『遮断地区』ミネット・ウォルターズ著/ 成川裕子訳(創元推理文庫)東京創元社


バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて……。現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。解説=川出正樹
(出版社HP)



ネタバレとかそういう意味ではなく、感想を書きにくい小説でした。

ネットでもあまり感想を上げている方をおみかけしませんね…。
個人的におもしろくなかった作品の感想を書くのは避けているのですが、あまりにも感想を見かけないので、ご参考になれば。

そんなわけで褒めてません。それでもいい方のみどうぞ。







これ、ミステリーなんですかねえ。
そこからかって? 
そこからですよ。
いや、じゃあミステリーって何だよと聞かれると困るのですが。

ジェットコースター・ノヴェルというのか、小説で読むより映像化に向いている作品ではないかというのが一読後の感想です。
ミネット・ウォルターズというと、こういうイメージではなかった記憶があったので、そういう意味では新鮮に読めました。
東京創元社がミステリの枠で出版する作品と言うよりは、文春文庫や新潮文庫のミステリー枠で出ている作品のような印象です。

イギリスの低所得者層に焦点を当てた作品ですが、原著が刊行されたのは2001年とか。今から12年も前なんですね。
社会問題をエンタテインメントに盛り込んでくる作家というと、スウェーデンのへニング・マンケルを思い出しますが、マンケルさんの場合はご自身もアフリカでの諸問題に実際に取り組んでらっしゃるためか、作品にも切実な思いや迫力を感じます。
当作品でも「たいへんそうだ」とは思うのですが、どこか他人事とというのか、つきはなしたような冷たさを感じます。
エンタテインメントで小説なんだから「観察者の目で書く」という点では客観的であってかまわないのですが、客観性を保つということと、読者に何らかの真実を情熱をもって伝えるということは別物だと思います。
すごく意地悪な言い方をしてしまうと「わたしはこんなのも書けるのよ、どう?」というしたり顔が見えるようで、読後あまり何も残りませんでした。
登場人物にだれ一人感情移入できなかったというのも大きいかもしれません。

もうひとつひっかかったのは翻訳です。
登場人物のセリフなどに、代名詞が誰を受けているのかわかりにくいなど、ところどころ一度読んだだけでは意味が取れないところがあって、「こういうことかな」という推測で読み進め、しばらくして「やっぱりそういう意味で良かったのか」という脳内補完が必要でした。
プラス、汚い言葉や若者言葉(笑)が板に付いていない感じで、読んでいる方がこそばゆかったです(笑)。
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Commented by 沙樹 at 2013-03-26 23:18 x
こんにちは

買おうか迷っていましたが、買うの止めます(笑)
個人的には、ミネット・ウォルターズの作品は、当たりハズレが大きいので、紹介文でハズレかなと思い、購入していませんでした。
帯の推薦文は、そそられたのですが、買わないこと決定しました。

訳に関しては、単純に下手なのか、前後のつながり考えずに訳す方が増えたのか、そういう訳し方が普通になったのかわかりませんが、最近は、首をかしげるようなミステリー(&サスペンス)が、増えたような気がします。
特に、人称が略されたり、過去と現在を行き来するような小説に、多いかと。
なんとなく、ストーリーに没頭できなくて、本を純粋に楽しめない・・・と感じています。

海外ミステリーの翻訳本は、氷河期らしいので、早く氷河期終わることを願っているこの頃です。

長くなりました。
ミステリーの感想、次回も楽しみにしています。m(__)m
Commented by n_umigame at 2013-03-29 20:13
>沙樹さま
そこまで信頼されるのはありがたいことですが、まあそうおっしゃらず、ご自分の勘の方を信じてください^^ 本を選ぶということはだいたいそういうことだと思います。

失敗しないと勘も養えませんし、自分にとって良い本が選べないというか、読む本読む本当たりということはまずありませんから。

翻訳ミステリーは氷河期なのではなくて、おそらく日本で大勢に受けそうだというところばかり狙ってくるから、はずれたら全滅ということなのではないかと思います。
出版社も商売ですから気持ちはわかるのですが、むずかしいですね。
by n_umigame | 2013-03-26 18:48 | | Trackback | Comments(2)

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