*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

『刑事ヴァランダー』シーズン2 #1~3

第1話「殺人者の顔」
Faceless Killers

ある夜、老夫婦が自宅で何者かに襲われる事件が発生。夫は死亡するが、妻は、ヴァランダーが駆け付けた時はまだ生存していて、彼に何かを伝えようとして言葉を発するが、その後息を引き取ってしまう。「外国人」と聞こえたようだが、確信は持てなかった。

第2話「笑う男」
The Man Who Smiled

正当防衛とはいえ、容疑者を殺害したことで苦しむヴァランダーは、休暇を取り、海辺のゲストハウスで過ごしていた。そこに友人の弁護士ステンが訪ねてくる。ステンの父親グスタフは事故死と判断されていたが、腑に落ちない点があり、再調査を依頼される。

第3話「五番目の女」
The Fifth Woman

老衰が進み、日に日に衰えていくヴァランダーの父ポーヴェルは、自宅での死を望み、老人ホームから自宅へと戻ってくる。そんなある日、バードウォッチングが趣味のエリクソンという老人が、竹槍に生きたまま串刺しにされ、死んでいるのが発見される。


d0075857_13243287.jpg

(画像とも AXNミステリー)

ネタバレありますのでご注意ください。

邦訳が出版された順番とドラマのエピソードがランダムになっているので、原作から入ったわたくしはちょっと時系列が混乱ぎみで見ました。
…なので、一気に見た方がいいかなと、立て続けに見たのですが、胃の調子の悪いときにやるこっちゃなかったです(泣)。

ミステリーとして、と言うか物語としては、やはり原作の方が密度が濃くて説得力があります。原作を読んでからドラマを見るとどうしても薄味に感じてしまいますが、原作の核になる部分はきちんと伝わってきますし、役者さんたちがすばらしいです。
ただ、小説の方がテーマを描くのに有利だと思うのは、移民(外国人)に対する偏見や差別問題、発展途上国における臓器売買、ドメスティック・バイオレンスなど、そもそものテーマがたいへん重く、原作者のへニング・マンケルさんがアフリカでの諸問題にも取り組んでらっしゃるということもあって、ある程度の紙数をもって説明しなければ本質も見えてこないという側面があるせいでしょう。

第1話「殺人者の顔」では、娘の恋人が外国人だったことで、ヴァランダーが自分の中の偏見と向き合うお話でもあります。
あらゆる偏見がそうだと思いますが、それが偏見だという自覚がないのが問題。あるいはヴァランダーのように、偏見なんてもの自体が自分にはないと思い込むことが問題だ、ということを考えさせてくれます。
ヴァランダーは常に公平であろうと努力はする人なのですが、それが周囲になかなかうまく伝わりません。何も言わないで周囲にわかってもらおうとするところがあるせいなのですが、ここだけは直らない。
読者(視聴者)はヴァランダーの心の動きや考え方を字で(画面で)ずっと追えるので、周囲の人がヴァランダーに冷たすぎやしないかと思うのですが、きちんと言葉で表現する/伝えるということを重んじる文化の社会ではなおさら、ヴァランダーみたいな人は生きづらいだろうなということがわかります。

邦訳最新作『ファイアーウォール』を読んでからシーズン2を見ると、マーティンソンとホルゲソン署長のヴァランダーの対する態度が納得できますね。
マーティンソンを演じるトム・ヒドルストンは、『マイティ・ソー』や『アベンジャーズ』のロキを見ていても思ったのですが、“立場上、立てないといけない相手(上司、兄)がいるんだけど自分の方がよっぽどマシだと思っていて、でもそうでもないってことがわかってない”という役が似合いますねえ(笑)。
ルパート・グレイヴスはミステリードラマにゲスト出演されることが多いみたいですが、なぜにほぼろくでなしの役ばっかりなので…?(笑)いやそれも似合ってて、あれなんですが。

父親と和解できないまま終わってしまったヴァランダーですが、これは原作を読んでも、なぜあんなにお父さんとソリが合わないのか理解できませんでした。
どうしても理由をつけるとすれば、愛しているのにそれを伝えてこなかったヴァランダーが悪いということになるのですが、そう言い切ってしまうのもかわいそすぎるように思いますし。

2013年1月現在、原作の邦訳未訳作品は"Pyramiden" (1999)と" Den orolige mannen" (2009)の残り2作となっていますが、ケネス・ブラナー主演版で日本未放送は『リガの犬』たちを入れた3作ということになりますか。
原作を読む前にドラマが先に来てしまいそうです…。
[PR]
by n_umigame | 2013-01-31 23:37 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/17732751
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。