*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

『あの人の声はなぜ魅力的なのか : 惹かれる声と声紋の科学』鈴木松美著(知りたい!サイエンス)技術評論社

普段,耳にする人の声には,うっとりするいい声から,聞きづらい声もある。では,この違いはなにが違うのだろうか。また私たちは聞き覚えのある声であれば,複数の人が話していても,だれとだれの声かがすぐ分かります。私たちの聴覚に訴えてくる音とはいったい何なのだろうか。本書では,声や音の秘密を探るために科学的なアプローチをし,エピソードを交えながら,普段何気なく耳にしている音声の正体をわかりやすく解説していきます。科学警察研究所で,数多くの事件や事故の真相解明を手掛けてきた筆者ならではノウハウを公開します。身近に役立つ発声術も公開します。
(出版社HP)


全国一千万声フェチの皆様におかれましてはごきげんうるわしく。
いい声。
それはもう聞いているだけでごろにゃ~んとなり、もう何もかもどうでもよくなるというおそろしい効力を発揮してくれます。
しかし、なんだって特定の人の声にごろにゃ~んとなるのか、それについて書かれた本というのは意外になかったように思います。

この本は主に人間の声を「音声」として捉え、科学的にさまざまな角度から分析・解説したものです。
と言っても難しい内容ではなく、ざっとした雑学になっていますのであっという間に読めてしまいます。
著者は警察庁科学警察研究所で長年おつとめになったあと、かのバウリンガルの開発にも関わった方。

自分の興味のあった部分、「いい声、惹かれる声とは何なのか」という部分ですが、まず、日本人は「低く響く声」を良い声と感じる傾向にあるそうです。
「ファントの法則」と言うそうですが、大きい太鼓ほど低い音が出るように、人間も背が高く体が大きいと、声を振動させる声帯などの発声器官も大きいため低い声が出る。欧米の人に比べて日本人の声が高いのは、日本人の方が身長が低いからで、ファントの法則にもかなっているということなのだそうです。
なるほどなあ。
著者の方は「ないものに憧れるという部分もある」と書いてらっしゃいますが、欧米では逆に高く澄んだ声をいい声と感じる人が多いのだとか。
(そう言えば母がオペラファンなのですが、わたくしが低い声が好きだと言うと、オペラではテノールが善玉&二枚目役、バスは悪玉&イケメンの反対役なことが多いと申しておりました。)

ただ、ある程度の共通項、例えば爆発音や警報音を心地良いと感じる人は非常に少ないが、人がどんな声を心地良い、癒やされると感じるかは個人の好みや環境、体調などもあって、一概には言えないのだそうです。
確かにそれはあるかもしれませんね。
歯ぎしりのような音でも三三七拍子の節をつけて聞かせるとと不快に感じないというのが、たいへんおもしろいです。

それから、言語によって周波数が異なるというのも興味深いです。
日本語は母音との組み合わせで発音されるので喉から出す音でも事足りるのだけれども、英語やスウェーデン語などでは子音を発音するとき腹式呼吸で音を響かせるので、日本語より重低音になると。
例として『ブレード・ランナー』のときのハリソン・フォードの声の波形図があげられています。
これもなるほどですね。
英語で良い声の人の声を聞いていると本当に気持ちいいと感じるのは、そういうメカニズムだったんですねえ。…思い出しうっとり。

ほかにも、では魅力的な声で話すにはどうすればいいか、声と聴力の老化は25歳を境に始まるが、声の老化を遅らせるにはどうすれば良いか(これは声優さんや俳優さん、身近な人では接客業の人がいつまでも声が若々しいことに納得)、ハスキーボイスとだみ声の違いは何か、ストレスをやわらげる音楽とは? 等々、興味深い解説がもりだくさんです。
最終章は著者がこれまで携わってこられた犯罪捜査における音響科学について述べられています。

おまけとして、有料ですが、銃声(357マグナム、コルトオート45)や3億円犯人のモンタージュボイス、モナリザのモンタージュボイスなどを聞けるサイトの案内もついています。
興味のある方はぜひ。
[PR]
by n_umigame | 2012-11-26 20:21 | | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/17230661
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。