*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)


小説家を目指すギルは、婚約者のアイネズと彼女の両親と共に芸術の都パリを訪れる。そして、ある夜、憧れの作家たちのことを想い散歩していると目の前に車が停まる。ギルはその車に乗り、気が付くといつの間にか1920年代にタイムスリップしていた。
(ぴあ@映画生活)



ウッディ・アレンの映画を初めてちゃんと見たような人の感想だと思って流していただければ。
映画館に見に行きたかったのですが、見はぐった作品です(こんなんばっかし…)。

ネタバレ注意。結末にふれています。






物語はおおかた読めてしまいますが、とてもすてきなものを見せてもらったなあという気持ちになれる映画でした。尺もちょうどいいです。

まずパリの街の見せ方がすてきです。
パリという街は、撮影する人の「目」がダイレクトに反映してしまう街なんでしょう。暗くて陰鬱で影がある作品も多い中、この作品のパリは明るく色彩が美しくて、昼も夜もすてき、という撮った人の「パリに恋する目」が画面から伝わってくるようです。
そういう意味では「夢のパリ」なんでしょうね。

ですがこのタイムスリップ・ファンタジーに、その明るさがとてもよく似合います。
0時の鐘が鳴り終わるとそこは異次元、という仕掛けがいかにもでいいですよね。「これは魔法です」という宣言。つまりは、いつかは必ず醒めるのだという宣言。
こういうの大好きです。
帰ってくるときはどうやって帰ってきているのかを見せないところもいいなあ(笑)。
ステキな魔法にかかるのが、さえない作家志望の男というのもいいですよ。

1920年代(辺り)という時代背景が好きな人には、それだけでもうわくわくするような映画でした。セットや衣装や時代の雰囲気等々。
次々登場する錚々たる作家や画家たちを演じる俳優さんを見ているだけで、楽しくて仕方ありませんでした。
出オチ度がすごかったのは、やはりダリとマン・レイです。マン・レイ役の俳優さんは、あの下から見上げる角度がそっくりだとわかっててあの角度を崩さないんだろうと思います(笑)。フィッツジェラルド役はトム・ヒドルストンだったんですね。あんまり酒飲みに見えなかったなー。あとヘミングウェイ役の俳優さんがカッコいいですvvvこちらもあんまりヘミングウェイっぽく見えませんでしたが。
いずれも非常に個性の強い人物ですから、「らしい」ことを少し言わせて終わり、という感じだったのが残念でしたが、彼らが個性を発揮しすぎると映画として収拾つかなくなるのでちょうど良いあんばいだったのかも。

主人公ギルの文学オタクぶりがこれまたよくて(笑)。
ジョイスが食事をしたカフェでランチをする方がベルサイユ宮殿を見に行くより大事だ、と婚約者に言って呆れられるシーンがありますが、わかる、わかるぞギル、その気持ち痛いほど。
世間的な観光名所より、自分が愛する人(作家、芸術家、歴史上の人物、二次元の人物(笑)etc, etc...)がいた場所の方が何より自分にとっては価値がある。もうこの価値観のブレっぷりは、オタクの宿命ですよね(笑)。自分でもどうしようもありません。

心に残ったのは「傑作だけど忘れてしまう そんな映画ばかり」というギルのセリフ。ギルはハリウッドでは売れっ子脚本家なので自嘲気味にそう言ったのですが、そうかもしれないなあと思いました。
逆に言うと、「傑作ではないかもしれない、でも忘れられない映画」って大事ってことですよね。そのとおりだと思います。

それから最後のさらっとギルの口から語られますが、過去へ過去へとあこがれがちな人間に対する戒めです。
人間の歴史は、医療や人権問題など、過去より現在の方が(問題は山積してはいても)少しずつ改善してきていることも多い。それを当たり前のことと享受しておきながら、昔は良かったと「ここではないどこか」ばかりを過去に求めるのは危険だということ。

ささいなことでしか気が合わなかった婚約者と別れ、雨のパリがいちばんすてきだと言ってくれる人と出会えたところでお話はおしまい。心憎いラストシーンです。

最後に一つ気になったのは、あの探偵さんです。仕事してただけなのにエラい目に。ちゃんと帰れたのでしょうか(笑)。
[PR]
by n_umigame | 2013-03-10 18:43 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fwest.exblog.jp/tb/18059303
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。