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『貴婦人として死す』カーター・ディクスン著/高沢治訳(創元推理文庫)東京創元社



数学の教授だったアレックは六十、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変する。ある晩リタとバリーは突如姿を消し、海へ真っ逆さまの断崖まで足跡がついていた。二日後遺体は発見されたが、腑に落ちない点が多すぎる。二人の死は心中か殺人か、村に住む老医師が綴った手記から浮かび上がる真相とは? 張りめぐらした伏線を見事回収、目配りの利いたヘンリ・メリヴェール卿活躍譚。
(Amazon.jpより)


なんですかこれ。
めちゃくちゃ面白いんですけれども。

「カーはおもしろいに決まっとる今頃何を言っておるのかね、きみは?(キッ!)」
とおっしゃる向きに、ここでいっぱつ聞いてください。


~ポエムと小芝居~「カーとわたし」


初めての出会いは『火刑法廷』だった。
当時はもちろん旧訳…けれども壮絶に挫折したわ。
この訳と相性が悪いのかしら…ううん、わたしのリテラシーがなってないのね。そう思ったから新訳でもトライしてみたの。
だめだった…だめだったの…!!(ここで唐突に感極まって泣き出す)
(気を取り直す)
それで、バナナの皮ですべって転んだ名探偵がいるって聞いて。
最初は「本格ミステリ界の都市伝説ね…ふふふっ、おじさま方ったら。お・茶・目・さん★」って笑って流してたら、ほんとだったから、びっくりよ?
それがH・M卿だったの。
しかも、作品は、アレよ。
どうなの。
どうなのもこうなのも、トリック忘れるくらい笑ったわ。
そんな理由でミステリ読むってどうなのって? きっかけはなんだっていいじゃない?
それで、そのあとも読んだのだけど、H・M卿が出てこなかったせいかしら、あまりぐっとこなかったのよ…!わあああっ!(再び唐突に感極まって走り出す) 


などと思っていましたごめんなさい。

あんまり面白かったので、直後に、某書評サイトでオススメされた『墓場貸します』も読みました。一気読み。

H・M卿は、騒々しくてものぐさでいじわるそうだなんて描かれ方をしていますけれど、そんなことは全然なくて(騒々しいのは否定しませんが)、これほど社会人としての常識を備えた黄金期の「名探偵」は見たことがありません。
だって、自分は警察の捜査に口出しできる立場じゃないけど…と、ちゃんと警官に言うんですよ。一体何の権限があって捜査に首つっこんでんだこの人はしかも態度でかい、というのがもうお約束の黄金期の本格ミステリ世界にあって、何という謙虚さ&常識人さ。そしてそれがかえって呼び起こす清々しい新鮮さ。
しかも、とても心優しい人ですよね。
自分の好奇心を満たすためだけに、推理のための推理をしない。他人が触れて欲しくないところにちゃんと配慮してあげている。正義を振りかざさない。

こんないい人、黄金期の名探偵で初めて見たよ…!! と、何よりもそこに感動しました。
もちろん、本格ミステリ(パズルミステリ)としても面白くて、女性キャラクターも頭からっぽのお人形さんみたいではないし、なによりもユーモアが満載で、久しぶりにミステリ小説を読んで「あー楽しかった!」と思いながら本を閉じました。

とは言え、まだH・M卿ものは2冊+短編数編、カー全体で数えても10作も読んでいないので、これからいろいろ読もうと思います。

まずH・M卿が出ている作品がいいなと思い、『ユダの窓』と『黒死荘の殺人』を買ってきたのですけれど、「貴婦人」「墓場」が面白かったのなら、次はこれだろ? というおすすめがあればぜひご教示くださいませ。『白い僧院の殺人』も持っています。(※未読)
(某書評サイトで「墓場」をおすすめくださった方は、まったく見ず知らずの方なのですが、「貴婦人」がおもしろかったのならコレという実に的確なおすすめをしてくださったことがわかりました。なかなかこうはいかないものですよね、本のオススメって難しくて…。こちらでも改めて、ありがとうございました!)

BBCは次、H・M卿シリーズをドラマ化しませんかね? かね?


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by n_umigame | 2016-04-27 00:07 | | Trackback | Comments(0)

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