*さいはての西*

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『メガマインド』(2010)

悪役のメガマインドは、正義の味方でライバルのメトロ・マンを殺してしまったため戦う相手を失ってしまい、退屈な日々を過ごしていた。そこで、メガマインドは新たな敵タイタンを作り出すが、タイタンは力を正義のために使わずに世界を破壊し始める。焦ったメガマインドは人生で初めて正義のために戦うことになる。声の出演にウィル・フェレル、ブラッド・ピット、ティナ・フェイ。監督は「マダガスカル」シリーズのトム・マクグラス。
(映画.com)


 トム・マクグラス監督の作品(プロデュースはベン・スティラー)ということと、IMDbなどの評判が良いことから、見てみたかった作品です。
 昨年(2012年)にWOWOWで吹き替え放送されたとつい最近知り、地団駄踏んでいたところ、Yuseumさんから「iTunes Storeでレンタルしてますよ」と教えていただき、iTSにログインするところですったもんだあったものの、無事レンタル視聴することができました。Yuseumさん、教えていただき、改めてありがとうございました!


 日本公開を2011年春に予定していたそうですが、おそらく震災の影響で見送られ、結局配信のみという形になってしまったようです。豪華な声優陣だったというのに残念ですが、街並が破壊されるシーンがあまりよろしくないということだったのかもしれません。

 メガマインド役には最初はロバート・ダウニー・Jrがキャスティングされていたそうで、その配役でも見てみたかったです。

 感想ですが、何度も声を出して笑ってしまいました。とてもドリームワークス・アニメーションらしい作品でした。
 去年の夏までDWA作品には全然興味がなかったのですが、その後代表作をひととおり見てみて、共通のメッセージがあることがわかり、この作品ももれなくそうでした。

 DWA SKGの「K」に当たるジェフリー・カッツェンバーグ氏は元々ディズニーにいたそうですが、DWAが設立されてからはディズニーのアンチテーゼとでも言うような作品を次々とぶつけてきました。(ということを後で知りました。)
 この『メガマインド』はコッテコテの『スーパーマン』のパロディでもあるのですが、テーマは「善と悪」でしょうか。
 この二項対立がはっきりしていて逆転することのないディズニー作品とは違って、DWAの作品はどちらかというと、子ども向けのアニメなどでは本来ヒーローにはなり得ないような、アンチヒーローが主人公になることが多いです。

 主人公のメガマインドは、母星が滅亡する寸前に両親によって脱出させられて、地球にたどり着きます。メガマインドのライバルになるメトロマンも同時にお隣の惑星(こちらも同じ運命をたどる)同じように脱出用ポッドで地球に不時着するのですが、わずかな偶然によって、メトロマンは裕福で子どもを待望していた夫婦の元に、メガマインドは刑務所に拾われます。(もっとも、裕福そうではあるものの、この夫婦に育てられてもあまり幸せではなさそうなのがまた、DWAらしくていいですね。『バットマン・リターンズ』のペンギン男を拾った夫婦を思い出してしまいました。クリスマスっぽいし。拾ったのがメガマインドだったら、『バットマン~』の夫婦みたいにすぐ捨てちゃったんじゃないかな…)
 
 人間の善性、悪性は「生まれ」で決まるのか「育ち(環境)」で決まるのか。
 それぞれに貼られたレッテルは一生ついてまわるのか。
 パロディであるがゆえに、非常に鮮明にそのテーマが浮かび上がります。

 『カンフー・パンダ2』の中のセリフを借りると、「お話の始まりは幸せではなかったかもしれない。でも、今、自分はどうなりたい?何者になると、決めるんだい?」という問いに、たいへんストレートに答えた作品でした。

以下、ネタバレなのでもぐりますね~。









■笑ったシーンいろいろ。
「愛してるぜー!」
「俺もだ、その辺にいる誰かー!」
この軽っるい善玉ヒーロー、メトロマンがいいですねえ、うさんくさくて(笑)。

「このいかにも昔のSF映画に出てくるオタクっぽいアイテムは、どこで買えるの?」
ルーマニアにショップがあるそうです(笑)。
この自虐的なセンス、大好きです。

善玉ヒーローがいきなり死んで、骨になって飛んでくるシーンには「…ドリームワークス…!!!」と大爆笑しました。
これぞDWAクオリティ。

メガマインドがメトロシティを征服したあと、市庁舎にかけられた垂れ幕の文句が「No You Can't」。もちろんオバマ大統領の「Yes, we can.」のパロディ。2010年の作品ですからね…(笑)。
『マダガスカル3』でも、前ブッシュJr.大統領を茶化すシーンが出てきましたが、こういうことができる国って、民主主義が健全なのかもなと、ちょっとうらやましかったです。

