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『残穢』小野不由美著(新潮文庫)新潮社


この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、感染は拡大するというのだが──山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
(Amazon.jpより)



だって、夏だもの★怪談祭り(自分内)第三弾。


文庫になったので読んでみました。

ここここ怖い…。
日が暮れてから読むのがいやで、日没と戦うように読みました。

冒頭から真ん中あたりまでが特に怖かったです。謎が解き明かされるのは後半なのですが、『山怪』の感想のところでも述べましたように、前半はわけがわからない、整合性がない(ように見える)ところが怖いのですね。どんな怪奇現象も、名前がついてしまえば一応は腹に収まるものですから。


以下、ネタバレにつきもぐります。












これは「聞いたら出る」系の怪談ですね。

実在の人物…東雅夫、平山夢明といった各氏が実名(ペンネーム)で登場することや、地の文から得られる情報から語り手は小野不由美さんだということがわかるので、ノンフィクションではないかと思わせるところが、怖さを倍増させています。

怖がりの怖いもの好きなので、怪談も典型的なものはある程度知っているつもりなのですが、『四谷怪談』についての説明はストンときました。
事実としてはあり得ないけれども、怪談そのものがたたるとされている怪談、というものが存在すると。なるほど。
もしかしたら、著者は、この『残穢』も「四谷怪談」ですよ、と言いたかったのかもしれません。

実はわたくしの中学生のときの同級生に聞いた話が、この「聞いたら出る」系怪談でした。「怪談そのものが事実かどうか」は問題ではなく、「その怪談を聞いたら累が及ぶ」系の話だったのです。しかもその友人はお寺さんの子で、小野不由美さんの大学の後輩に当たるということを、背中にひんやりしたものを感じながら思い出していました。なんでしょうか、この因縁。
特に高校生くらいまでは、やれ修学旅行だ合宿だという機会があるごとに、怪談をしたものでした。(なぜなんでしょうね、あれ。)もちろん小学校にも代々伝わる学校の怪談がありました。
どうやら霊感がないわたくしが提供できる話は全然なかったのですが、級友たちが話してくれた体験談や怪談は、それはそれは怖いものも混じっていました。今でもいくつかは覚えています。(よろしければお話します(笑)。)

そういう、当時身近な友人から聞いた話から思うことは、この世にあることは何でも説明がつくわけではないということでした。あったことはあったこととして、受けとめざるを得ない。けれどもそれが何だったのかということは説明できないもどかしさ。
「魔に出逢う」というのは、そういうことなのかもしれません。

この作品も、言うなれば、「魔に出逢う」、とんだとばっちり系の、はた迷惑な怪談です。読者がノンフィクションではないかと思ってしまうような、そんな仕掛けが含まれているので、その"魔"に「名前がつく」までが本当に怖いのですね。


さて、その中学生のときに「聞いたら出る」系の怪談は祟ったか。これは言われたような影響はまったくありませんでした(笑)。でもそれから数年間は、思い出しては本当に怖かったですよ。
「認識しないことは存在しない」の法則で、今後も乗り切ろうと思います。
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by n_umigame | 2015-08-07 00:47 | | Trackback | Comments(0)

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