいよなー。家族でももうやらないよ(笑)。

・エンディング・クレジットもコメンタリーが続きます。
「アニメ映画のエンディングはたいへんだ。本当に大勢の人が関わってる。」
あのキャラクターが全員踊るのが最高だなーと思っていたのですが、ここは監督が「動物が踊ってるの見たい人ー♪」と言ってやってもらったそうです。
監督……(笑)。
みんなダンスがうまくて楽しいですよね。ペンギンズのダンスのところだけ何回も巻き戻して見たよ。かわいいから。これ一本で何か作ってほしいくらいです。

・ドリームワークスのスタジオは2つあって飛行機で1時間の距離にあるそうで、その2カ所にいるスタッフと打ち合わせしながら制作したんだそうです。たいへん。

・スタッフについて。
「一人一人が素晴らしい芸術家であり、トムや僕の指示がなくても仕事ができる人たちだ。」
「僕ら監督の仕事は、皆が同じ物語を話せるように、皆に同じ方向を向かせるだけ。」
さらっとおっしゃいますけど、それある意味一番たいへんですよ。
「僕たちはその場面のストーリーの番人だ。作業が趣旨から離れていないかどうか」
「最終的に群衆の人の数や、映像の美しさはさほど重要ではない。
人の心に訴えるようないい物語や、愛されるキャラクターがなければ意味がない。」
そうですよね。

「ソフトは社内で作られている。既成のソフトウェアに頼っていたら不可能なままだ。」
そうなんだ。
「ただ座って待っているようなメンバーは要らない。大事なのは流れを止めずに大勢で助け合うことだ。」
だからさらっとおっしゃいますけど、それたいへんなことですって。

・音楽について。
ハンス・ジマーの音楽がなければここまで楽しかったかどうか。音楽の力は偉大です。
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by n_umigame | 2012-10-16 21:31 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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