*さいはての西*

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『21世紀萌え映画読本』大木えりか著(新書館)

『ロード・オブ・ザ・リング』から『007』シリーズ最新作まで。
腐女子視点で2000年代の萌え映画を紐解けばーー。
ホモ・ソーシャルって? ブロマンスって?
気づけば、ハリウッドではそんな映画が大人気。
だけど、そもそもどうして女子は男同士の関係に萌えるのか。
そんなディープな領域にも踏み込んだ、オトナ女子におくる、“萌え"映画ガイド!!

【取り上げている作品】
ロード・オブ・ザ・リング、スター・トレック、シャーロック・ホームズ、SHERLOCK/シャーロック、
シングルマン、英国王のスピーチ、50/50 フィフティ・フィフティ、スターウォーズ、
ブロークバック・マウンテン、ダークナイト、イースタン・プロミス、X-MEN ファースト・ジェネレーション、
裏切りのサーカス、第九軍団のワシ、007 スカイフォール など
(Amazon.jp)



…と内容紹介にはありまして、もっとミーハーな内容なのかと思って覚悟して読み始めましたが、全然まじめな本でした。
とても読み応えがありました。
(書店のコミックコーナーに置いてあり、シュリンクがかかっていて中味を確認できなかったのです)

連載をしているのがBL系の雑誌だったそうで、多少そういった傾向で書かれてはいますが、三浦しをんさんのエッセイを読んで笑える読者なら、全然抵抗なく読めると思います。

例えば、イブ・セジウィックの著書などを読んでおられて、それを踏まえた上で、ホモ・ソーシャルとはどういうことか、あるいはフェミニズムとの関係はどうなのかということを、浅めではあるものの、きちんと踏み込んで書かれています。
それから、作品の中の登場人物を見る目、ひいては人間を見る目が優しい。これも読んでいて好感が持てる要因の一つです。
また、人間を見る目が公平です。映画作品の中には立場・意見を異にするキャラクターが登場するわけですが、片方の考え方/目線でだけで見るのではなくて、それぞれの立場/目線で見ていらっしゃいます。
こういうところも読んでいて気持ちが良いです。

「作品としてダメだけれど萌える映画というのはなくて、萌える映画というのは作品としても優れている」というのは、とても共感できます。

今、何でも(便利なのでつい)「萌え」という言葉を使って表現してしまうのですが、「萌え」が発生するのは、人間関係を深読みできるように登場人物が描かれているということだろうと思います。
映画を見ていて、彼ら、彼女らの言動や関係に、何かしら、同じ人間として共感を呼ぶ部分がある。あるいは、共感を呼べるような描かれ方がなされているということですよね。
人間の普遍的な心性に訴える作品ということですから、様々な感動(文字通り何らかの「感情」を「動かされる」)を呼び起こすというのは、当然かと思われます。

それに性別は関係ないでしょう?ということです。

未見の作品がけっこうあって、『マイ・ブラザー』と『X-MEN』シリーズはちゃんと見なきゃな、と思いました。
2000年以降に公開された作品にほとんど限られているのですが、あとがきにもあるように『J・エドガー』と『アベンジャーズ』は漏れましたとのこと。
これもぜひ、著者の方に論じていただきたかったです。
(『J・エドガー』はクリント・イーストウッド監督作品で、FBIの長官として長年君臨したフーバーが主人公でレッド・パージ吹き荒れた時代を描くということで、どんだけ硬派で重厚な作品なのかと思いきや、ふたを開けたらあらびっくり映画でした。何この夫婦ものロマコメ(笑)。でもこれはこれでいいです。)
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by n_umigame | 2013-04-22 21:02 | | Trackback | Comments(0)
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