『なんらかの事情』岸本佐知子著(筑摩書房)

「ああもう駄目だ今度こそ本当にやばい、というとき、いつも頭の片隅で思うことがある」第23回講談社エッセイ賞受賞『ねにもつタイプ』より6年。待望の最新エッセイ集。
(出版社HP)



待望の岸本佐知子さんのエッセイ集の新刊が出ました!
薄くて(泣)あっというまに読んでしまったのがもうギリギリギリ(歯ぎしり)…。

岸本節に慣れてきたせいか、前2作ほどのインパクトはなかったのですが、相変わらず電車の中で読むと不審者決定本でございました。

岸本さんのエッセイは、日常生活やご自身の思い出を語った(あるいは騙った(笑))ものと、SFみたいな展開になるものとに大別されると思うのですが、とある日常の一角を削り取って始まったはずなのに気づけばSF的展開になって最後は投げっぱなしで終わる、というパターンのものもあって、これがけっこう好きです。
妄想系エッセイが楽しい女性作家さんというと三浦しをんさんがいらっしゃいますが、三浦しをんさんのエッセイは、妄想なんだけど、ちゃんと地上に帰ってくるだろうという安心感があります。
岸本さんのエッセイは、異次元だか異空間だか宇宙だかに行ってしまって、帰って来ない感じ。オチるかオチないかとも言い換えられるかもしれませんが、うーん、やっぱり単なる「起承転結」の「結」がないというのとも違う気がしますね。
人の妄想や想像に果てなんかありません(笑)。だから自然にやると投げっぱなしになってしまうはずなんですよね。
三浦しをんさんはやっぱり作家さんだなあと思います。きちんと”物語”になってる。

岸本さんのエッセイはどれもまだ未読、という方は実際にぜひお読みください。
今回のお気に入りは「やぼう」「おめでとう、元気で」「やばさの基準」あたりです。

Twitterで翻訳ミステリー大賞シンジケートをフォローさせていただいていて、そこで掲載さている翻訳家の方の文章をおかげさまで最近よく読みます。こう申し上げるのも不遜かと思いますが、翻訳家の方って改めて文章がうまい方が多いんだなあと。
多層的で頭が柔軟そうで、興味深いという意味でも笑えるという側面でも、本当におもしろい文章を書ける方が多いんだなあと。
人を笑わせるって難しいと思いますから、笑いが取れる人ってそれだけで尊敬してしまいます。(のは自分が関西人だからってのもあるかもですが(笑)。)
異なる言語の間を行き来するというのは、異なる文化の間を行き来するということなので、自然に脳がそうなっていくのかもしれませんね。

翻訳家の方のエッセイを集めたアンソロジーとか出たら、本屋さんにお財布持って走って行きます。
出ないかなあ。
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Commented by カクテキ at 2012-11-14 19:44 x
あ、出てましたか。
ノーマークでした。
いつも情報ありがとうございます。
前二冊のインパクトが強いので、どうしたって期待しちゃいますよね。
うふふ、やっぱり楽しみです♪
Commented by n_umigame at 2012-11-14 20:14
>カクテキさま
出てましたー♪
いえいえ、わたくしの方こそいつもカクテキさんにはおいしい情報をいただいている身ですから(^^
今からお読みになるんですよね。ゆーーーっくりお楽しみを。
前2冊に比べると物理的なボリュームはかなり軽い印象です。単行本だからですかね…。
by n_umigame | 2012-11-14 18:28 | | Trackback | Comments(2)

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