*さいはての西*

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「しゃらくさい!なんだその枕投げは!お前ら女の子か!」@『マダガスカル3』


今日、たまたま「翻訳における女ことばとジェンダーの問題」「マダガスカル3放送ひゃっほう!」という二つの記事をアップしたので、また思い出した記事があります。

それは、こちらです。

"Reel Girl"
“You pillow fight like a bunch of little girls!”(Posted on January 13, 2012)

URLはこちら→
http://reelgirl.com/2012/01/you-pillow-fight-like-a-bunch-of-little-girls/

フィクションにおける性差別を考えるブログを展開しておられるようです。

原語(英語)のセリフがタイトルになっているこちらの記事ですが、このセリフが性差別的、もっと言えば女性蔑視だという理由で、そしてこれが子ども向けのアニメの中のセリフであることに、ブログ主さんは非常に怒ってらっしゃいます。

この記事が問題にしているシーンは、映画『マダガスカル3』のアヴァン・タイトル、ペンギンズが初登場して、ホテルの室内で枕投げをしているシーンです。
YouTubeに抜き出しの動画があります。↓




特殊部隊(笑)という非常にマッチョかつホモソーシャルな組織の一員で、しかも非常に古風なキャラクターでもあるので、実はSkipper(隊長)が批判されているのはこの記事だけではないのですが、まずこの記事について。

ご覧のように、あるいはご存じのように、このシーンは特殊部隊のペンギンズのリーダーSkipper(隊長)のセリフなのですが、同じく隊員の別のペンギン(リコ)に枕でぶちぬかれて中味が鳥の羽根だとわかると、半泣きで"Chimichanga! These pillows are filled with baby birds!"というセリフが続きます。(ちなみに日本語吹き替えだと半泣きであるようにはあまり聞こえません。)
ペンギンズはだいたいボケっぱなしでツッコミ不在の芸風なのですが、このアヴァン・タイトルというとても印象に残りやすいタイミングでのこのボケのシーンは、いわば「ツカミ」です。
そして、ペンギンズはすでにTVシリーズでも人気を博しており、観客の中には彼らがどういうキャラクターか知っている人も大勢いるということです。

思うに、このシーンは、ペンギンズというマッチョでホモソーシャルな組織の、これまたマッチョで古風なキャラクターであるSkipper(隊長)が、「女の子たちの枕投げか!」と、いかにもなセリフを言ったあとに、枕の中味が鳥の羽根だとわかったとたん半泣きで「この枕、赤ちゃんの羽根でいっぱいじゃないか!」という、乙女っぽことを(鳥が)言うという、ギャップで笑いを取ろうとしたシーンだったのではないでしょうか。
少なくともわたくしはそれで笑いました。
いかにも”男くさい”ことを強調しても、Skipper(隊長)が実はチームの中でいちばん繊細だということが、ファンにはわかっているからです。

まあ、そこまで読み取ってくれというのは一般的な観客に対して酷だとは思うのですが、記事が書かれたのがアメリカでも映画公開前(アメリカでの公開は2012年6月8日)に、ボケの前半だけ聞いて「けしからん!」と怒るのは、ちょっと時期尚早だった上に、作品に対してフェアではないと考えます。

Madagascar Wikiというファンが記事を書いていると思しきwikiがありますが、そこでもキャラクター紹介のページにこう書かれていました。

He's a 50's style male chauvinist, believing women are weak and need protecting. He's also rather xenophobic, with the opinion that any species other than avian (especially mammals) is inferior. All of this ties in with his raving paranoia, and the other penguins don't always back him up on these points. It has also been stated that he has a fragile ego.
(Madagascar Wiki - Skipper - Character)



ほかのところにも、TVシリーズに登場するマリーンというキャラクターに対して優しいのは彼女が女の子だからだ、という記述をみかけましたが、これも弁護するわけではないのですが(…いや弁護かな)、隊長はよく見ていると誰に対してもやさしいキャラクターであることがわかると思います。

ただし、Skipper(隊長)は、いかにもフェミニストの方々の神経を逆なでしそうなキャラクターだと、ファンである自分も思うことがあります。
それは彼のモデルになったのが、wikiに述べられているように1950年代の俳優さんであり、ほかにもマッチョな俳優さんであったりするので(笑)、制作者が確信犯的にやっている面もあるのでしょう。

件のブログではブログ主さんのコメントに"Yet when it comes to sexism, all you hear most of the time is:”It’s just entertainment.”"といったことも書いてありますが、このシーンについてはそれは当たらないと思います。
むしろマチスモと、ホモソーシャルを皮肉っているシーンとして秀逸だわ、さすがブラックジョークが光るDWAだわと思ったのですが、いかがでしょうか。

そして個人的にはSkipperはこういうオールドファッションドなところが魅力的なキャラクターでもあると思うので、彼はこれでいいと思うのですけれどもね。
「男らしさ」に取り憑かれて、それを維持するのに、彼は彼なりにけっこう苦労をしているのが伺えますので(笑)。それはほんとうは女々しいのに無理して男らしく振る舞っているとか、そういう浅い意味ではありません。
「じゃあなんだよ」と気になった方は、ぜひTVシリーズの"The Penguins of Madagascar"をご覧いただければと思います。ニヤリ。
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by n_umigame | 2013-09-05 00:42 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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