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『ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖』(全4巻)星野泰視著/アガサ・クリスティー原作(ビッグコミックス)小学館


新解釈のポアロ、昭和11年の横浜に登場!
あの名探偵・エルキューロ・ポアロが、昭和11年の横浜に甦る!
相対するは、ABCと名乗る連続殺人犯!!
アガサ・クリスティーの名作「ABC殺人事件」を、
全くの新解釈で完全漫画化!!
昭和11年2月----226事件が勃発し、戒厳令が敷かれた
帝都・東京の浅草で、一人の惨殺死体が発見された。
その前日には、横浜で名探偵と名高い英玖保嘉門の元に
犯罪予告状が届いていた……!!(出版社HP) 


出版社のHPで試し読みができるようです。⇒


以下、ネタバレなのでもぐります。










出版社の紹介には「新解釈の」とありますが、原作に非常に忠実で、端正な作品だと思います。特に目新しい解釈があるような作品ではないです。ミステリーの原作ものって、二次創作(ドラマやマンガ)になると、ひどいものになると犯人変えてあったりしますもんね。そういう作品ではありません。
ただ、犯人の年齢はもしかしたら原作よりうんと若いのかもしれません。ITV版のドラマでもABC役の俳優さんはもっとお年を召した方でしたよね。

上手なのは脚色で、この作品と、戦前の昭和の不穏な空気がとてもよく合っています。
それを思うと、ほのぼのしたハッピーエンドで終わるこのラストシーンの後に、今から戦争が始まるのかと思うと、ちょっと悲しくなりました。
クライマックスでもう一人のアベさん、阿部定が登場するのはご愛敬でしょう。特に物語に関わってくるわけではなく、もしかして阿部定を出したかったから昭和11年にしたのでしょうかね(笑)。誰がうまいこと言えと、って感じです(笑)。
名前のつけかたは1巻を読み始めたころからうまいなあと思いました。ジャップ警部を日之本警部にしたり、ヘイスティングズを平助にしたり。
原作には登場しない、犯罪心理学者の女性キャラクターは、あまり活躍しきれていない印象でした。英玖保さんを「君呼び」で、どういう関係だったのかも詳細わからずじまいでしたね。こうやって考えると、原作には本当によけいなキャラクターというのが登場しない、純粋にミステリーとして必要なキャラクターだけに絞られているのだな、クリスティーすごいなとそこも改めて思いました。


ただ、クリスティーの原作なので読んだマンガでしたが、とうとう最後まで絵にはなじめませんでした。とてもていねいに描かれている絵だし、雰囲気は好きなのですけれど。
例えば、人物の頭がおかしな風に扁平で、これ脳みそだいじょうぶ? と思ったり、頭蓋骨やわらかいの? と思ったり。あと、英玖保さんがお茶だかなんだかを飲むシーンがちょっと気持ち悪くてですね。上から見た絵が何度か出てくるのですが、ふつう液体をそんな風に飲まないだろうというか、ずるずるーっとすすっている感じがして、妖怪かよとか、もう気になり始めるとそんなことばっかり気になって仕方がなかったです。

などなど、細かいところが気になり始めると気になりはしたのですが、ミステリーマンガ単品として読んでもとても面白いと思います。

ラストシーンから連想させるあの原作も、もしかしたらコミカライズされるのでしょうか。ドラマも難しかったので、マンガも難しいでしょうが、出たら読みます。
その時はもう少し、人物の立体のデッサンとか妖怪飲みが気にならなくなってるといいなあ。(私が…。)




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by n_umigame | 2016-06-22 00:20 | コミックス | Trackback | Comments(0)
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