人気ブログランキング | 話題のタグを見る

*さいはての西*

fwest.exblog.jp
ブログトップ

BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定



当ブログでもこちらの記事()でご紹介したBBC製作の『そして誰もいなくなった』の日本放送が決定しました。
こういうときはやっぱりBBCとNHKのつながりがありがたいです。


NHK BSプレミアム公式ウェブサイト
「アガサ・クリスティー そして誰もいなくなった」

BSプレミアム 11月27日(日)放送スタート 毎週日曜 午後9時

詳しい放送予定などはまだ公式には掲載されていませんが、「NHK海外ドラマスタッフブログ」のページによれば、全3回。
BBCで放送されたとおりの回数で放送されるようです。

BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定_d0075857_10203648.jpg
BBC公式ウェブサイト
"AND THEN THERE WERE NONE"
(画像も)

BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定_d0075857_10210626.jpg


依然、人気赤丸急上昇中のエイダン・ターナー出演ということもあって、ふだんミステリーに興味のない層も視聴者が広がるドラマではないかと思います。
個人的にはサム・ニール、チャールズ・ダンスという個性派ステキ俳優さんたちがクリスティーのドラマに出てくるというだけでありがとうございますと拝んでいたのですが、ドラマ自体も秀作でしたので、なまじなホラーより格段に怖い『そして誰もいなくなった』、吹き替えで見るのが本当に楽しみです。

BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定_d0075857_10213287.jpg


以下、ドラマのネタバレになりますので、真っ白の状態で見たい方はここで回れ右でお願いします。
原作未読の方、未読だししかもトリックも知らない・聞いたこともないという幸せな方も、ここで絶対回れ右推奨。










はい、いいですかね。
クリスティー語りも入ってます。




殺人のシーンも怖いですが、ほかにも「これ9時から放送でだいじょうぶ?」というところがあるので、そこだけが心配。ま、BSだからOKなのでしょう。

これまで製作された『そして誰もいなくなった』はラストがハッピーエンドに改変してあったりしましたが、今回のBBC2015年版は、その点では原作どおりでした。
あと今どきのドラマなので、このラブいるか? というラブ入れちゃったところだけは不満でしたが、作品全体を損なうようなものではなかったです。エイダン・ターナーってセクシー担当でないとダメなんですかね。立てばセクシー座ればセクシー歩く姿はちょうセクシーなんだから、脱がなくてもいいと思うんですよね。どうしても脱ぎたかったら止めはせんけれども(←)、クリスティーでやらんでもとは思ったですよね。

キャスト全員怪しすぎて、よくこんな全員誰が犯人でも納得の配役を持ってきたなと、キャスティングされた方GJ。と、原作を何度も読んでいてオチも知っていても、そう思いました。原作はああでも、「これ、ひっくりかえるんちゃうか」と。

自分の好きな俳優さんたちがいつどうやって殺されるのかしら…というわくわく…いやドキドキが味わえました。

BBC製作(2015)『そして誰もいなくなった』がNHK BSで放送決定_d0075857_10205375.jpg


アガサ・クリスティーは非常にクールと言いますか、信賞必罰のはっきりした作家で、人を殺した人間は物語の中で決して許されません。(それが自分が創造した探偵であってもです。徹底しています)
クリスティーの生きていた頃はイギリスでもまだ死刑が行われていたこともあるのでしょうが、人を殺した人間は自分も罰を受ける=死ぬ、という因果応報の構図がはっきりしています。

『そして誰もいなくなった』は、頭のオカシイ人間が自身の思い込みの正義感から、故意、または過失で人を殺してしまった人間を一カ所に集めて順番に殺していく(=犯人は死刑のつもり)という、冷静に考えたら(考えなくても)やっぱり頭のオカシイお話です。
このオカシさにリアリティがないかと言うと実はそんなことはなくて、現在でも自身の思い込みの正義感から、他人を攻撃することに取り憑かれているような人があとをたたないところは、ネット上でも日常茶飯事で見ることができますよね。最近はたいへん痛ましい事件でもそういうことがありました。
クリスティーって何て恐ろしい作家なんだろうと、心から思います。
だって、クリスティーが本の中でやっていることって、結局この繰り返しなんですよね。
自身の正義感から“人を殺した人間はもれなく死んでもらいまひょ。”というのが、ぶれないんです。(例外は『五匹の子豚』だけ)
なので、本当はここを変えちゃいかんと思うのですね。
あくまで全滅することにクリスティーの意図があるというか。

でも、クリスティーの場合はあまりにもぶれがないせいか、また彼女の作品を貫く品の良さや、ミステリーとしての上質さやファナティックではない良心のおかげか、読後に不快感が残らないのです。
クリスティー・マジック、ちょうこわい。



by n_umigame | 2016-09-22 21:18 | 映画・海外ドラマ