あの水飲み鳥のおもちゃ、懐かしい(笑)。子どもの頃家にありました。

ドーナツとコーヒーで作戦会議がアメリカン。でもドーナツの扱いがだいたい粗雑で、こういうシーンにはいつも抵抗を感じます。食べ物を粗末にしちゃいけません。

映画のパロディで笑ったのは、『ベスト・キッド』。パット・モリタさんらしき写真が!(笑)
「今話してたのは、母のお骨だ」は『サイコ』ですね。
メガマインドの機械の子分たちで、赤い一つ目でメカのイカみたいなのは、『マトリックス』。けっこう人間っぽくてかわいい。

名前は「タイタ(ト)ン」というシーンで、「その名前だけマルCが取れた」というのも笑いました。権利関係、大変です。

「おい、がんばれよ」
「死ぬかもなー!ハハハハハハ」
いや、ハハハハハって(笑)。メガマインドとコブンギョの関係もいいですねえ。
ちなみに、この英語圏のドラマや映画でよく出てくる「謝罪を受け入れる("Apology accepted." )」という表現が好きです。

「おまえとわたしの違いは、プレゼン力だー!!」
プレゼン力、大事ですね。


■そのほかのお気に入りシーン
・ヒロインの名前が「ロクサーヌ」
言わずと知れた『シラノ・ド・ベルジュラック』のヒロインの名前です。
「ああ、だからか」と思ったのですが、主人公のメガマインドは頭が大きくて肌は青くて、どうもそれを自分で気にしているようなのですね。
偶然に「メトロマン・ミュージアム」の学芸員バーナードの姿を借りてデートを重ねるうちに、ロクサーヌと心の交流を深めていくのですが、本来の自分の姿では愛する女性の前で現れることができず、「他人の声(と姿)を借りて」愛する女性と心を通わせる、というのは『シラノ・ド・ベルジュラック』そのままです。

・冒頭のメガマインドのお父さんのセリフが、結局、謎
「おまえの運命は○○」
脱出間際で、メガマインドは、この「○○」のところが聞き取れませんでした。視聴者の方も聞き取れません。
最後には明らかになるのかなと思って見ていたのですが、結局わからないままでした。
この「最後まで言わない」ところが、すごくいいなと思いました。


■余談
 この『メガマインド』はなかなかのヒットを飛ばして、特に米国内では好調だったようなのですが、ドリームワークス・アニメーションはDVDの売り上げ不振で60%の減収益だったことを理由に、「今後はこういったパロディ色の強い作品は作らない」という方針にしたそうです。
2011年4月の記事ですが↓
http://eiga.com/news/20110428/8/
その後の第一弾が『カンフー・パンダ2』だったようで、こちらもたいへん楽しいエンタテインメントの一級品に仕上がっていたので、方向転換としては成功したということなのでしょうか。
 ただし『カンフー・パンダ』シリーズ自体が、今のところ昔のジャッキー・チェンのカンフー映画などのパロディから飛び抜けて新しいものに仕上がっているわけではないというのが率直な感想ですので(笑)、今後もあまり固いことは言わず、のびのびとDWAらしい作品を輩出してほしいと思います。

 
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by n_umigame | 2013-06-28 21:33 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by Yuseum at 2013-07-04 17:11 x
お役に立ててよかったです(^^)

ところで、重い腰をようやく上げて、iPhoneのReederアプリに読んでいるブログのRSSを全登録したので、これからはリアルタイムでブログの更新を確認できそうです。
(それまではパソコンの画面でしか、読んでいるブログの更新状況を確認してなかった(^^;;)

にせみさんのブログの更新はTwitterでも確認できてますが、TLが流れて見逃すことも多くてf^_^;)
Commented by n_umigame at 2013-07-04 23:55
>Yuseumさま
その節はありがとうございました^^

わざわざRSSを登録いただいてありがとうございます。最近あまり更新できていない上に、相変わらずのこんな感じで申し訳ないのですが;;