*さいはての西*

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『ジェシカおばさんの事件簿』2エピソード


S1E19「道づれは怖い人」(原題:Murder Takes the Bus)
S2E13「陪審員はつらいもの」(原題:Trial by Error)
(※エピソード番号はWikipediaより)

 アメリカのTVドラマシリーズで、推理による謎解きが中心の、なつかしいドラマです。
 最近でもちょこちょことCSなどで再放送されています。
 昔NHKで放送していたのを見たり見なかったり、という感じで見ていました。(「見てた」って言えるのかそれ。)主人公のジェシカの吹き替えは森光子さんだったと記憶していますので、その頃です。


 最近のミステリードラマは複雑で、人間関係がどろどろしているのは仕方ないにしても、殺人現場が猟奇的だったり、結果的にいるのかそれみたいなラブシーンで脱線したり、これちゃんと話としてオチるんでしょうねとか、原作がある作品は改変のセンスとか必然性とかそれどうなんだとか、いろいろな意味ではらはらするので、見る前に気持ち的に走り込んでから見たいドラマが増えました。
「ジェシカおばさん」は、久しぶりにミステリードラマを見終わって、一服の清涼なお茶をいただいたような気持ちになりました。ついでにお茶で目も鼻も洗えた気持ちです。花粉症でお悩みの方はいかがでしょうか。


 この「ジェシカおばさん」に、ドラマ『エラリー・クイーン』でクイーン警視を演じたデヴィッド・ウェインが出演していたらしい、ということを知っていたのですが、なかなか見る機会がなかったところ、また某方から見る機会をいただいてしまいました。
本当にいつも一方的にお世話になるばっかりで、申しわけありません。ありがとうございます!
そして、ありがとう、ドラマ『エラリー・クイーン』、ありがとう、ウィリアム・リンクとリチャード・レビンソンコンビ!(そこからのご縁なので!)


以下、感想です。
ネタバレになりますので、たたみます。犯人やトリックについても触れていますので、未見の方は回れ右推奨です。














■S1E19「道づれは怖い人」(原題:Murder Takes the Bus)

 ジェシカおばさんとダウリング神父とクイーン警視そろい踏み、というすごい豪華キャストで、この(自分的)豪華さから行けばレギュラーを除くクイーン警視もといデヴィッド・ウェインが犯人に違いないと思ってわくわくして見ていたら、違いました。残念。

 ここで、すでにお気づきかと思われますが、わたくしミステリドラマを見るときも、トリックがどうとかそういうことはけっこうどうでもよく、探偵といっしょに推理しながら見ないとダメだとかそういう縛りもいっさいなく、好みと萌えの赴くままにドラマを楽しんでおりますので、ご了解を。何なら犯人知ってても楽しめます。

 このエピソードはいわば「走る密室もの/嵐の山荘もの」でした。
 バスでポートランドに向かうことになったジェシカさんと、ダウリング神父ことエイモス保安官。夜になり、悪天候の道中、次々と乗り合わせてくるお客。やがて大雨の中バスがエンコ、修理を待つ間、乗客は沿道の小さなレストランに身を寄せた。
本を取りにバスの中へ戻ったジェシカが、乗客の一人が殺されているのを発見し…というお話です。

 TVシリーズにもかかわらず、どんでん返しが効いていて、とてもおもしろかったです。
「一事不再理」は法律上の原則ですが、ミステリーのトリックでもこれにだまされることがあり、このエピソードもエラリイ・クイーンのあれを思い出しました。

 贅沢を言えば、レギュラーキャラクターは聖域という暗黙のお約束があるため、シリーズ物では探偵とその助手は原則として犯人から除外されてしまいます。なので、せっかくの「嵐の山荘もの」なのに「全員うさん臭い」という緊張感はないのですが、これは仕方がないですね。
(もちろん「探偵が犯人」「助手が犯人」というミステリーもありますが、それをシリーズ物でやるということは、すなわちシリーズの終了を意味しますので、基本的に最終話/回でしか使えない手です。)
 また、フーダニットでは、登場人物全員が何かしら紛らわしいことをして視聴者をミスリードする、いわゆる「レッド・ヘリング(赤いニシン、誤導)」が仕込まれているものなのですが、このエピソードでは全員が全員怪しい、という風にはならなかったところも残念でした。
 誰かと言えばデヴィッド・ウェインさんです。もっとはじけようよ!(言われても。)「実はこういう者です」ってNYPDのバッジ見せようよ!(違うドラマです。)何なら事件解決しようよ!(主役は誰だ。)

 何はともあれ、念願のエピソードが見られて満足です。



■ S2E13「陪審員はつらいもの」(原題:Trial by Error)

 こちらはタイトルの通り、法廷ものです。
法廷ものの中でも、陪審員ものは傑作が多いように思います。『十二人の怒れる男』ももちろん言うまでもなく、『名探偵モンク』でも陪審員もの回は秀作でした。(PoIは…あれもある意味傑作ですから。)
 余談ですが、アメリカの陪審員制度では、陪審員は有罪か無罪かを決定するだけで、日本の裁判員制度のように量刑まで関与するということはないそうです。


 マークは妻を助手席に乗せて車を運転中に事故を起こし、シートベルトをしていなかった妻は重症を負う。病院に運ばれたが妻は重症と聞き、その足でバーへ飲みに行くマーク。そこで知り合った女性ベッキーと一夜を過ごすが、そこへベッキーの夫が帰宅、もみあっているうちにマークがベッキーの夫を殺してしまったという。
これは正当防衛に当たるのか、ジェシカが陪審員長をつとめる12人の陪審員が審理することになった、というお話。

 裁判シーンと陪審員の討議のシーン、事件の再現シーンを交互に見せて、視聴者が飽きない工夫がされていました。
 また、このエピソードもどんでん返しが効いていて、ラストシーンのジェシカの「もの言わぬ断罪」のシーンがきりっと引き締めていて、秀逸なミステリードラマになっていると思います。これは探偵がジェシカさんだったからこのくらいで(?)済んだのであって、ミス・マープルだったら背筋が寒くなるような、そんなラストシーンだったと思います。

 もうひとつ、いわばヒッチコックの言う「うそつきフラッシュバック」が、上手い具合にミスリーディングとして機能していると思いました。人間は目から入ってくる情報量が膨大で、「絵として見せられる」と引きずられるということがよくわかります(笑)。
 ただまあ、登場した瞬間にマーク怪しすぎ。とても妻を愛しているように見えない演技がうまい俳優さんだと思うのですが、ミステリードラマだからそこはだまさないと。出オチくらいの勢いで犯人こいつですフラグが立った、そのすぐあと、事故の直後にバーに飲みに行くのもどうなのと思っていたら、やっぱり小物的なカスでした、という。
 ベッキーの方はあのDV夫に同性として同情してあまりあるというか、情状酌量の余地があるかと思います。だけど次にひっかかった男がマークって、またダメ男じゃん。ベッキーのダメンズ・ウォーカー気質がちょっと心配になったものの、こういうドラマを見ていると、アメリカの司法取引という制度はいいなと思いますね。

 そんなわけで、どちらもとてもおもしろかったです!
 ありがとうございました!
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by n_umigame | 2015-04-03 02:19 | 映画・海外ドラマ | Trackback | Comments(0)
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