*さいはての西*

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『シャーク・テイル』(2004)

「シュレック」シリーズのドリームワークスが海の中を舞台に描いたフルCGアニメーション。お調子者の小魚と心優しいサメの凸凹コンビが、海底を牛耳るボスザメ相手に繰り広げる一大騒動をパロディ満載で描く。主演のウィル・スミスとジャック・ブラックをはじめ、ボイス・キャストにはハリウッドを代表する豪華スターが集結。
 オスカーはクジラの身体を洗う“ホエール・ウォッシュ”で働く小魚のホンソメワケベラ。口が達者でお調子者の彼は、いつかはこのリーフシティで一番になるんだ、と大きな夢を抱いている。一方、街の大ボス、ホオジロザメのドン・リノを父に持つベジタリアンのサメ、レニーはサメの生き方になじめず悩んでいた。そんなある日、オスカーはレニーの獰猛な兄フランキーに追いかけられるが、運良くフランキーは錨が刺さって死んでしまう。それを見ていたクラゲが、オスカーが殺したと勘違いしたのをいいことに、オスカーは“シャーク・キラー”を名乗り、街の人気者に。しかし、オスカーは嘘の名声を守ることに四苦八苦。そんな時、オスカーは仲間から離れて平和な暮らしをと願うレニーと出会い、彼らは自分たちの悩みを解決するためある計画を考え出すのだが…。
(allcinemaより)



DWAの新作が全然日本に来ないので、さらに遡ってDWA作品を見るマラソン再開。

配役など、オタク度を上げてくる(笑)DWAらしい作品ではありました。
音楽の選び方のセンスや、ニューヨークを模した海底都市などはとても美しいし、凝っていて楽しい。
なのですが、見終わった後、ほかの作品のようにサントラが欲しくなったり、もう一回見たいなあというふうにはなりませんでした。何だか「ノリ」だけで突っ走ってしまったような印象で、「な、おもしろいだろ?」という目配せがうっとおしいというか(笑)、あざとさを感じてしまいました。

ディズニーとタイマン張ってた時期のDWA作品ということで、一見とても楽しそうなのに肩の力が抜けていなくて、『シュレック』シリーズ以上に作っている人たちがちょっとしんどそうな印象を受ける作品でした。『シュレック』の方がまだ悪ノリでやったるでー!というか、逆境であるがゆえにテンションが上がってできあがった勢いのようなものがあったと思います。
それに『シュレック』はディズニー的なアニメーション作品のカウンターパワーとして、最初だったから価値があった作品だったのだろうと思います。

キャラクターの顔が声優を担当した俳優さんたちに似せてあり、彼ら彼女らの声の演技を楽しむという意味では、とても楽しかったのですが、いかんせんお話(脚本)が。
タイトルは『シャーク・テイル』なのに主人公は熱帯魚(ウィル・スミス)で、ノリが軽すぎ。(繰り返しになりますが、この軽薄なノリだけで全編突っ走ってしまった印象でした。)
DWAらしい楽しいブラックさもあまりなく、何より残念だったのが声優を担当した俳優さんたちが、楽しそうに演技しているように見えなかったところ。ウィル・スミスはノリノリなんですが、「”ウィル・スミスというキャラ”でやってくださいと言われたからやってます」という印象でした。

キャラクターも上っ面をなでただけで、関係性ができておらず、要はドラマになっていないのですね。
俳優さんたちはその役になりきって、彼・彼女ならどうするか、どう言うか、どう考えるかなどを本当に真剣に考えて演技する方が多いと思います。行動や言動はパーソナリティが土台になりますが、そのパーソナリティが書き割りみたいに薄っぺらだと想像しようがないのですね。そうすると、マフィアのボスっぽいキャラ、カーウォッシュで働いてるラップマンっぽいキャラ、お金と名声が好きなだけの美女、という「典型」で演技せざるをえない。
典型でも肉付けできれば問題ないのですが、ある程度の奥行きがないとそれもできないでしょう。これはつまらないと思います。自分で肉付けする「遊び」の部分がないのですから。

「神は細部に宿る」ということばどおり、細かいところをおそろかにしない作品はやはりすばらしい作品が多いです。
映画を「萌え」という観点から評論された『21世紀萌え映画読本』の「作品としてダメだけれど萌える映画というのはなくて、萌える映画というのは作品としても優れている」という言葉を改めて思い出して反芻しておりました。

別に映画を「萌え」視点で見なくても良いのですが、人間関係を深読みできる、そしてその関係性に共感できる(自分のこととして引き受けて考えられる)、観客の何らかの感情が動いて(感動して)想像が広がる、そういった作品は古今東西すばらしい作品が多いのではないでしょうか。
(ちなみに自分の場合は「萌え」は自然発生的なもので、意識的に「萌える映画はないかないかー!」と最初に萌えありきで探すということはいたしません。見てたら「うっかり萌えてしまった」という作品がだいたい重症化します(笑)。)


DWA作品に関してはわたくしは昨年(2012年)になって初めてその作品を見たような初心者なのですが、ずっと見ている方の感想を拝見していると、「2005年の『マダガスカル』あたりから、やっと”子どもも見ることができる作品になった”」とおっしゃっている方があり、なるほどと思いました。

それは子どもだましといった悪い意味ではなくて、子どもが見ても純粋にエンタテインメントとして楽しめるということだろうと思います。自分の好きな作品も『マダガスカル』シリーズは別格として、これ以降の作品が多いです。角が取れて、DWAにとってのエンタテインメントとは何かというところに視点がシフトしたからではないかなと思い見ておりました。
今後も楽しい、DWAらしい作品を作り続けていってほしいと思います。
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by n_umigame | 2013-07-24 21:46 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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