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『孤高の警部ジョージ・ジェントリー』#13「歌声の行方」; Gently with Class


横転した車の助手席でエレン・マラムという女性の死体が発見される。車の所有者は地元の名士であるブラックストーン家であると判明。被害者のエレンは聡明で自由を愛し、ブラックストーン家の跡継ぎで、繊細なジェームズは彼女に魅了されていた。

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(画像ともAXNミステリー)


ネタバレありますが、もぐりませんのでご注意ください。

今回はイギリスと言えば避けて通れない階級(class)の問題でした。
このエピソードも第12話に引き続き1968年という設定ですが、時代は世界的に学生運動がさかんになった頃。作中も、ド・ゴール大統領の名前がちらっと出ていましたが、TVではお隣フランスでの「五月革命」の様子と思われるニュースが流れていて、夫人が毒づいていました。
今回、やけにバッカスが被疑者にからむなあ、と思いましたが、懲戒処分になったという個人的な因縁があったということもさりながら、若いバッカスの世代には世界的な学生運動、既存の体制に反対するという考え方に共感するところがあったのでしょう。そうでなければ、ちょっとやりすぎで、明らかに職分を超えています。
特に物的証拠をねつ造したのは同情の余地なしです。これがドラマを盛り上げる要素になっていればいいのですが、残念ながらちょっとすべってる印象です。

ジェントリーはそんなバッカスを叱りますが、自身も亡くなった奥さまのことを最近よく思い出す、と医師に相談していて、エピソードを通じていつもの静かな迫力があまり感じられない回でした。

物語の方も、旧支配者階級であった貴族も、うらやましがるようなものじゃないよ、人生ってのはどう生きてもたいへんなんだよ、という締めくくりだったのですが、ここまで引っ張ってきた割りにカタルシスが感じられないオチでした。

最後は一方的に伯爵夫人だけが悪いんだというようなまとめでしたが、夫婦ってのは相互責任に基づくフィフティ・フィフティの契約なんじゃないのかと思わざるをえません。
それを「あの幸せな数分はおまえにはわからないだろう」「息子を死なせたのはおまえだ」と手遅れになってから言われてもねえ。この夫婦、なんで結婚したのか今ひとつよくわからなかったですが、夫の方は亡妻に気持ちが残ったまま、夫人の方もそれが虚しいから愛人作ったり息子に依存したりしたんじゃないのと思う向きもありました。

ただ、厳しいことを言ってしまうと、虚しいとしたら自分の責任なんですよね。この伯爵にしても夫人にしても。エレンがそうしろと言ってくれたように、一歩踏み出せばよかった。
この空虚な人生、「息をしていない」人生から抜け出す方法はいくらでもあったろうと。
そんなことに気づいてやりなおせる人たちなら、話は始まる前に終わっているわけなのですが。

…と、人のことなら簡単に言えますが、やっぱり「一歩踏み出す」のはとてつもない勇気がいることです。もって他山の石としたいと思います。

前回よりは少し笑えました。バッカス部としては。
朝目が覚めたら見知らぬ女性がベッドに、とか、いきなりのバッカス・クオリティでしたね。
そのあと「みんなに黙って釣りに行ったに決まってるんだ、ジェントリーは(プンスカ)」のシーンも笑いました。
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by n_umigame | 2012-12-14 23:13 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by 縁側昼寝犬 at 2012-12-24 21:28 x
 バッカスはやはりバッカスでしたね。最近、成長してきたと思っていたのですが、朝に見知らぬおばさんが寝てたとは、いきなり大爆笑でした。
 被害者の女性の歌声は美しかったですね。田舎に置いとくにはもったいないような。
 60年代はいろんな価値観が交錯した時期でしたので、バッカスの感覚も分かるし、伯爵夫人の偉そうな態度も分かるし、その間でうろうろしているボンボンの伯爵も分かると。私としては「正解を求めてさすらった人がもがいた回」に見えました。
 しかしこんなに愛してもらえる奥様ってうらやましいっ。
Commented by n_umigame at 2012-12-25 20:42
>縁側昼寝犬さま
2回目からやっとバッカスも通常営業になった感じでした。
あの歌、すてきでしたね。

バッカスがはじけ気味だったせいか、ちょっとジェントリーさんが元気がないのが気になりました。
相変わらず愛妻家さんでしたね~。