*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

『シュレック』シリーズ

引き続きDWA作品を見てみるランニング中。
やっとDWAの『シュレック』シリーズ4作品を全部見ました。
『シュレック』(2001)
『シュレック2』(2004)
『シュレック3』(2007)
『シュレック フォーエバー』(2010)
の感想です。

ネタバレありますのでご注意ください。もぐりません。

1→2→3→フォーエバーと続けて見たせいか、これは4つで一つのお話と言ってもいいかもしれないと思いました。DWAの作品はまだ数えるほどしか見ていませんが、『マダガスカル』シリーズも3作で一つの物語と言って良い構成ですよね。それで、どちらもファンタジーの王道である「行きて帰りし物語」になっているんだなあと思いました。

最終話の『シュレックフォーエバー』のレビューを少しネットで見てみましたが、おおかた不評だったんですね。わたくしは「おもしろい」と言うには語弊があると思いますが、深さがあると思いましたが。ただやっぱり子ども向けじゃないなあ。
『1』はDWAのCEOであるジェフリー・カッツェンバーグ氏の私怨から産まれたような鬼子だったという背景があると後で知ったわけですが、やはりこの作品だけがちょっと異色。でもおかげでDWAでしか味わえない作品群ができてきたわけなので、ウェルカム、鬼子。
『2』から『フォーエバー』は『シュレック』のシリーズキャラクターが出てるけど、いわゆるミドルエイジ・クライシスのお話なんですね。人気が出たから続編ということにしたのだろうと思いますが、4作通しで見ると、別に『シュレック』のキャラクターでなくても作れたお話だったろうと思います。
学生の頃、英文学概論の先生が言っていたことを思い出したのですが「シンデレラは、結婚するまでがおとぎ話。結婚してからが小説。」
『シュレック2』からはいわばその「小説」の題材になる部分を子ども向けの皮をかぶった作品にした印象です。とはいえハッピーエンドになるので、大人向けの寓話と言うべきか。
だからアニメを見て大笑いしてすかっとしたい!というときに見る作品じゃない、という意味ではおもしろくないんじゃないかと。

『フォーエバー』では、「運命の人のキス」が呪いを解くはずが、キスしても効果がなかったというシーンがあります。
シュレックはフィオナが運命の女性だと知っているので何度もキスしようとトライしますが、シュレックを知らないフィオナの側からすれば、見ず知らずの男からキスされて呪いが解けるなんて、シュレックの思い込み、ファンタジーでしかない。
そんな都合のいい男の妄想、一方的に女に押しつけられてもねえ…という解釈が痛快でした。これもディズニーに対する痛烈な皮肉でしょうね。
でもシュレックは「フィオナが自分を愛してないからだ」と、呪いが解けない理由をすぐ理解します。
例え「運命の人」だろうが、パラレルワールドでは妻だろうが、自分の気持ちを一方的に相手に押しつけてるだけじゃ相手にやがて見捨てられる。これってふつうに恋愛映画ですよね、もう。


『ホビットの冒険』で、冒険を終えて戻ってきたビルボが台所でお湯を沸かすやかんの音がこんなに美しいと思ったことはなかった、と述懐するシーンがあります。
自分の中で「行きて帰りし物語」の”A面”は、このシーンが端的に物語ってくれています。思いがけない、望まぬ冒険を経て一回りも二回りも大きくなって帰ってくる。けれどいちばん素晴らしいのは、いつも自分が暮らしていた平凡な場所なのだと気づく、というパターン。
”B面”は、思いがけない、望まぬ冒険に出るはめになって故郷に帰りたいと思う。やがて帰ってきた自分は、あれほど恋い焦がれた「故郷」には納まらないほど大きくなりすぎたことに気づく。あるいは「故郷」は自分が思いこんでいたような美しい場所ではなかったことに気づく、というパターンです。

『シュレック』シリーズはA面パターンでした。
ですが、『2』は結婚したけど妻の父親とうまくいかない、『3』は父親になることに対する不安と抵抗、『フォーエバー』は倦怠期の夫婦。メッセージが、「これ、誰宛の手紙だ」というようなことになっていて、評価が厳しいのでしょうね。
中年の男性に「おまえは今充分すぎるほど幸せだ。だから家族を大事にしろよ」と言うような子ども向けのアニメというのは、DWAにしか作れないと思います(今のところ)。
少なくともディズニーやピクサー(今はどっちも同じか)の守備範囲じゃないですよね。

どんなに恵まれていても、本人が幸せだと思わなければ幸せにはなれません。
『フォーエバー』冒頭のシュレックのように、無い物ねだりや「あれもない、これもない」という減点法で回りの人やものを見ている限り、いくら恵まれても幸せを感じることはできないよ、と。
子ども向けにメッセージがあるとすれば、自分に「配られたカード」で幸せになる方法があるのだということかもしれません。

ちなみに『マダガスカル』シリーズは”B面”です。
アレックスたち主役4人組はこのまんまですが、1作目で南極を目指したペンギンズも、「ここではないどこか」を求めて冒険に出たけれど、そこは楽園ではなかったと気づきます。ハッピーエンドなんだけどどこかほろ苦さを残す『マダガスカル』シリーズより、『シュレック』シリーズの方がまっすぐですね。
あと、今のところ見たDWA作品の中では『マダガスカル』シリーズがいちばんクレイジー(笑)。かわいい動物の皮をかぶってるのでだまされそうになりますが、『シュレック』シリーズの方が意外と「まとも」でした。
[PR]
by n_umigame | 2012-12-05 21:06 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/17363248
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。